無料ブログはココログ

« 八女福島の燈籠人形 | トップページ | 斧田のやさしさに泣く。 »

2012年1月11日 (水)

乙四郎先生に学ぶ国際協力論~ケニア共和国輸血の安全性確保プロジェクト

保健医療経営大学学長

 

 橋爪 章

2012 年 1 月 11 日 ケニア共和国輸血の安全性確保プロジェクト

明日、長崎大学で国際協力の「評価」に関する講義をいたします。

次の終了時評価報告を講義題材として整理しました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ケニア共和国輸血の安全性確保プロジェクト

2006/10/202009/10/19

協力金額:2億7千万円

先方関係機関:医療サービス省、国家輸血サービス(NBTS)、ナクル地域血液センター(RBTC)、リフトバレー州総合病院、ナイバシャ県病院、コイバテック県病院

協力の背景と協力内容

ケニア共和国の血液事業は、輸血が必要になった際に患者の親族や友人から供血者を募り、採血を行うシステムに長年拠っていましたが、HIVをはじめ血液由来の感染症の危険が指摘されるとともに、供給体制の不備や血液製剤を使用する病院側の管理面が問題視されました。ケニア国政府は2001年に国の血液事業に関するガイドラインを策定し、自発的・無報酬の献血を促進し、血液センターで採血・検査・血液製剤化し、品質の確保された血液製剤を各病院に供給するシステムへの移行を進めています。ケニア国政府は我が国に血液製剤の安全で無駄のない適正使用の技術協力の要請を行いました。

(1)上位目標

プロジェクトで実証された、血液製剤の安全で無駄のない適切な使用に対するアプローチが、ケニア国内の他の輸血サービス機関に適用される。

(2)プロジェクト目標

血液製剤の安全で無駄のない適切な使用に対するアプローチが開発・実証され、国の基準として適用される。

(3)成果

1)血液事業に関係する機関・施設間の連携や情報共有が強化される。

2)小児用小容量濃厚赤血球製剤がRBTCナクルで安全に調製される。

3)RBTCナクル、モデル病院及びナクル地域の非モデル病院で、血液及び血液製剤のロジスティクス管理が改善され、そのシステムがケニアの他地域に導入される。

4)モデル病院で血液製剤が安全かつ適正に使用される。

(4)投入

日本側:長期専門家派遣 2名  短期専門家派遣 7名

研修員受入れ 19名

機材供与 2864万円  ローカルコスト負担 3070万円

相手国側:カウンターパート(C/P)配置 24名

土地・施設提供  ローカルコスト負担 2億4056万ケニア・シリング

<終了時評価調査結果>

200712月の国内治安情勢の急激な悪化により日本人専門家のモデルサイトへの立ち入りが禁止となり、暴動によりモデル病院の活動も休止状態となりましたが、ナイロビからの遠隔運営によりプロジェクト目標は達成される見込みとなり、プロジェクトの有効性は高いと判断されました。C/Pの能力が大きく向上し、記録や文書化がなされ、課題発見と分析による解決のための行動をとることができるようになりました。

米国大統領エイズ救済緊急計画資金の拠出の遅れやJICA専門家(チーフアドバイザー)の派遣遅延はプロジェクト前半期の活動の円滑な実施に影響を及ぼしましたが、ローカルコンサルタント(前NBTS所長)の雇用によって目覚しい活動の進捗があり、効率性は高いと判断されました。特に本邦研修を受けたC/Pが研修成果を生かしてプロジェクト活動実施に大きく貢献しました。

予期せぬ小児用小容量濃厚赤血球製剤の色調変化の問題発生が活動の進捗に影響を及ぼしましたが、この問題の発見・解決の過程を通してC/Pのキャパシティ・ディベロップメントにつながったこと、モデル病院の医師が異動先の他病院でも活動を展開したことなどのインパクトもありました。

政策面・技術面での自立発展性は非常に高いと判断されましたが、財政面についてはケニア政府がBTSの維持に必要な財源確保についての明確な考え方と計画を策定する必要があります。この点については、コスト・リカバリー・システムと国家予算配分について検討すること、必要な予算規模についてはコスト分析を明らかにすることなどを提言しています。

このプロジェクトから得られた教訓は次の通りです。

(1)開発パートナーと協力分野を区分して実施したために、支援対象に集中して効果的な活動が実施可能であった。しかし、一方でその前提条件である各パートナーによる活動が計画通り実施されない場合には、プロジェクトは深刻な困難に直面する。

(2)現場での日本人専門家からC/Pへの直接の技術移転によるキャパシティ・ディベロップメントは、JICAが比較優位を有する効果的なものであることが確認された。このような技術移転の手法は、移転した知識と技術を更に拡大するその後の活動においても、C/Pのオーナーシップを醸成し自発性を促進するのに、非常に有効である。

(3)リスクマネージメント領域の協力はJICAにとって新しい協力分野である。リスクマネージメントは安全性という究極の目標を追求するものであり、JICA協力後も途上国自身が自立的、持続的にリスクマネージメントの制度改善や技術向上を進めていくことを支援すべく、それらの基盤となる制度や仕組みの構築支援に注力することに意義がある。今後も様々な角度からの議論が必要な領域であるが、特に途上国においてはこれら制度・仕組みの構築のプロセスとして、やはりキャパシティ・ディベロップメントが重要かつ有効であることが示唆される。 

保健医療経営大学学長ブログ転載

∇かささぎの独り言

久々の国際協力論です。
去年はこのような国々へのこのような協力を学びました。

中国;http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-f19a.html

   http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-987b.html

ホンジュラス;http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-3a87.html

ほかにもいろいろ。マダガスカルが記憶に新しいです。

« 八女福島の燈籠人形 | トップページ | 斧田のやさしさに泣く。 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 八女福島の燈籠人形 | トップページ | 斧田のやさしさに泣く。 »

最近のトラックバック

2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31