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2012年3月10日 (土)

医療施設の事業継続計画(BCP)について(1)(2)  事有るときの事業継続の段取り

保健医療経営大学学長

 橋爪 章

2012 年 3 月 10 日 医療施設の事業継続計画(BCP)について(2)

経済産業省「事業継続計画策定ガイドライン」によるBCPの定義は次のようになっています。

『潜在的損失によるインパクトの認識を行い実行可能な継続戦略の策定と実施、事故発生時の事業継続を確実にする継続計画。事故発生時に備えて開発、編成、維持されている手順および情報を文書化した事業継続の成果物。』

「潜在的損失によるインパクトの認識」とは、医療施設の場合、具体的には新型インフルエンザの大流行や、大震災などが想定されます。

医療施設の事業継続を危うくする災害には、隕石激突や航空機の落下なども想定できますが、現実的確率が無視できるほど小さいことまで考慮すると、かえって確率が高い事象への認識が薄らぎます。

起こり得ることに備える、ということを基本認識としてBCPを策定すべきです。

また、BCPは「実行可能」な継続戦略であり、事故発生時の事業継続を「確実にする」ものでなくてはなりません。

そしてもっとも重要なことは、それらの確実で実行可能な手順や必要な情報を「文書化」しておくことです。

日常的な行動であれば、文書化されてなくても阿吽の呼吸で物事が進むことはよくあることですが、非日常的な行動については、出たとこ勝負ではなく、文書化できるレベルまでの事前検討がなされない限り、「確実で実行可能」な計画とは成り得ません。

平成21年の内閣府の調査によると、証券業界は77%が策定済み、銀行・地域金融機関は37%が策定済みですが、医療施設では策定済みは5%にすぎず、73%はBCPを知らないと答えています。

2012 年 3 月 9 日 医療施設の事業継続計画(BCP)について(1)

まもなく東日本大震災から1年ですが、被災県沿岸部の中核的医療機関の3割以上が、震災前の診療水準を回復できていないようです(共同通信2月26日)。

いまなお休診中で再開のめどが立っていないところ、仮設施設で診療を行っているところ、診療科目を少なくしたところ、夜間救急を中止したところ、病床数を減らしたところなどですが、回復に月日を要している原因として、施設損壊以外に、医療スタッフの減少と患者数の減少があります。

事業継続計画(BCP:Business continuity plan)とは、被災の当事者となった場合に備え、重要業務の継続と早期復旧のための手段を、あらかじめ計画しておくことです。

医療施設は、被災の当事者となった場合、同時に被災者救助の当事者としての役割も期待される施設ですので、医療施設のBCPは特に重要です。

ところが、1月下旬に実施された東日本大震災後の全国の医療施設の震災対策に関する調査(医師コミュニティサイト「MedPeer」)によると、「改善予定なし」が55.5%で、改善予定はあるが現状は改善していない13.3%を併せると、7割近くが震災前と何も変わっていない実情です。

3割の医療施設は「改善した」と回答していますが、その内容は、自家発電機や備蓄用ガソリンの配備、緊急避難マニュアルや患者搬送マニュアルの整備・再点検、薬剤や包帯などの備蓄量の確認や見直しなどでした。

BCPというには心許なく思えます。

(保健医療経営大学学長ブログ転載)

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