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2011年5月30日 (月)

フランスの社会保障制度(3)              国家による統制の強化が招くもの

保健医療経営大学学長

 橋爪 章

2011 年 5 月 30 日 フランスの社会保障制度(3)

フランスでは、憲法改定を経て1996年末に社会保障財政法が制定されました。
社会保障財政法は、国家(議会)が社会保障や保健医療の方針を承認し、社会保障金庫の収支計画を明示し、特に医療保険については支出の全国目標を定めるものです。
憲法改定と新法提案に際しては「民主主義において、経済・社会問題の重大な選択の責任は第一に議会にある」「経済、保健医療および社会問題の相互依存が、社会保障に関する政策選択における国家責任の再定義を強く求めることとなった」と説明されています。
政府と医療機関に保険金庫の運営を任せるのではなく、労使がお互いの利益を守るべく、自分たちの拠出金の運用を管理するという考え方は民主的だったのですが、それまでの社会保障の赤字を返済するために目的税である社会保障債務償還拠出金が導入され、財源の拠出者に国民が加わったことにより、議会が社会保障財政をコントロールすることになりました。
社会保障に国家が強く関与することにより、ラロックの自律性原則は後退しました。

国家による統制の強化は、社会保障制度の運営責任のウェイトが、保険料負担者(労使代表)から税金負担者(国民代表=議会)へとシフトしたことを意味します。
日本でも社会保障は公助・共助・自助の区分で論じられますが、日本では制度発足当初から財源に税金が投入されていますので、社会保険と社会扶助の性格が混在した制度となっており、運営責任のあるべき姿についてフランスのように憲法改正に及ぶような議論を招くことはありませんでした。

(保健医療経営大学「学長のひとりごと」転載)

▽かささぎの独り言

ラロックの聖母・・・ダヴィンチの一枚か。http://laroque.exblog.jp/

ラロックの自律性・・・という言葉からひきだされるもの。
以下かささぎの恣意的な一方的な部分引用です。
PDFファイルを資料として貼り付けます。どなたさまもありがとうございます。
もしご都合が悪い場合は削除するのにやぶさかではございません。
かささぎの旗は著作権をおかすものではございません。

1橋爪章

第二次世界大戦後のフランスの社会保障制度の出発点は、1946年にピエール・ラロックが策定した社会保障計画(ラロックプラン)です。
ラロックは、社会保障はすべての国民を対象としなければならないとし、国民連帯の理念のもと、普遍化原則、単一金庫原則、自律性原則という三原則に基づいた社会保障制度を構想しました。
すべての国民に適用が及び、単一の管理運営組織(全国社会保障金庫を頂点とした保険金庫網)のもと、保険料を唯一の財源として、当事者が制度の管理運営を行うという社会保障制度構想です。

▽社会保障法制における国家の役割
――フランスにおけるアンチエタティスム――
多田一路

現代のフランスの福祉国家形成については,ピエール・ラロック(Pierre Laroque)の業績に負うところが大きいことはよく知られている。そこで,ラロックが社会保障を具体的に制度化するに当たっての基本原理である「国民連帯solidarite nationale」の理念と,そこから導き出される三つの原則について,指摘しておきたい。
ラロックにあっては,社会保障とは「同じ国民社会の全ての構成員によって組織される連帯」)である。この「社会の全ての構成員」は,手工業職人や商人,農業開拓者をも含む)もので,必然的にそれは国民的規模になるのであり,特定の業種や職種に限定されるものではない。ラロックの言う「国民連帯」とは,このような意味合いを持つものであった。
そして,この「国民連帯」の理念からでてくるのが,一般化原則,統一組織の原則,当事者参加の原則である。
一般化原則とは,社会保障の対象範囲を全国民とすることであり,統一組織の原則とは,社会保障が単一の組織によって統一的に管理されなければならない,ということであるが,この両者はラロックにあっては不分離の関係)であった。
社会保障を担う金庫caisse がバラバラだと,それぞれにより享受する利益にも偏差が生じてしまうのであり,すべての国民が
社会保障による利益を享受するという一般化原則が機能するためには,その組織が単一でなければならない,ということになるのである。

▽フランス社会保障研究の現在
藤井 良治

社会保障はきわめて多様な要素によって構成される現代の巨大な社会的構造物である。
その多様性は,社会保障が含んでいる対象や領域によっている。平たく言えば,社会保障は,揺りかごから墓場までということばに代表されるように,われわれが生涯において遭遇するさまざまな生活上の危険,すなわち,出産,育児,教育,就労,失業,病気,障害,退職,死亡などに由来する経済上,生活上の不安をもたらす,いわゆる社会的リスクに対処するためのものである。しかし生活上の不安に関わるものはすべて社会的リスクであるわけではなく,どれを社会的リスクとするかはそれぞれの社会によって異なる。また社会的リスクに対してどのような仕組みで対応するかも異なる。(途中すっとばしますすみませぬ、かささぎの旗)このことは社会保障が社会によって国によって異なる大きな理由でもあるう点からの制度論的アプローチなどのアプローチがあり得る。こうした研究アプローチという点からフランス社会保障研究を見た場合研究の多くが制度論的アプローチに軸足を置いている

▽フランス社会保障制度の現状と課題

江口隆裕

1946年1月、ピエール・ラロックは、悲惨な戦争が終わり、古い秩序は破壊されたとして、新たな社会・経済秩序と社会保障制度再建の必要性を訴え、戦後フランス社会保障の基本的方向を示すラロック・プランを公表した1)。そこでは、まず完全雇用を目指し、社会保障は労働収入では不足する場合にこれを補うものと位置づけた。そして、国民連帯(※)の理念に基づきすべての国民に社会保障を適用するとともに、社会のあり方として社会民主主義を標榜し、労働者の経済生活や企業管理への参加の
促進だけでなく、社会保障制度への参加も謳った。さらに、労使関係者が自ら制度を作り上げるためにも、税方式ではなく社会保険方式を採用することによって、効率性の最大化をも目指すとした。
それから60年余りが経過した。政治的には、1958年に第5共和政に移行し、ド・ゴール将軍の身の丈に合わせるように大統領の権限が強化され、ポンピドー(1969-74年)、ジスカール・デスタン(1974-81年)、ミッテラン(1981-95年)、シラク(1995-2007年)と5人の大統領が統治してきた。この間、左派(社会党)のミッテランおよび保守派(共和国連合)のシラク両大統領の時代には、大統領と首相の政治的立場が左右に分裂する保革共存(cohabitation)も経験している。他方、経済では、栄光の30年(Lestrente glorieuses)と呼ばれる戦後の高度経済成長期を経て、1970年代後半以降、オイルショックなどを契機に低成長への転換を余儀なくされる中で、失業者は増大し、国家財政も赤字基調が続き、社会保障財政も赤字に苦しみ続けることになる。この間、1993年に欧州連合条約が発効し、2002年1月にはユーロへの通貨統合が始まり、フランスは、ヨーロッパにおける偉大な国家フランスからEU の一員としてのフランスへの道を選択する。
このような変化の中で、ラロック・プランの理念がどこまで貫徹されているかを概観してみよう。まず、雇用の状況をみると完全雇用の理想からはほど遠く、失業は常に大きな社会問題になっている(2007年8月現在、318万人)。わが国の皆保険に相当する社会保障の一般化(※)は、1999 年の普遍的医療保障制度(Couverture Universelle:CMU)の創設によって半世紀ぶりにようやく実現した。また、社会保障財源についても、1991年には新たな財源として社会保障目的税たる一般社会拠出金(※)が導入され、さらに、1995年には、それまでの社会保障の赤字を棚上げし、その債務を10年以上かけて返済するための目的税である社会保障債務償還拠出金(Contribution Remboursement de la Dette Sociale:CRDS)が導入された。そしてその代償として、社会保障全体の予算をコントロールすることを目的とした社会保障予算法の仕組みが導入され、これによって議会が社会保障予算をコントロールすることになった。このように、フランスの社会保障2)は、その前提となってきた政治的、経済的、社会的諸条件の変化とともに、自治ないし自律(Autonomie)という特色を失いつつあるが、それでもなおラロックが示した連帯の理念は失われていないようにみえる。
以上のような変化の中にあって、フランス国民は、2005年5月の国民投票でEU 憲法の批准を拒否し、EU 市場(至上)主義にNon !を突きつけたかのようにみえた。しかし、それでも物価の上昇、移民問題、治安の悪化、教育問題などの課題は解決せず、今年になってアメリカ流市場主義を標榜するかのようにみえる国民運動連合(UMP)のサルコジ氏を大統領に選出した。
市場主義者からの挑戦は、ここ数年来、わが国の社会保障に対しても激しく行われている。それゆえにこそ、わが国でも連帯の意義が改めて問われなければならず、その母国たるフランスの連帯に関する研究は近年勢いを増しつつある。

※少し古い文書ではございますが、簡潔にまとめられてあるとおもいました。
   (かささぎの旗)

藤井良治というかたの、

社会保障はきわめて多様な要素によって構成される現代の巨大な社会的構造物である。

なるほどなっとくのいく、いいことばです。

アダブリーダーではよみとれぬ部分は□で変換されまして、それをそのままアップしようとすると、待ったがかかります。どうしようかと思いましたが、その部分は(※)で代替いたしました。どうかお許しください。フランス語が入るようでした。まるで虫食い問題みたいですな。

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コメント

おはようございます。
ラロックの聖母>>八代亜紀さんの絵画展でダヴィンチ作品の模写画がたくさんありました。とても尊敬してあるみたいで、聖母と子供2人の絵もありましたよ。もしかしてこれだったかも・・☆・・よく似ています。

ザ・ベストハウス123で観ました。
最近のベストハウスは製作意図が表面的で面白みに欠けますが、当時はいい企画が多かったようです。

おいおい。そこかよ~

ラロックプラン

検索三位

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本家ブログ5位
かささぎのブログ7位

けさ、よじおき。
おしっこにおきてそのままという、よくあるろーじん型でござんすよ。
まえのよるの洗い場の片づけをしたり、べんとうをつくったり、せんたくをしたりしていたら、あっというまに六時。
六時からてれびにひをいれた。
いちごの低コスト栽培で、苗をそだてるポットの土に、ネイキッド培土が開発されて、これだとなんのエネルギーもいらずに平常の夏場の土の温度より7度も低く管理できるらしい。
いちごって、おいしいんだけど、夏の一番暑い盛りの苗の管理が大変な苦労ですものねえ。
ももしま、という(百島)ところでいま、試験栽培しているそうです。コスト削減がいのち。

いえいえ、そうではなく。ダビンチ。
ラロックのせいぼ、から、ここへつながりました。
なぜかここが10位にはいっているので、ひらいたら、ダビンチとフランスか!
日本で初めて公開される聖母子像、下に複数の人物がえがかれていたことがエックス線撮影でわかったというニュースも流れました。
わたしがおもしろいとおもったところは、ダビンチがえがきなおした理由。背景は単なるケイの絵、そのほうがより神聖にみえるから。
なんかさ。連句でいつも前田先生にいわれてきたことをおもいだしましたわ。けいの句をだしなはれや。
うばぐるまがもうすでにあったんですね。日本でいえばせんごくじだいか。

ちょいとちょいと!
昨夜の大河ドラマ見た?
まさかの展開でしたなー。
イッセイさんが死ぬのは分かってたけど、。
史実もはりつけだったのだろうか。
ううむ。

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