連句誌『れぎおん』冬号が、およそ二ヶ月遅れて無事に到着しました。右手首を骨折された前田編集長は、リハビリ中の痛む手首で、こつこつと一冊分約100ページ入力なさったのかとおもうと、胸がじいんとします。
冬樹蛉さんからいだだいたとめがき、傑作なので、記念にここにも引用したいとおもいます。エスエフに携わる人の視点は、さすがにスケールが違います。蛉さん、おいそがしい書き入れ時の年末に依頼して、ごめんなさい。そして、ありがとうございました。そのプロ意識には、大いに教えられました。
留書
冬樹蛉
およそ風流というものに縁のない人間であって、俳諧の教養なんぞはまるでな
い。せいぜい学校で習ったものに毛が生えた程度、蛙が飛び込んで、時雨れて
いって終わりである。
そんな場ちがいな輩がなぜこんな大それたところに出てきたかというと、ひょ
んなことからネットで知り合った姫野恭子さんに、SFの宣伝でもなんでもいい
から書いてくれと言われたからだ。それではと、お言葉に甘えてSFの宣伝をさ
せていただくことにする。おっと、申し遅れましたが、小生、折に触れてSF書
評やら解説やらを書いているケチなライターでござんす。
そんなやつが俳句を前にすると、半ば条件反射的に考え込んでしまうのであ
る。たとえば、巨大ガス惑星の大気中に浮かんで進化した知的生物は俳句を詠む
のか? だとしたら、どのような季語を持っているのか? “メタン”と聞くと、
「ああ、春だなあ」としみじみ感じ入ったりするのか? はたまた、肉体を捨て
ソフトウェアとなって仮想世界で進化を続け、日夜、高次元数学の定理を証明す
ることに美を見い出すようになった種属が、いまこの瞬間にも“5iと、nの7
乗根の積を、5πで割る”といった形式を編み出して、その風流に嘆息したりする
のだろうか?
あったら愉快だと私は思っている。季節というのは、“周期”のある事象すべて
に見い出せるはずだ。二万年に一度やってくる彗星を見て、「▲@×$φも、もう
終わりか……」といった季節感を味わう知的生命体がいたっていい。いやいや、そ
れどころか、ビッグバンとビッグクランチの間を“一周期”として、宇宙の生滅流
転に季節感を覚え一句ひねっている存在がどこかにいたら、それはそれは痛快で
はないか――「今度の宇宙のプランク定数は、じつに趣のある値ですな……」
上記は、パソコン通信でいただいた原稿をそのままコピーして引用したもの、妙な箇所で妙なスペースができましたが、それは機械の相性によるものと思われます。不可抗力です。
つぎに、連句誌『れぎおん』 冬号より引用したものをかかげます。こちらも不可抗力がはたらいています。のちほど書きます。
留 書
冬樹 蛉
およそ風流というものに縁のない人間であって、俳諧の教養なんぞはまるでない。せいぜい学校で習ったものに毛が生えた程度、蛙が飛び込んで、時雨れていって終わりである。
そんな場違いな輩が、なぜこんなところに出てきたかというと、ひょんなことからネットで知り合った姫野恭子さんに、SFの宣伝でもなんでもいいから書いてくれと言われたからだ。それではと、お言葉に甘えてSFの宣伝をさせていただくことにする。
おっと、申し遅れましたが、小生、折に触れてSF書評やら解説やらを書いているケチなライターでござんす。
そんなやつが俳句を前にすると、半ば条件反射的に考え込んでしまうのである。たとえば、巨大ガス惑星の大気中に浮かんで進化した知的生物は俳句を詠むのか?
だとしたら、どのような季語を持っているのか?
”メタン”と聞くと、「ああ春だなあ」としみじみ感じ入ったりするのか?はたまた、肉体を捨てソフトウェアとなって仮想世界で進化を続け、日夜、高次元数学の定理を証明することに美を見出すようになった種族が、いまこの瞬間にも”5iと、nの7乗根の積を、5πで割る”といった形式を編み出して、その風流に嘆息したりするのだろうか?
あったら愉快だと私は思っている。季節というのは、”周期”のある事象すべてに見出せるはずだ。二万年に一度やってくる彗星を見て「▲(a)×$φも、もう終わりか・・・」といった季節感を覚え一句ひねっている存在がどこかにいたら、それはそれは痛快ではないかー
「今度のプランク定数は、じつに趣のある値ですな・・・」
※ れぎおんの前田編集長は、原稿を打ち込まれたあとで、必ず著者校正をなさいます。今回は編集長の怪我と引越しとご主人の介護のためすごいストレスがあったということを存じ上げていましたので、最低限のなおしだけをしようと決めていました。打たれたものを見て、すぐ、おや、最後ちかくの二行が飛んでいるなと気づきました。しかし、何度も読み返すうち、これでもいけるか。冬樹蛉さんがたとえ怒るとしても。という思いがわいた。私は前田編集長に意識的なものが働いていたのか、たずねませんでした。これは不可抗力でした。
冬樹蛉さまには、深く、おわびいたします。
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