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2014年7月15日 (火)

健康寿命について(9)(10) 死因の病はコレときめつけるのは難しい。流動的であること。

保健医療経営大学学長

橋爪章

2014 年 7 月 14 日 健康寿命について(10)

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1995年に「心不全」の死因が激減した年、統計分析により、心不全の減った分の25%が急性心筋梗塞に、9%が脳梗塞に、8%が肺炎に回ったと推定されています。
しかし、「心不全」の標準化死亡比が小さい自治体の「急性心筋梗塞」の標準化死亡比が大きいとは限りません。

<急性心筋梗塞>
     男性  女性
全 国 100 100
福 岡  82  83
みやま  79  69

急性心筋梗塞は、メタボリックシンドロームを放置した場合の帰結として死亡リスクが高まる代表的な疾患です。
急性心筋梗塞の標準化死亡比が小さい自治体については、次のいずれか(いずれも)の要因が考えられます。

①急性心筋梗塞の患者を救命する医療体制が整っている。
②二次予防(メタボリックシンドロームの早期発見・早期対処)体制が整っている。
③一次予防(生活習慣改善)体制が整っている。
④メタボリックシンドロームになりにくい自然環境が整っている。
⑤急性心筋梗塞の死因が「心不全」「老衰」等の他死因で報告されている。

みやま市の「急性心筋梗塞」の標準化死亡比が小さいのは、近隣の久留米市等への救急搬送体制など①が充実し、かつ、豊かな自然環境による④が充実しているからでしょう。
⑤は、前述の通り、要因ではありません。
②③については、健診受診率が必ずしも高くはないことなどから、まだまだ改善の余地がありそうです。
②③の改善によりどこまで「急性心筋梗塞」の標準化死亡比を小さくし得るかについては、他の自治体の例が参考になります。

男性の急性心筋梗塞の標準化死亡比が小さい自治体は次の通りです。
20台 宇土市(26.1)、島本町
30台 土庄町、川根本町、富岡市(35.2)、吹田市(35.6)、京都市東山区(35.9)、柳井市(35.9)、久御山町(36.0)、出雲市(38.2)、京都市山科区(39.0)
40台 大野城市(40.4)、毛呂山町、御所市(42.0)、上牧町、亀岡市(42.4)、大淀町、桂川町、吉賀町、枚方市(43.0)、熊野町、京都市中京区(43.4)、吉野ヶ里町、東彼杵町、那珂川町、広島市中区(44.1)、錦町、伊予市(44.8)、京都市右京区(45.1)、喜界町、四條畷市(45.5)、玉名市(45.6)、島田市(45.8)、浦安市(46.3)、利府町、神戸町、鰺ケ沢町、竜王町、中能登町、大田市(48.9)、立川市(48.9)、宇治市(49.0)、美郷町、香芝市(49.3)、由利本荘市(49.3)、横手市(49.3)、豊中市(49.5)、八尾市(49.5)、東京都中央区(49.6)、森町、貝塚市(49.9)

福岡県では、大野城市、桂川町、那珂川町が、男性の急性心筋梗塞が少ない自治体です。
女性の急性心筋梗塞の標準化死亡比が小さい自治体は次の通りです。
20台 城陽市(29.6)
30台 大阪市中央区(32.2)、氷川町、串本町、名寄市(35.3)、大阪市鶴見区(35.4)、池田町、猪名川町、清瀬市(37.1)、平生町、富岡市(37.8)、島本町、葛城市(38.2)
40台 京都市山科区(40.1)、美波町、中土佐町、桂川町、須恵町、東彼杵町、八雲町、栄町、玉名市(43.1)、信濃町、川棚町、豊中市(43.8)、久慈市(43.9)、国立市(44.1)、堺市美原区(44.5)、大阪市西区(44.6)、多摩市(45.1)、河合町、吹田市(45.2)、湖西市(45.4)、江北町、伊予市(46.0)、海陽町、東京都中央区(46.7)、立川市(46.7)、京田辺市(46.8)、箱根町、南関町、南風原町、東京都世田谷区(47.5)、京丹波町、守山市(47.9)、京都市中京区(48.0)、大木町、浜田市(48.8)、長洲町、中城村、由利本荘市(49.0)、交野市(49.0)、香芝市(49.0)、益田市(49.1)、亀岡市(49.3)、厚岸町、浜松市北区(49.9)、

福岡県では、桂川町、須恵町、大木町が、女性の急性心筋梗塞が少ない自治体です。
急性心筋梗塞の標準化死亡比の、自治体の設定目標値としては、既に京都市や大阪市の区が実現している30台に照準を定めても、実現不可能ということはありません。
みやま市には、まだまだ改善の余地があります。

2014 年 7 月 13 日 健康寿命について(9)
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死因となる傷病には、健康づくり運動などの取り組みによって戦略的に減少させることが可能な傷病と、そうでないものとがあります。
死因別の標準化死亡比は、前者の傷病であれば自治体間の差が大きく開きます。
死亡診断書の書き方などの人為的な要因が標準化死亡比の自治体差となることもあります。
「心疾患」という分類の中には、「心不全」という死亡診断が含まれています。
心不全というのは、本当の死因は心臓以外であっても「心臓が停止して死亡した」として安易に付けられることが多いため、厚生労働省の「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」では、明らかな心不全、呼吸不全の病態でない限り疾患の終末期の状態としての「心不全」、「呼吸不全」は死亡診断書に書かないよう指導されています。
WHOも1979年から「死因として書かないように」と勧告しており、日本では1995年から指導が強化されました。
1995年に、それまで日本人の死因の1割以上を占めていた「心不全」が激減し、統計上、3万人近く減少した「事件」がありましたが、それはそういう背景事情があったためです。
「心不全」の標準化死亡比は、500を超えている自治体がある一方でゼロであるところも数多くあります。
死亡診断書の書き方の指導が徹底している地域では「心不全」がゼロに近づき、いまだに「心不全」の死亡診断を濫発している医師がいる地域では標準化死亡比が基準値の数倍になるというわけです。
みやま市は「心不全」の標準化死亡比が小さくなっています。

<心不全>
     男性  女性
全 国 100 100
福 岡  68  79
みやま  64  74

「老衰」という死亡診断も同様で、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない自然死の場合のみしか「老衰」という死亡診断はしないよう指導されています。
「老衰」の死亡診断が濫発されるのは好ましくはありませんが、「老衰」以外に死亡診断の付けようがない大往生の方には「老衰」の死亡診断が下されますので、老衰の標準化死亡比は必ずしも小さいほどいいというわけではありません。
みやま市の「老衰」の標準化死亡比は基準値とほとんど変わりません。

<老衰>
     男性  女性
全 国 100 100
福 岡  56  65
みやま 102  99

(保健医療経営大学 学長ブログ転載)

▼かささぎ日誌

七月十三日は祖母が老衰でなくなった命日だった。
べつになにもしなかったが、満月をみて祖母をおもった。
ばあちゃん、ありがとう、とおもった。
こんな環境のいいところに家をのこしてくれた。田んぼをのこしてくれた。
ありがとう。おかげで貧しくてもたべていけます。
めいじ29年生まれのばあちゃん。
19世紀末にうまれたひとといっしょに暮らせたわけで。
むしのひとだった。めっしぼうこうということばがうかぶ。
だからこんなにわがままにそだったのかもしれん。

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