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2011年5月28日 (土)

フランスの社会保障制度(1)                 事業主の負担が重い医療保険

保健医療経営大学学長
 橋爪 章
2011 年 5 月 28 日 フランスの社会保障制度(1)

フランスの国家体制は、中央集権的で、日本と似ています。
また、社会保険を社会保障の根幹にしている点も日本と同様です。
しかし、日本とフランスは、社会保障の制度設計において隔たりがあります。
フランス憲法にはわが国の生存権に相当する明文規定は存在しませんが、社会保障法典に「社会保障の組織は国民連帯の原則に基づく」と規定されています。
すなわち日本では、国家に国民の生活保障義務があるとして制度が構築されていますが、フランスでは、社会保障は労使双方の協力によるとの認識のもとで制度が構築されています。
フランスの社会保障制度は19世紀後半のドイツで創設されたビスマルク社会保険に起源を持っています。
1870年の普仏戦争でドイツ領となったアルザス・ロレーヌ地方が第一次世界大戦後にフランス領に戻ってきたとき、社会保険の思想もフランスへ持ち込まれ、フランスでも社会保険が創設されました。
第二次世界大戦後のフランスの社会保障制度の出発点は、1946年にピエール・ラロックが策定した社会保障計画(ラロックプラン)です。

ラロックは、社会保障はすべての国民を対象としなければならないとし、国民連帯の理念のもと、普遍化原則、単一金庫原則、自律性原則という三原則に基づいた社会保障制度を構想しました。
すべての国民に適用が及び、単一の管理運営組織(全国社会保障金庫を頂点とした保険金庫網)のもと、保険料を唯一の財源として、当事者が制度の管理運営を行うという社会保障制度構想です。
国庫には依存せず、財政面でも運営面でも自律を保つことを原則としていた点がフランスの社会保障の特色でしたが、1990年代からは国家(国税)の関与が強まり、原則が崩れてきています。
フランスの社会保障は、民間企業労働者を対象とする一般金庫、特定の業種や職種で組織される特定業種金庫、自由業者や自営業者を対象とする自由・自営者金庫、農業を対象とする農協金庫の4つに大別されます。
また、保険金庫とは別に、相互扶助の補足制度(民間共済保険など)があります。
補足制度は、公的年金や公的医療保険の法定給付に上乗せ給付を支給する制度です。
保険料の負担については、労災補償は、日本と同じく、全額を事業主が負担しますが、
年金保険、医療保険は、日本と異なり労使折半ではなく、事業主の負担割合が高くなっています。
たとえば医療保険については、労使の保険料率は0.75%と12.8%です。
財源をより多く負担するほど発言力が大きいのは世の常で、フランスの社会保障は、他のヨーロッパ諸国の社会保障に比べて事業主側(日本の経団連に相当する組織)が大きい仕組みとなっています。

保健医療経営大学「学長のひとりごと」

▽かささぎの独り言

学長。最後の数行がわたしにはちっともこなれません。

「年金保険、医療保険は、日本と異なり労使折半ではなく、事業主の負担割合が高くなっています。
たとえば医療保険については、労使の保険料率は0.75%と12.8%です。
財源をより多く負担するほど発言力が大きいのは世の常で、フランスの社会保障は、他のヨーロッパ諸国の社会保障に比べて労働側の発言力が大きい仕組みとなっています。」

他国と比べて労働側の発言力が大きい仕組み、ってありますと、いかにも労働者側の発言力が大きいような印象をもちます。しかし、全体の文脈上からは、事業主の発言力が大きい(お金をたくさん出す方が発言力が大きくなると書かれていますよ)ような気がしませんか?労使の保険料率の数字、労働者側が0・75%で使用者側が12.8%とありますし。

このねじれた表現、なぜでありましょう。

訂正された部分をあらためました。(22:44現在)

コメント、貼り付けておきます。(かささぎ)

コメント

学長の書き間違いでした。
修正するそうです。

こんにちは、はじめてコメントさせていただきます。
学長様が訂正される際には、是非とも0.75+12.8=13.55%
と100%との差(86.45%)の部分の負担主体のことも説明して欲しいと思います。
この差異は国庫税収からの支出と言うことでしょうか?

その意味では、最近、国の言い分が巾をきかせていると言う最初のコメントは正しいですね。
問題は、誰が税金を払っているのでしょうか…

http://blog.livedoor.jp/personofleisure/

コメントありがとうございます。
保険料率とは、個人所得の何パーセントに相当する額を拠出するかの率(日本の場合は、保険者によって異なりますが協会けんぽの場合は9%前後)ですので、100%から引いた分を他の誰かが拠出、というようなものではありません。
しかしながら、ご指摘のように近年はフランスでも税による補填が大きくなってきていますので、国の発言力が強くなってきているのは事実です。

労働側
  ↓
事業主側(日本の経団連に相当する組織)

に修正しました。

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コメント

学長の書き間違いでした。
修正するそうです。

こんにちは、はじめてコメントさせていただきます。
学長様が訂正される際には、是非とも0.75+12.8=13.55%
と100%との差(86.45%)の部分の負担主体のことも説明して欲しいと思います。
この差異は国庫税収からの支出と言うことでしょうか?

その意味では、最近、国の言い分が巾をきかせていると言う最初のコメントは正しいですね。
問題は、誰が税金を払っているのでしょうか…

コメントありがとうございます。
保険料率とは、個人所得の何パーセントに相当する額を拠出するかの率(日本の場合は、保険者によって異なりますが協会けんぽの場合は9%前後)ですので、100%から引いた分を他の誰かが拠出、というようなものではありません。
しかしながら、ご指摘のように近年はフランスでも税による補填が大きくなってきていますので、国の発言力が強くなってきているのは事実です。

労働側
  ↓
事業主側(日本の経団連に相当する組織)

に修正しました。

フランスの社会保障制度 2011
検索で1番目くらいにきます
シリーズの三番目まで読まれている
自分のことみたいにうれしいです

最近iPhoneになって,昼休みと午後の十五分の休み、残業前の三十分の休み、の三回の休みに、ちょこちょこアクセスをのぞいてます。
すると普段のアクセス解析では気づかないことに気づかせてもらえる。
惰性でアクセス解析やってたなあとハッとして、気合を入れ直さねばいかんと強く反省。
これにはびっくりしました。神聖ローマ帝国のサクラが今も残る国、も読まれている。
中国のとロシアのが面白いとかささぎは思うよ。
幻の命談義が今もダントツ一位なんです、じつは。
その読者の若者たち、どうか乙四郎先生の書かれたこれらの社会保障論を読まれてください。
そして、筑後へいらっしゃい。笑。

では今日も元気に行ってきます。
疲れた。貧乏暇なしってこのことよね。

検索サイト Yahoo  検索ワード 社会保障制度 フランス

4位

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