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2015年5月26日 (火)

医療訴訟の時代に

医療安全の現代的課題

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本日の「医学・医療の現代的課題」では医療安全について講義しました。
「安全」の対語は「危険」です。
医療は命を扱いますので、「危険」とは隣り合わせです。
薬剤には副作用があり、手術には偶発症があり、いずれも、その発生確率をゼロにすることはできません。
しかし、薬剤も医療技術も、「安全」を目指して進歩してきましたので、人々の意識の上では医療に危険が付き物であるという当然のことが薄れてきています。
副作用や偶発症による健康被害の発生に対して訴訟が提起される時代です。
たとえば、かつては出産は数百人に一人の妊婦を死に至らしめる危険な営みでした。
開発途上国において女性の平均寿命が男性より短いところがあるのは、多くの女性が出産で命を落としているからです。
出産時の妊婦死亡の主因は大量出血ですので、緊急時の輸血体制を整えることで妊産婦死亡率は大きく改善しています。
ところが、輸血にもリスクが付き物です。

命を救うための輸血によりウィルス性肝炎になる例が5人に1人もあった時代があります
そこで、なるべく輸血せずにすむよう、妊婦が大量出血に至ることを予防するためにフィブリノゲン製剤が多用されるようになりました。
ところが、フィブリノゲン製剤にも肝炎ウィルスが潜在し、輸血に至らなかった妊産婦もウィルス性肝炎に感染していることがわかりました。
このように、リスクを軽減するための努力が、さらに次のリスクを生む、ということが繰り返されているのが医療です。
開腹手術も、かつては命懸けでした。
「切腹」をするわけですので、命のリスクがあるのは当然です。
内視鏡手術は、「切腹」しなくてすむ分、開腹手術よりも安全性が高まっていますが、偶発症が発生した時には開腹手術よりも対処が困難です。
安全といわれている内視鏡手術でも死亡事例が多発しています。
医薬品も、かつてより有効性が高まってきていますが、有効性が高まるということは人体への作用が強まっているということですので、副作用のリスクも高まります。
そのため、医薬品メーカーは、新薬承認の際には副作用のリスクを最小化するために添付文書に使用上の注意事項を細かく記載します。
新薬を使用するときには添付文書を熟読しなければ、旧薬よりも大きい副作用リスクを患者へ与えることになります。
ところが、患者側だけではなく、医療側までもが、新しい医療技術ほど安全性が高まっていると勝手な誤解をする傾向があり、過信による医療事故が後を絶ちません。
肺がんの特効薬として承認された「イレッサ」により数多くの死亡者で出ましたが、医師が添付文書をよく読み、適用症例を選んで注意深く治療に臨んでいれば、多くの事故は避けることができたはずです。
フィブリノゲン製剤も、イレッサも、医療訴訟となっています。

(保健医療経営大学 学長ブログ転載)

▽かささぎ日誌

医療訴訟をおもえば、おいしゃさんは楽じゃないなとつくづく思います。

>医師が添付文書をよく読み、適用症例を選んで注意深く治療に臨んでいれば、多くの事故は避けることができたはずです。

ということは。
くすりをうる側にも、おおきな責任があるということですね。
おいしゃさんは個人で訴えられる、くすりやはメーカーの責任が問われる。
あいだにたつプロパーはどんなふうにかんがえていらっしゃるだろうか。

と、ふと、おもった。

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