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2012年3月 7日 (水)

日本人死亡数の将来推計(1)~(3)

保健医療経営大学学長

 

 橋爪 章

2012 年 3 月 7 日

日本人死亡数の将来推計(1)

昨年、中医協総会や介護給付費分科会で看取りの議論がなされていた際、しばしば「死亡者数は2030年にかけて今よりも約40万人増加」というフレーズが引き合いに出されていましたが、過少推計ではないかと考えます。

この死亡者推計は国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」のうち、出生率も死亡率も中位であると仮定した場合の推計値です。

死亡者数の圧倒的多数は高齢者ですので、出生率の上下は20年後の死亡者数推計にはあまり影響を与えません。

しかし、(高齢者の)死亡率の動向は死亡者数推計に大きな影響を与えます。

国立社会保障・人口問題研究所が行う人口推計は、高度な統計理論を駆使した精緻なもので、年齢別死亡率の将来の変化については、国際機関や各国が標準的なモデルとして用いているリレーショナルモデル(リー・カーター・モデル)をベースに、わが国の高齢者死亡率の改善が特に顕著であることを加味した「修正リー・カーター・モデル」が用いられています。

従って、国立社会保障・人口問題研究所の死亡数推計は、高位・中位・低位推計ともに、高齢者の死亡率改善の傾向が続くことが前提となっており、最近発表された「日本の将来推計人口(平成24 年1月推計)」においても、高齢者の死亡率改善が大前提となっています。

死亡高位推計は死亡中位推計よりも高い死亡率、すなわち死亡率改善のペースが遅く、平均寿命が低めに推移することを仮定した推計ですが、死亡高位推計であっても2030年の平均寿命は、男性が1.61歳伸びて81.25歳、女性が1.58歳伸びて87.97歳と予測されています。

死亡率推計に用いられているのは1970年以降の40年間のデータですが、改善の度合いは徐々に緩やかになってきています。

高齢者の死亡率推計については過去15年間の変化が加味され、改善スピードは直近の5年の平均値が将来も続くという前提です。

この前提さえ崩れなければ、将来推計が高位推計と低位推計との間に収まる確率は99%となります。

しかし、以前にも話題提供しましたが、平成22年は高齢者の死亡率が悪化し、女性の平均寿命が短縮する事態となっています。

高齢者の死亡率改善の急ブレーキは平成23年も続いているようです。

死亡推計の前提が崩れています。

日本人死亡数の将来推計(2)

近年の日本人の月別死亡数は次の通りです。(×千人)

20082009 対前年増 2010 対前年増 2011 対前年増

1  1101143.6%1131.1%1206.5%

  2  10294  7.9%983.8%1013.6%

  3  1031011.7%1032.2%1128.7%

  494940.4%995.5%1055.7%

  592931.2%985.4%1057.1%

  684850.7%906.6%966.3%

  788870.9% 959.6%971.9%

  888890.7%967.9%100 4.1%

  985883.0%924.7%96 4.9%

10 93952.1%983.9%    101  3.0%

11 98970.8%104 7.0%(104)

121051060.5%1114.6%(112)

年計 1142 11420.0%11974.8%

 

2010年までは確定数、2011年1~10月は概数(月報)、11~12月は速報値です。

速報値には、通例、1%弱の誤差があります。

2011年3月は大震災の発生月であり、9千人の対前年増となっています。

東日本大震災の死者・行方不明者は1万9千人ですので、多くの死亡が3月報告にはカウントされていないと推測されます。

概数(月報)は、報告期限より遅れて報告されたものが翌月以降の統計に機械的にカウントされますので、2011年3月の大震災の死亡のうち1万人前後は翌月以降の概数にカウントされていると思われますが、2011年4~9月の半年間の死亡数の対前年増は3万人ですので、大震災の影響を除いても、死亡数は増加基調です。

対前年増減の反動として、対前年増が著しい月の翌年は、相応の対前年減となるのが通例ですが、2010年4月以降は、一貫して死亡数が顕著に増加しています。

2010年に死亡数が急増し平均寿命が後退したことの理由として、2010年の熱中症の多発が挙げられていますが、熱中症の死亡多発月は6月から9月ですので他の月の死亡数増加の理由とはなりません。

ちなみに各年の熱中症による死亡者数は次の通りです。

 

  2008   2009   2010   2011

6 7  32   20  138

7 300  81  657  324

8 206  89  765  242

9  24  17  242   68

 

2010年の7月と8月に特に熱中症が多発していますので、そのような気候条件が人々の死亡リスクを高め、このふた月の著しい対前年増を招いたことは推論として正当だと思いますが、年間を通して死亡数の増を招いているのは高齢者の死亡率の悪化です。

高齢者の死亡は医療提供体制の影響を受けがちですが、2010年4月の診療報酬の改定が死亡動向の変化の変曲点となっているのが気になります。

日本人死亡数の将来推計(3)

2010年の年齢別死亡率については「平成22年簡易生命表」(平成23年7月公表)で知ることができます。

しかし、平成22年簡易生命表による年齢別死亡率を平成22年国勢調査による基準人口(年齢別人口)に掛け合わせても総死亡数は115万人となり、実際の死亡数とは5万人もの誤差があります。

特に、75歳以上の後期高齢者の誤差が大きいようです。

簡易生命表は、日本人人口(推計)と人口動態統計月報年計(概数)をもとに毎年作成されているものです。

平成22年は国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)をもとにした5年ごとの「完全生命表」が作成される年でもありますので、より正確な年齢別死亡率は完全生命表の発表を待たねばなりません。

入手可能な人口資料と死亡統計資料をもとに、実際の年齢別死亡数との誤差が最小となる私家版生命表を作成し、平成22年国勢調査による基準人口をスタートラインにして、以降20年間、私家版生命表の年齢別死亡率が持続すると仮定した場合の日本人死亡数の将来推計を試みました。

その結果は次の通りです。

 

日本人死亡数の将来推計(×万人)

_____2010 2015 2020 2025 2030

全 年 齢120 139 157 170 178

0~6418  16  16  16  16

65~7419  22  22  19  18

75~7916  17  20  22  19

80~8942  52  58  63  71

90以上24  32  42  49  54

 

政府発表は「死亡者数は2030年にかけて今よりも約40万人増加」ということですが、年齢別死亡率が改善しないという前提では、2030年にかけて58万人増加します。

2030年にかけて75歳未満の死亡数はあまり変化しませんので、増加数のほとんどは後期高齢者の死亡ということになります。

2010年よりも40万人増加するのは2021年、わずか9年後です。

3年後の2015年には19万人も増加します。

死亡数増加の背景には、死亡数に比例した療養患者の増加もあります。

病院のベッド数が増えない以上は、早急に在宅医療体制と在宅看取り体制を整えなければ、多くの高齢者が死に場所を失ってしまいます。

(保健医療経営大学学長ブログ転載)

▽かささぎの独り言

葬儀を経て、かささぎ、戻ってきました。

平成八年の祖母の葬儀とくらべて変わっていたことがいくつか。

映画「送りびと」の影響ははかりしれません。

あの場面とまったくおなじでした。

なきがらはとてもきれいに処置、維持してもらえました。

それから、死装束から三角はちまきがきえてました。

あれをするとおばけみたいで怖がられるそうです。

それから、今回、隣組の援助を仰ぎませんでした。

あえて、「うったちのおぜん」もとなりぐみの方々にはふるまいませんでした。

手伝ってもらって手を煩わせれば例を引くからです。

みなさん仕事をもっておられます。
休みをとってかけつけてもらうのは気がひけました。

とはいえ。

実際には同町内の方々に多く参列していただいた。
お昼のお膳たくさん余った。
ああみなさんにたべてもらいたかった。

予想がつかないものを準備するのは、むずかしいものです。

 

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