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2013年6月29日 (土)

医療法等改正法案(8)~医療事故に係る調査の仕組みは

保健医療経営大学学長

橋爪 章
2013 年 6 月 29 日 医療法等改正法案(8)
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医療事故に係る調査の仕組みについても、長年の紆余曲折を経て具体化される方向です。
自民党が「医療紛争処理のあり方検討会」を取りまとめ、新制度の骨格や政府における留意事項を提示したのは平成19年です。
厚生労働省においても検討会が設けられ、三次にわたって試案を公表して意見募集を行い、それらを集約した成果物として平成20年に「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」が公表されました。
しかし、平成21年の政権交代後、当時の厚生労働大臣が「第三次試案及び大綱案のまま成案にすることは考えていない」旨の国会答弁を行い、あらためて検討会が設けられましたが、前政権のうちには検討結果はまとまりませんでした。
再度自民党に政権が戻った後、本年5月、やっと「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」がとりまとめられました。
この検討結果は次の通りで、「医療安全調査委員会」ではなく「第三者機関」が鍵を握ることとなっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1.調査の目的
○ 原因究明及び再発防止を図り、これにより医療の安全と医療の質の向上を図る。
2.調査の対象
○ 診療行為に関連した死亡事例(行った医療又は管理に起因して患者が死亡した事例であり、行った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事案の発生を予期しなかったものに限る。)
○ 死亡事例以外については、段階的に拡大していく方向で検討する。
3.調査の流れ
○ 医療機関は、診療行為に関連した死亡事例(行った医療又は管理に起因して患者が死亡した事例であり、行った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事案の発生を予期しなかったものに限る。)が発生した場合、まずは遺族に十分な説明を行い、第三者機関に届け出るとともに、必要に応じて第三者機関に助言を求めつつ、速やかに院内調査を行い、当該調査結果について第三者機関に報告する。(第三者機関から行政機関へ報告しない。)
○ 院内調査の実施状況や結果に納得が得られなかった場合など、遺族又は医療機関から調査の申請があったものについて、第三者機関が調査を行う。
4.院内調査のあり方について
○ 診療行為に関連した死亡事例(行った医療又は管理に起因して患者が死亡した事例であり、行った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事案の発生を予期しなかったものに限る。)が発生した場合、医療機関は院内に事故調査委員会を設置するものとする。その際、中立性・透明性・公正性・専門性の観点から、原則として外部の医療の専門家の支援を受けることとし、必要に応じてその他の分野についても外部の支援を求めることとする。
○ 外部の支援を円滑・迅速に受けることができるよう、その支援や連絡・調整を行う主体として、都道府県医師会、医療関係団体、大学病院、学術団体等を「支援法人・組織」として予め登録する仕組みを設けることとする。
○ 診療行為に関連した死亡事例(行った医療又は管理に起因して患者が死亡した事例であり、行った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事案の発生を予期しなかったものに限る。)が発生した場合、医療機関は、遺族に対し、調査の方法(実施体制、解剖や死亡時画像診断の手続き等)を記載した書面を交付するとともに、死体の保存(遺族が拒否した場合を除く。)、関係書類等の保管を行うこととする。
○ 院内調査の報告書は、遺族に十分説明の上、開示しなければならないものとし、院内調査の実施費用は医療機関の負担とする。なお、国は、医療機関が行う院内調査における解剖や死亡時画像診断に対する支援の充実を図るよう努めることとする。
○ 上記の院内事故調査の手順については、第三者機関への届け出を含め、厚生労働省においてガイドラインを策定する。
5.第三者機関のあり方について
○ 独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する民間組織を設置する。
○ 第三者機関は以下の内容を業務とすることとする。
① 医療機関からの求めに応じて行う院内調査の方法等に係る助言
② 医療機関から報告のあった院内調査結果の報告書に係る確認・検証・分析
※ 当該確認・検証・分析は、医療事故の再発防止のために行われるものであって、医療事故に関わった医療関係職種の過失を認定するために行われるものではない。
③ 遺族又は医療機関からの求めに応じて行う医療事故に係る調査
④ 医療事故の再発防止策に係る普及・啓発
⑤ 支援法人・組織や医療機関において事故調査等に携わる者への研修
○ 第三者機関は、全国に一つの機関とし、調査の実施に際しては、案件ごとに各都道府県の「支援法人・組織」と一体となって行うこととする。なお、調査に際しては、既に院内調査に関与している支援法人・組織と重複することがないようにすべきである。
○ 医療機関は、第三者機関の調査に協力すべきものであることを位置付けた上で、仮に、医療機関の協力が得られず調査ができない状況が生じた場合には、その旨を報告書に記載し、公表することとする。
○ 第三者機関が実施した医療事故に係る調査報告書は、遺族及び医療機関に交付することとする。
○ 第三者機関が実施する調査は、医療事故の原因究明及び再発防止を図るものであるとともに、遺族又は医療機関からの申請に基づき行うものであることから、その費用については、学会・医療関係団体からの負担金や国からの補助金に加え、調査を申請した者(遺族や医療機関)からも負担を求めるものの、制度の趣旨を踏まえ、申請を妨げることとならないよう十分配慮しつつ、負担のあり方について検討することとする。
○ 第三者機関からの警察への通報は行わない。(医師が検案をして異状があると認めたときは、従前どおり、医師法第21条に基づき、医師から所轄警察署へ届け出る。)


(保健医療経営大学学長ブログ転載)

▼かささぎ日誌

保健医療経営大学紀要収録、丹羽崇之教授の論文、
「新生児に黄疸が発症し脳性麻痺の後遺障害が残った場合、担当医師に光線療法の開始が遅れた義務違反があるとされた事例」

というのを、これから読みます。
ネットでも検索すると読めると思います。

そういえば、ことしは風疹がとても流行していて、妊娠中絶も多いのではなかろうか。かささぎは若き日、役場でバイトをしていたころ、おなじ臨時職員仲間だった既婚女性が妊娠三ヶ月で風疹にかかられ、やむなく中絶されたことがあったのを忘れることができません。
こういうのは、時の運みたいなものなのでしょうが、国家の責任はどこまであるのだろう。

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