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2013年8月14日 (水)

平成26年度診療報酬改定の動向(16) 2025 年の医療を見据えて

保健医療経営大学学長

橋爪 章

2013 年 8 月 11 日 平成26年度診療報酬改定の動向(16)

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8月9日に開催された社会保障審議会医療保険部会・医療部会において「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について(案)」と題した資料が提出されています。

これまでの社会保障審議会医療保険部会・医療部会における議論を整理したもの、とのことですが、国民会議の報告の提出を睨んで周到に準備されていた案文が公表されたもので、次期改定の方向性を占うには最も的確な資料となっています。

追って解説しますが、とりあえず全文をアップします。

なお、この日の医療部会では、医療法改正案の提出予定は臨時国会でなく次の通常国会へ延期する旨が述べられています。

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1.基本認識について

(1) 社会保障・税一体改革における医療の機能強化と重点化・効率化

ア 我が国の医療については、国民皆保険の下で、医療関係者の献身的な努力により、世界トップレベルの長寿、新生児死亡率や妊産婦死亡率の低さ等を実現してきた。また、医療費の対GDP比は、OECD諸国の中で中位にあり、世界一の高齢化水準に鑑みれば、決して高い水準ではなく、世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきた。今後の超高齢社会においても、必要な医療は保険診療で行われるべきという基本理念の下、国民皆保険を堅持し、国民の健康を守っていく必要がある。

イ しかし、今後の更なる高齢化の進展により、医療ニーズが変化しながら増大していく中で、引き続き国民が質の高い医療を受けられるようにするためには、医療提供体制の再構築に取り組み、限られた医療資源を医療ニーズに合わせて効果的にかつ無駄なく活用できるようにすることが必要である。

ウ このため、社会保障・税一体改革においては、消費税率を引き上げ、その財源を活用して、医療サービスの機能強化と、同時に重点化・効率化に取り組むこととされている。具体的には、診療報酬改定、補助金の活用、医療法改正等により、

・ 急性期病床の位置付けを明確化し、医療資源の集中投入による機能強化を図るなど、医療機関の機能分化・強化と連携を推進

・ 医療機関の連携、医療・介護連携等により必要なサービスを確保しつつ、一般病床における長期入院の適正化を推進

・ 在宅医療の拠点となる医療機関の役割を明確化するなど、在宅医療を充実等に取り組むことが示されている。

エ 団塊の世代が75 歳以上となる2025(平成37)年に向けて、急性期から回復期、長期療養、在宅医療まで、患者が状態に合った適切な医療を受けることができるよう、本年8月6日に取りまとめられた社会保障制度改革国民会議の報告書も踏まえ、医療機関の機能分化・強化と連携を進め、急性期病床をはじめとする各病床の役割を明確化した上で機能に応じた充実を行うとともに、急性期を脱した患者の受け皿となる病床、かかりつけ医機能、在宅医療等を充実していかなければならない。

オ 診療報酬改定においては、医療法改正による対応に先駆けて、社会保障・税一体改革で示されている「2025 年の医療の姿」を見据えて、平成24 年度診療報酬改定を行ったところであり、平成26 年度診療報酬改定においても、引き続き、入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組む必要がある。

消費税引上げ財源を医療の機能強化に充てるに当たっては、国民の理解が得られるよう、医療の機能強化とともに、医療の効率化に取り組むべきである。

(2) 医療機関の機能分化・強化と連携に当たっての留意点

ア 医療機関の機能分化・強化と連携に当たっては、性急な措置によって医療現場が混乱し、患者が必要な医療を受けられない事態が発生しないよう、急性期を脱した患者の受け皿となる病床を整備するとともに、退院した患者を支える在宅医療等を充実させながら、段階的に進める必要がある。

また、現在別途検討が行われている病床機能報告制度とできる限り整合性が図られるよう、留意しながら検討を進めるべきである。

イ 患者の立場からすれば、どのような状態であっても、状態に応じた適切な医療を受けることができるということが重要なのであり、そのような視点に立って、入院医療、かかりつけ医、在宅医療、歯科医療、薬局、訪問看護、そして介護に至るまで、患者を支える施設等が円滑に連携していなければならない。地域においてこれらの施設等がネットワークを構築し、地域全体で面的に地域の医療需要に応えていく「地域完結型」の医療提供について、それを促進するような評価が必要である。また、このとき、医療従事者の確保が必要であり、医療従事者の負担軽減とともに、チーム医療の推進に引き続き取り組むべきである。

ウ 医療機関の機能分化・強化と連携に当たっては、診療報酬と補助金の活用が考えられる。診療報酬は診療行為や入院等への対価の支払いであり、私的医療機関が多い我が国では、診療報酬により、医療機関の自発的行動や経営努力を促すことが好ましいが、行き過ぎたインセンティブとならないよう注意する必要がある。他方、補助金は地域の実情に応じた活用が可能であるが、対象や金額が限定される傾向がある。診療報酬と補助金の特性を考慮しながら、適切に組み合わせて対応することが適当である。

2.次期診療報酬改定の社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について

(1) 入院医療について

① 高度急性期・一般急性期について

ア 7対1病床が急速に増え、最も多い病床となっているが、急性期病床に長期療養患者も入院するなど、患者の状態に応じた医療提供、療養環境、医療費負担となっていないという指摘がある。患者が状態に応じて適切な医療を受けられるよう、急性期病床における患者像を適切に評価することが重要である。

イ また、急性期の患者の早期退院・転院や、ADL(日常生活動作)低下等の予防のため、早期からのリハビリテーションや退院・転院支援の充実等も重要である。

ウ このため、高度急性期及び一般急性期を担う病床の機能の明確化とそれらの機能に合わせた評価を行う観点から、急性期病床の患者像の検証を基に、以下の事項について検討を行う必要がある。

・ 急性期病床の担う機能の明確化を行い、高度急性期及び一般急性期を担う病床の機能強化

・ 重症度・看護必要度の見直し等による、患者の状態に応じた医療の提供

・ 入院早期からのリハビリテーションや退院・転院支援の推進

・ 退院・転院に係る連携の強化

・ 急性期病床の平均在院日数の短縮 等

② 長期療養について

ア 長期療養患者については、適切な環境で療養を行うことが重要である。

イ 急性期病床と長期療養を担う病床の機能分化を図り、長期療養患者の受け皿を確保する観点から、いわゆる社会的入院が発生しないように留意しつつ、以下の事項について検討を行う必要がある。

・ 急性期病床における長期入院患者の評価の適正化

・ 長期療養を担う病床の急性期等との連携強化、受入体制の充実 等

③ 亜急性期等について

ア 超高齢社会では高度急性期医療よりも地域に密着した亜急性期等の医療ニーズが増加すると見込まれる。また、急性期を脱した患者は、できるだけ早く適切な療養環境の下で、集中的なリハビリテーション等を受けることにより、早期の在宅復帰・社会復帰を目指すことが重要である。急性期病床では、急性期を脱した患者の転院先が見つからずに、次の救急患者を受け入れられない状況もある。

イ 医療機能に着目した診療報酬上の評価を行う観点から、回復期リハビリテーション病棟との機能の違いを踏まえつつ、例えば、急性期病床からの患者の受入れ、在宅・生活復帰支援、在宅患者の急変時の受入れなど、亜急性期病床における患者像や機能を明確化し、亜急性期病床・回復期病床の機能に応じた評価について検討を行う必要がある。

④ 地域特性について

ア 医療資源の少ない地域では、一つの病院が複数の機能を担うことが必要な場合もあり、平成24 年度診療報酬改定において、地域に配慮して入院基本料等で一定の要件を緩和した評価が行われたが、そのような地域の実情に配慮した評価のあり方について検討する必要がある。

⑤ 有床診療所における入院医療について

ア 有床診療所については、病院からの早期退院患者の受入れ機能、在宅患者の急変時の受入れ機能、在宅医療の拠点機能、終末期医療を担う機能、専門医療を担う機能等を有しており、それらの機能に応じた評価について検討を行う必要がある。

(2) 外来医療について

ア 高齢化がさらに進展する中で、まずは身近なかかりつけ医を受診し、必要に応じて大病院や専門病院を紹介してもらうとともに、ある程度回復し、又は病状が安定したら、かかりつけ医に逆紹介される体制を整備することが重要である。

イ 複数の慢性疾患を持つ患者に適切な医療を提供しつつ、外来医療の機能分化・連携を更に推進するため、以下の事項について検討を行う必要がある。

・ 診療所や中小病院におけるかかりつけ医機能の評価

・ 大病院の専門外来の評価

・ 大病院の紹介外来を更に推進する方策 等

(3) 在宅医療について

ア 一人暮らしや高齢者のみの世帯でも住み慣れた地域にできるだけ長く暮らせるように、地域ごとに地域包括ケアシステムを構築することが重要である。かかりつけ医を中心として、有床診療所や病院、訪問看護ステーション、訪問歯科、薬局等が連携し、地域で急変時の対応や看取りを含めた在宅医療を提供できる体制を構築する必要がある。

イ このため、在宅医療を担う医療機関の量の確保と、患者のニーズに対応した質の高い在宅医療の提供を推進し、地域包括ケアシステムを構築するため、介護報酬との連携に留意しつつ、以下の事項について検討を行う必要がある。

・ 看取りを含め、在宅療養支援診療所・病院の機能強化

・ 在宅療養支援診療所・病院以外の医療機関による在宅医療

・ 24 時間対応、看取り・重度化への対応など、機能に応じた訪問看護ステーションの評価、訪問看護ステーションの大規模化の推進

・ 在宅歯科医療の推進

・ 在宅薬剤管理指導の推進

・ 訪問診療の適正化 等

(4) 医療機関相互の連携や医療・介護の連携によるネットワークについて

ア 限られた医療資源の下、急性期から在宅医療、介護まで、患者がどのような状態であっても、状態に応じた療養環境で適切な医療を受けることができるよう、地域ごとに「地域完結型」の医療のネットワークを構築する必要がある。こうしたネットワークにおいては、患者は状態に応じて適切な医療機関や施設、在宅等のサービスを受けられ、状態の変化によりサービスが変わる場合においても、安心して円滑に次のサービスを受けることができるよう、移動先の紹介・確保、移動元と移動先での情報共有等が行われるようにしなければならない。

イ 診療報酬においては、これまでも、地域連携パスを活用した医療機関の連携、救急医療における後方病床の患者の受入れ、入院中の多職種による退院指導、ケアマネジャーとの連携等の評価を行ってきた。医療機関の機能分化・強化と連携や医療・介護の連携をさらに推進するため、入院医療、かかりつけ医、在宅医療、歯科医療、薬局、訪問看護、介護などのネットワークにおいて、患者を支えるこれらの施設等が協力し、患者の状態に応じた質の高い医療を提供することや、「病院から在宅へ」、「医療から介護へ」の円滑な移行を図ることに対する評価について検討を行う必要がある。

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