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2013年6月23日 (日)

こころの底に見えたもの   なだいなだ・著

大分の図書館から借りてきた本のなかの一冊。
ちくまプリマー新書019、2005年9月発行。

まえがきによると、1971年に書いた、「こころの底をのぞいたら」の続編だそう。
少年少女向けに書かれた前著は、当時、「自分も心の底を覗いてみたくなった。精神科医になる」と手紙に書いてきた若い子達がたくさんいたのだそうだ。保健医療経営大学学長もその中のひとりだったということですね。
わたしは、この有名な人の著書を一度も読んだことがありませんでした。
初めてよみまして、精神分析の生まれた歴史をわかりやすく知ることができました。
驚くべきことに難解な専門用語はいっさい使われていません。
少年少女向けの本だからですが、かささぎあたまにスムーズです。
あちこち、声をあげて笑えるところもありました。

フロイトの研究のはなしが詳しく紹介されています。
他人のこころを読むことは、自分のこころも読まれること。
いちばん古い病である、ヒステリーの研究から入って、精神分析という手法を編み出したシャルコーとフロイト。

なぜフロイトは、すべてを性的な抑圧のせいにしたのか、という疑問にも答えてありました。

それが、竹橋乙四郎が書いた小説「浜寺俘虜収容所のロシア兵」http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-de1a.htmlに出てきた、ユダヤ人いじめ=ポグロムが背景にあったために、無意識に隠してしまったのだというのです。つまり、フロイト自身の家族の歴史の中に、ユダヤ人としての負い目があったから。性的なことはあからさまに語れたのに、ユダヤ人の出自に関する負い目には触れなかった。
フロイトとユングの出会いと別れもちょっとだけ触れておられましたが、それよりも、面白かったのは、フロイトがなくなってから、執念深い研究者が、フロイトが医師として書き残した症例の匿名を暴いた話でした。
フロイトはユダヤ人だったため、とても狭い世界で暮らしていた。その意味は、患者もユダヤ人が多かったということで、ユダヤ人の世間はすこしの噂もたちまち広がるほどに狭いので、細心の注意を払って、患者が誰かわからないような細工を施さねばならなかったんだそうです。
なるほどねえ。
というような話や、なだいなださんご自身の家族の歴史の話。
これが淡々と実にそっけなく、あったかく、おかしくて、わたしはなぜかゲラゲラ笑ってしまいました。
じぶんとは何か。
こころの底になにがあるのか。
うそをつかないでまっすぐに見つめる視点と勇気を与えてくれる本です。

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なだいなだ こころの底に見えたもの

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