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2009年7月19日 (日)

亜の会 八女ぼんぼりまつり協賛連句興行作品集

平成十三年三月二十日
於・八女市堺屋石庭

【矢部の座】

脇起半歌仙『草の戸も』の巻

     天野おとめ  捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
  桃の莟のかたき坂道          澄 たから
春風のパックツアーに誘はれて      天野おとめ
  古着もろもろ一括りせり         沢 都
雄大な大地に在(おは)す望の月     天 真実
  小鰭鮨(こはだずし)には焼〆の皿  山本伽具耶


そぞろ寒かくも愛しき酒なれど        姫野恭子
  車椅子押すホスピスの庭        島  貞女
鳥の声水面を渡り逢ひに来よ           たから
  幸せ色の手編みセーター            おとめ
絡まったからくりの先引っ張って          都
  タバコくはへて苦笑ひする            真実
善光寺婆等眠れる青葉騒              伽具耶
  火蛾ふかふかと月の燐光            恭子
いつのまに空の巣となる子ども部屋        貞女
  変速機付きマウンテンバイク          真実
列島を花の絵の具で塗りこめて           たから
  彼岸中日ありがたき縁              おとめ

(上記は前もって堺屋で巻いていた作品です)

【耳納の座】 

     鍬塚聰子   捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
  ぬくしぬくしと幼な等の声        鍬塚聰子
水郷の堀白蛇は穴出でて         前田 亜弥
  塗りのお重にちらし寿司盛る     三角 和子 
満月の光浴びつつ睡りたり        溝田ヒデヨ
  実も葉も煮詰めねずみもちなら       ヒデヨ

八女の里舞の手弾む燈篭人形      馬場早智子
  二人寄り添ふはちまんさまで      平井右二
恋心乗せて軽々人力車              右二
  夕暮れの街麦笛と行く          黒井 剣
一握の仏舎利となる独りごと            亜弥
  CG溢れる「タイタニック」            剣
月雫凍てたる様な杯の酒          赤田玖實子
  少年時代雪丸(まろ)げせし       天  真実
次々に汚職贈賄明らかに             玖實子
  英語俳句の動詞どうする            玖實子
花ふぶき内緒ばなしが通りぬけ           剣
  右へ傾く春の端折(つまをり)          聰子

【磐井の座】

   沢  都  捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
   旅の仕度へ鷽(うそ)の啼く声   沢  都
蜆舟すこし左に傾きて           島  貞女
   主の顔は今日もほがらか      中川ワタル
月天心高圧線はきしめきぬ        貞永まこと
   秋風のほか一切はなし           貞女

ゆたかなる三潴の里に落し水         ワタル
   ふくらはぎには淡き静脈         まこと
アイライン上手にひけぬ宵化粧        貞女
   風鈴ひとつちりんと鳴りて         ワタル
ロシアにもミール密かに迫る頃         貞女
   燃えないゴミを仕分けしてをり       まこと
三日月のひかり一条(ひとすぢ)揺れてゐし 澄 たから
   そろりと注ぐ熱き燗酒            都
子どもらを笑ひとばして道祖神         貞女
   かごめかごめの輪の中にゐる       ワタル
花びらの色もにほひし手弁当          貞女
   春のうららに灯すぼんぼり         まこと

【筑後の座】

    姫野恭子  捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
   旅を栖(すみか)とわたる野霞    姫野恭子
春風に啼くウグイスの折々に       笹渕和子
   丘より望む遠き川筋         浅野黍穂
真夜中の月はぽあんと裏返る      晴野みなと
   猿酒飲んで泣き笑ひせり      天 真実

秋深し筑後平野に母老いて          和子
   キャンドルライト恋の架け橋       真実
僕を待つ君を見てゐる珈琲店        みなと
   梅雨さむの日のわかれ忘れむ     和子
訥々(とつとつ)となむあみだぶつ阿弥陀経   真実
   一人法人増えてゐるらし         恭子
月冴えていかつい顔の石の庭        黍穂
   垢すりエステ雪女郎きて         みなと
弁(わきま)へのいい子ですから繋がずに   恭子
   沖へ沖へと魚群(なむら)ようそろ     みなと
花明り潜りぬければ岡城址          真実
   また来年と蜂屋手を振る         恭子

【八女の座】

    姫野恭子  捌 (裏から文音)

草の戸も住替る代ぞ雛の家   芭蕉
   東風ふく里に集ふ輩(ともがら)  赤崎  源
暁の月おぼろに白き雲ありて      中川ワタル
   巣立ちの鳥は左見右見せり    姫野恭子
駄菓子持ち器用に歩く子どもたち       源
   みやげに混じる鉋屑など         恭子

お彼岸は千人参りの袈裟を着て        ワタル
   庭の垣根へ鵙の啼き声          源
姉は今ことに酢橘を好みたり          恭子
   支度も楽し君待つ夕餉           ワタル
氷雨降る一期は夢ぞただ狂へ         源
   五十は惚(ほ)けのうつくしき際      恭子
宇佐の杜けんか神輿が地を擦って       ワタル
   暑き闇にもひと条の月光(かげ)      源
寂しきは寝てゐる時の牛の顔          恭子
   いらかをわたるかぜのささやき       源
舞人の袖にこぼれし花の冷え          ワタル
   小姫御前が春の風邪ひく          恭子

【星野の座】

  前田圭衛子  捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
   笠浄らかに霞立つ頃        前田圭衛子
農夫らの野辺のあたりに東風吹きて  赤崎  源
   椅子に置かれし赤い靴下     小梅 わこ
谺(こだま)する木槌に冴える月明り   広重静澄
   虫籠作り銘酒一献         八木紫暁


紙はかみ石の間に間に水の跡         源
   日記に残す君のため息          わこ
鴎舞ふ何故逢へぬかと泣きながら      静澄
   インターネットに魅せられてをり     源
禁煙の誓ひむなしき涼み台          紫暁
   鈴を鳴らした三毛猫のひげ       わこ
北の旅月寒むざむと貨車を曳き       紫暁
   炬燵布団で経済新聞           静澄
いにしへの磐井の里の謎解きを       源
   ヒッチコックの熱湯玉露          静澄
花の雨祝ひの人に降りそそぐ         わこ
   うららかな日の八百万の神        静澄

  前田圭衛子

平成十三年三月二十日、快晴。
八女市京町の「堺屋」の庭園に緋毛氈と赤い傘のしつらえ、机上には桃の花色の短冊、五座の名は八女にちなむそれぞれの命名。
亜の会主催の八女ぼんぼり祭り協賛連句興行はこうして始まった。
ここ八女市において初の連句興行の実現がかなったのは、野田市長、ぼんぼり祭り実行委員会笹渕会長、赤崎学芸員の一方ならぬご尽力のたまものであり、そして亜の会連衆の熱い志が集まり実りを迎えたのが経緯である。
八女の地は技の伝統と文化が息づく水清らかなところ、今では少なくなった良き日本の姿そのままの土地である。翁は杖を曳かなかったが各務支考はどうであったろうか。
さてこの星野の座であるが、着座して男性陣の多い座であることに気づく。
そこで十八歳の小梅わこちゃん奮闘の巻となった。
「花の雨」と出た瞬間、捌はエイプリルシャワーを清々しく浴びつつ、無事満尾したのである。

   (兵庫県西宮市甲子園在住・・当時)

【飛形の座】
 
    山本伽具耶  捌

草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉
   軒の庇に揺れる陽炎       山本伽具耶
春田打つ畦に幼なの顔ありて     大石悦子
   背筋伸ばして歩み始める     赤崎文枝
生きもののすべて目覚めし望の月   赤崎朋枝
   胡桃ころころ籠にいっぱい     赤崎澄枝



影使ふ指人形のやや寒し        堤  秀夫
   十円ぽっちの声を聞かせて        文枝
初恋と気づかぬままに君征きぬ    大坪キヌ子
   浴衣の裾に蛍ふはりと           秀夫
穴観音ご先祖様と手酌酒           キヌ子
   野兎のごと自由に歌ふ          キヌ子
弦月をこぼして明日は晴れるらし       キヌ子
   秀野の句碑は凛と立つなり        秀夫
サイクリング矢部の川原につむじ風      キヌ子
   当店自慢の包丁料理           天野おとめ
満開の花の下にて撮(うつ)さるる       キヌ子
   うららかな座も大き海原         広重静澄

九年目の感慨:

平成十三年、今から八年前の作品集です。
この興行は亜の会にとって初めての公的な座でありました。
市役所の学芸員さんお二人に前もって特訓をし(ファクス文音のがそれ)、町の人たちの集まりにも参加し、商店街の方々へご協力を呼びかけました。
連句誌「れぎおん」編集長であり亜の会代表でもあった前田圭衛子師の呼びかけもあって、遠くは東京から赤田玖實子氏、神戸からは前田亜弥氏(一歳の雪ちゃんを連れての参加でした)、、福岡市からは連句療法で有名なお医者さまの連句人・浅野黍穂氏とベテランの八木紫暁氏などなど、名だたる方々に参加してもらった、ほんとうに有り難い一日でありました。
薄れかけたワープロ印字の原稿をブログに打ち込む作業をしていると、あらためてさまざまな思いが胸を去来しました。
郷土の歌人、俳人のお名前も見出すことができます。
いまは亡き我等が同志・貞永まことの元気な姿も。(翌年夏逝去)

作品集は大会長・笹渕和子会長挨拶、岩戸山古墳資料館学芸員・赤崎敏男(俳号・赤崎源)あいさつで始まり、それぞれの捌の作品にはそれぞれの捌の留め書きが付されています。それがとても実感がこもっていて、今読んでも面白いので、打ち込もうとしたのですが、(これがなんともはやふしぎとしかいいようがない!)二時間もかけて沢都捌の座のところまで入力し、都さんの留め書きにかかろうとしたところで、フリーズしてしまったのです。
でも、また一から入力し、打ち直しました。
けれども、とめがきは前田先生のものだけでご勘弁ください。

暇をみつけて、すべてを打ち込みたいとは思っています。
当時サクラチルで浪人生になったばかりだった黒井剣くん、いまはどうしていますか。






    
   
     
  

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