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2012年5月23日 (水)

橋爪章4 三浦しをん著「舟を編む」書評  

三浦しをん「舟を編む」書評

花布(はなぎれ)

  橋爪 章

本書は2012年本屋大賞に輝きました。本屋大
賞のキャッチコピーは「全国書店員が選んだ、い
ちばん売りたい本」です。書店員こそが著者側(商
品)と読者側(顧客)の双方を最もよく知る立場に
あると位置づけたところがミソで、書店員が一
次投票で選出された上位10作品をすべて読んだ
うえで推薦理由を記載して二次投票を行い、大
賞を選出します。
病院の事務部職員こそが医師側と患者側の双
方を最もよく知る立場にあると位置づけて、「全
国病院事務部職員が選んだ、いちばんの患者サー
ビスマネジメント」を選ぶ「病院経営大賞」があっ
てもいいかなと思います。投票する事務部職員
はノミネートされた患者サービスマネジメント事
例をすべて勉強しなければなりませんが……。

花布(はなぎれ)のある本

良い病院であるか否かを見分けることは困難
です。受診してみなければわかりません。同様に、
良書であるか否かを見分けることも困難です。読
んでみなければわかりません。しかし、著者や編
集者の思いが詰まっている図書であれば丁寧な
装丁が施されています。著名出版社の創業者が
でき上がったばかりの本を床に叩きつけて仕上が
りを試したと言う逸話もあるくらい、本作りに情
熱を傾けている人は装丁を重視しています。
装丁用語には本の各部位を示す、天、地、前
小口、のど、花布、扉、チリ、背、平などがあ
ります。花布というのは本体と背表紙との隙間に
わずかに覗く装飾布で、本来は補強を目的とし
ていました。現在では省略されることが多い部
分ですが、花布は細部まで丁寧に作られている
ことの証です。本書には鼠色の花布があります。
良い病院の見分け方についても、手懸りがまっ
たくないわけではありません。健全に発展してい
る病院は事務部門がしっかりしており、事務部
門がしっかりしているか否かは窓口職員の接遇
で窺い知ることができます。

特殊な職場における生きがいの追求

本書の舞台は出版社の辞書編集部です。医療
に関する話題はほとんどありません。しかし、重
要性の割には華のない特殊な部署であるという
点は、病院事務部との共通点を感じないでもあ
りません。「言葉は時代によって変わる。辞書編
集は机に向かうだけの仕事に見えるけれど、実
は常に社会や人間と接している“開いた仕事”な
んですよね」(三浦しをん、受賞コメント)
物語では、他の部署では業務に適応できなかっ
た主人公が、異動した辞書編集部において新し
い辞書を編む中でその能力を発揮します。逆に、
辞書編集部に適応できなかった同僚が他部署に
異動し、他部署から辞書編集部を支えます。
著者は職業小説の名手であり、本書では適材
適所の人事配置がいかに彼らに生きがいを与え
るかが存分に表現されています。
Book
Review
適材適所の妙──異分野図書に見る人事管理のヒント
選者:橋爪 章
(保健医療経営大学学長・日本医療経営実践協会九州支部長)
書 評
花布(はなぎれ)

「医療経営士」情報誌 2012.5

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コメント

これは医療経営専門誌上での文章です。
ですから、普通の読者が普通に読んで居ては、いきなりチャンネルが病院経営のことに切り替わる連句にも似たふしぎな展開に、これは一体どういうことだ。と首をひねられることだろうと思います。

それはそれとして。
かささぎ、かつて橋爪章というタイトルで記事を三四回まとめていたと思い、わがブログ内を探せどもついに発見できず。ていうか、あまりにも橋爪章橋爪章橋爪・・・とありすぎて、データストックがかささぎのリクエストに応じられず。
わかるよ、パソコンくん。きみもたいへんだね。
まいにち、おごくろうさま。

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