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2011年5月18日 (水)

放射線、放射能と健康被害(11)            WHO総会開幕 報告書よりこの部分を

2011 年 5 月 18 日 放射線、放射能と健康被害(11)

16日、193の加盟国代表が参加してWHO総会(第64回世界保健総会)が開幕しました。

本年は、福島原発事故を受け、放射性物質による健康被害の予防対策なども話し合われる予定です。

WHOは、チェルノブイリ事故から20年目の2006年に健康影響についての概況報告書を発表しています。

http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html

福島の現時点での汚染(放射線量)はチェルノブイリより少なく、基準値を超える飲食物も流通が制限されていますので、住民の健康リスクはチェルノブイリ以下ということになりますが、当のチェルノブイリの健康影響がどうであったかということが客観的に把握できなければ不安は払拭できません。

チェルノブイリの健康影響については様々な情報が溢れており、中には数百万が癌になるという情報まで流布していますが、種々の情報の中で最も信頼に足る情報は、世界中の健康影響評価の第一人者により、20年間の間に収集した科学的根拠に基づいて分析評価が行われたこの報告書であろうと思います。

This fact sheet gives an overview of the health effects of the Chernobyl accident that can be established from high quality scientific studies. For people most affected by the accident, provision of sound, accurate information should assist with their healing process.

(この報告書は、質の高い科学研究に裏打ちされた、チェルノブイリ事故の健康影響の概況です。事故によって最も影響を受けた人々にとって、信頼おける合理的で詳細な情報の提供は彼らの立ち直りに役立ちます。)

チェルノブイリ原発が爆発して、大気中に膨大な量の放射性物質が放出されたのは1986年4月26日のことです。

放射性物質はベラルーシ、ロシア連邦、ウクライナの広域にわたって堆積しています。

また、薄い濃度の放射能汚染は、ヨーロッパ全域のみならず世界中に拡がりました。

WHO報告書によると、原発周囲で放射能軽減作業等に従事した軍人、発電所従業員、警察官、消防士等の数は1987年までに35万人で、そのうち30km内での作業従事者は24万人でした。

周辺住民については、11万6千人が1986年に非汚染地域に避難し、23万人がその後の数年間で移住しました。

現在は、約500万人が放射性セシウムの堆積量が37キロベクレル/平米以上の地域に住んでいます。

このうち約27万人が厳戒制限区域(放射性セシウムの汚染が555キロベクレル/平米以上)の地域に住み続けています。

WHOの専門家グループは3つの被災国での研究を実施した多くの科学者から構成されています。

WHOの専門家グループは、特に科学的な質を重視しました。

日本の被爆者研究との比較も行われました。

チェルノブイリでの20年間の蓄積線量は次の通りです。

なお、自然放射線量は20年間で48ミリシーベルトですので、汚染地域居住者の500万人は自然放射線のレベル以下の被曝が自然放射線に加わったということになりますが、合計線量は、地球上の自然放射線の分布変動範囲内です。

放射能軽減作業従事者(1987年まで)24万人・・・100ミリシーベルト以上

避難者(1986年)11万6千人・・・33ミリシーベルト以上

厳戒制限区域居住者27万人・・・50ミリシーベルト以上

汚染地域居住者500万人・・・10~20ミリシーベルト

24万人の放射能軽減作業従事者のうち134人が急性放射線症の発症の可能性がある高線量の被曝を受けています。

このうち28人が1986年に死亡しました。

急性放射線症以外の死亡は、100ミリシーベルトより低い被曝では仮説にしかすぎませんが、専門家グループは、最も被曝量の高い3つの集団に確率的影響があると仮定し、生涯の癌死亡者が4000人超過すると結論しています。

なお、被曝がなくても、この3つの集団では12万人以上が癌で死亡すると推計されています。

汚染地域居住者500万人についても確率的影響を当てはめると、さらに5000人の癌死亡が追加される可能性があり、薄い汚染のヨーロッパでも死亡追加の可能性はありますが、これほど低い線量での確率的影響は実証困難です。

増加が実証された健康影響は、住民(こども)の甲状腺癌と放射能軽減作業従事者の白血病くらいです。

先天奇形や死産などの生殖への影響については、汚染地域と非汚染地域での比較において、被曝との関係を示す統計は出ていません。

以上がWHO報告の要点です。

報告書では、甲状腺癌や白血病など、さらなる調査が必要とされている事項もありますが、チェルノブイリ事故で数百万人が癌になるというような情報は、500万人の汚染地域住民の生涯の癌発生率(3人に1人)をそのまま事故影響と短絡させたか、ヨーロッパ人口や地球人口を母数として、自然放射線レベルの被曝に確率的影響を当てはめた結果であろうと思われます。

保健医療経営大学「学長のひとりごと」

▽筆者・保健医療経営大学学長・橋爪章氏について

橋爪 章 (はしづめ あきら)

●略歴・業績
◆略歴
福岡県八女市生まれ
真和高等学校卒
気象大学校中退
山口大学医学部医学科卒
山口大学大学院医学系研究科神経精神医学専攻博士課程中退
1981年 厚生省(現厚生労働省)入省 公衆衛生局地域保健課
1981年 神奈川県出向(衛生部予防課、厚木保健所)
1982年 厚生省児童家庭局母子衛生課主査
1985年 厚生省健康政策局総務課課長補佐
1986年 和歌山県出向(衛生部健康対策課長)
1989年 厚生省薬務局血液事業対策室長
1990年 厚生省薬務局医療機器開発課課長補佐
1991年 厚生省大臣官房厚生科学課課長補佐
1991年 タイ王国保健省派遣
1993年 厚生省保健医療局企画課課長補佐
1995年 広島市出向(衛生局長、社会局長)
1997年 国際協力事業団(JICA)出向(医療協力部医療協力第一課長)
2000年 国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター審査第三部長
2002年 厚生労働省医薬局血液対策課長
2003年 国際協力機構(JICA)出向(医療協力部長、人間開発部技術審議役)
2006年 国立精神・神経センター運営局長
2007年 国立精神・神経センター武蔵病院長
2007年 厚生労働省退省
2007年 聖マリア病院経営企画室
◆資格・免許
医師免許、医学博士
◆主な業績
国民衛生の動向(厚生統計協会)、世界の公衆衛生体系(日本公衆衛生協会)等、教材の分担執筆多数。
東京大学講師(併任)、聖マリア学院短期大学講師(非常勤)や金沢大学、信州大学、群馬大学、横浜国立大学等の特別講義講師を歴任。
日本医学教育学会シンポジスト等、学会講演多数。
「新生児死亡のリスクファクター」(山口医学:博士論文)、「Outcome of 25 neuroblastomas revealed by mass screening in Japan」(Lancet)等、学術論文の単著、共著多数。
国際協議のための海外派遣50回以上。
◆専門分野
社会保障、保健医療行政、国際協力

コメントをよめばこの人がみえる。
かささぎ推薦コメント↓

細かくは計算してないけど、我々昭和人は、福島原発で避難勧告がなされている人たちよりは、はるかにたくさん被曝してると思う。なにせ、十数年にわたってず~っと今の一万倍の放射能が天から降ってた時代だから。
当時は農作物からも牛乳からも水からも、たくさん放射能を取り込んでいました。摂取規制がなかった時代です。
福島原発が地球を汚しているのは事実ですが、大気圏内核実験をやってた国々にはそれを批判する資格はありません。
それにしても、なぜ気象庁は昭和32年以降の観測データを現在の観測データまで連続したグラフにして発表しないんだろう。
昔のデータはベクレル/平米で、最近の報道発表データはベクレル/kgなので比較もしにくい。

下のほうの
>平成以降、人工放射能の観測値は小さくなりましたが、それでも10ベクレル前後の降下物が観測されています。
は単位間違いで10ミリベクレル。
(学長ブログは修正済)

ところで私の学年は、最も放射線感受性の高い胎児の時に、ビキニ核実験の放射性降下物で大量の被曝をした特異的な学年なのですが、だからといって先天異常がこの学年に多いという統計はありません。(変な人は多い?)
それを思うと、当時よりも少ない被曝線量で避難勧告だの20年住めないだのと大騒ぎするのもどうかと思いますが、現代の価値基準ではそういうことになるのでしょうか。

知らぬが佛。ってことばは味わい深いですね。
なーんもしらんかったときは、だれもうらむでもなく、平和でありました。
しかし、そういうことをしってしまえば、もしやこれはその影響ではとか迷いのこころがおこります。

仕事帰りに週刊誌を立ち読みしまくりました。どっこも震災特集記事でいっぱい。げんなり。
もうしわけないけど、テレビでみたやん。ってゆうような、写真記事ばかりです。
そんな中、あれは週刊文春だったかなあ。原発現場技師ボスと官邸、東電との闘いを見事に緊迫感あふれる筆で書いているのがあった。
これだ。とおもった。
なにが、これだ。なのかよくわからんが。

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