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2013年7月26日 (金)

かささぎの旗(17)

現代俳句と女たち

かささぎの旗(その17)

    姫野恭子

人は孤独だ。

短夜やまことの夢は次の次   柴 勇起男

この一句、煩悩具足の生身だからこそ獲得できた、どこかこの次元を突き抜けた世界の実在をありありと体感させる。いま、俳句誌「円錐」の扉に載っている横山康夫のこの句の読みを読んで、尚更その思いを深くした。
作者柴勇起男については、何も知らない。この一句の他には次の句しか。

大和魂叺にも似て麦の秋    柴 勇起男

その円錐誌がこのところ、恋句特集を組んでいる。目に付いた句をご紹介する。

われは恋ひ君は晩霞を告げわたる   渡邊白泉

君に逢ふため晩夏のドアいくつひらく  

雪女郎おそろし父の恋恐ろし      中村草田男

月の街歩みしよりの恋ごころ      

雪の日のそばかすの子を恋そめし   白泉

きみ嫁けり遠き一つの訃に似たり   高柳重信

林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき  寺山修司

愛されずして沖遠く泳ぐなり      藤田湘子

作者名のついていない作品は、そのままとした。この中で、ごの藤田の句は、師であった水原秋桜子から、あることが原因で不興を買い、遠ざけられた寂しさを詠んだものだというのを、本人の本で読んだことがあるが、そのように読むよりも、恋の句として眺めたほうがいいようだ。

女性の恋句

ゆるやかに着て人と逢ふ螢の夜   桂 信子

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし     三橋鷹女

ひとの夫欲しと青麦刈られおり    寺田京子

これに私も次の一句を加えたい。

求めあう体の奥の葛嵐         月野ぽぽな

季語と内容の響き合いが、あっというほど新鮮。求め合うのは体ではなく、その奥の葛嵐である。葛にまつわる和歌史は、多くが恨みや葛藤を抱えて、表面はしんと鎮もる。そういうことを連想させるだけのふところと音色をもつ。

山風に川風まざる藤袴     ぽぽな

こんな葛飾調の句もいいし、月野ぽぽなは多彩だ。

   ◇       ◇      ◇

去年まいた歌仙から、この恋句。

   ポニーテールの高さ確かめ   恭子
朝(あした)にはまだ処女(をとめ)なる君の息  都
   空腹だったか熱情だったか      整子
少しづつ水を垂らして包丁研ぐ      らん

  ◇       ◇      ◇

昭和24年1月発行「俳句春秋」第二号を読む。伊丹三樹彦、橋本多佳子、佐野まもる、瀧春一、石塚友二、高柳重信、後藤夜半、楠本憲吉、・・・とのちのビッグネームが並ぶ。敗戦直後のこのころの熱気、すさまじい。
幸福よりも不幸の力は何より優ると思った。

(「九州俳句」170号より転載)

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