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2011年4月 1日 (金)

災害想定と危機管理   想定を誤った時の対処の仕方に国の命運がかかる

保健医療経営大学学長
 橋爪 章
2011 年 3 月 31 日 災害想定と危機管理

危機管理の鍵は、「想定外」のことが起きた時に臨機応変に対処することではなく、起こりうる危機を、平時においてどれだけ「想定」しておくことができたかにかかっています。

29日付け毎日新聞「発信箱」(西部報道部・福岡賢正)に次のような記事がありました。

「最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる」

「外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない」

「炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される」

「4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大になるという推測もある」

これらの記述はすべて「科学」(岩波書店)の97年10月号に掲載された石橋克彦氏(神戸大)の論文から引いたものだそうです。

一般論として、可能性が小さいリスクを「想定」して大がかりな設備投資をするか否かは、コストなどを考慮した判断が必要となります。

「想定できるが、可能性が小さいので設備投資をしない」という判断は、経営責任者の現実的判断です。

しかし、「想定」できたものを「想定外」とするような組織については、危機管理体制に疑問が湧きます。

「想定」していたか否かは、事故が実際に起きた時の危機管理の成否に直結します。

保健医療経営大学『学長のひとりごと』転載

参照

引用の石橋克彦氏の今回の事故を受けてのことばhttp://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html

石橋克彦氏の論文より、英語文の日本語訳抄出。

最も危険な原子力発電所は、中部日本の太平洋岸の、迫り来るM8 級東海地震の巨大な想定断層面の直上に位置する浜岡である。もし、全国的な関心事で特別な法律の対象でもあるこの地震が発生すれば、地震災害は、東京~名古屋間の広い範囲で確実に壊滅的になり、公式に推定された全壊建物は20 万棟以上にのぼって巨大な津波も生ずる。
もし、この地震が浜岡原発に重大事故を引き起こして、大量の放射能漏れが生ずれば、震災地における救助復旧活動は不可能となり、同時に、原発事故の処理と住民の放射能からの避難も、地震被害のために極度に困難となる。そのために、核事故は最大規模になるがままに放置され、被曝と通常震災による犠牲者は無数になるだろう。浜岡から
200 キロ近く離れた東京周辺の2,3 千万人の住民でさえも避難を余儀なくされる。私は、この地震-核複合災害を「原発震災」と呼ぶが、それは人類がまだ遭遇したことのない、全く新しいタイプの自然・人為災害である。その最終的な結果は、日本にとって致命的であるとともに全地球規模のものとなり、未来世代にも深く影響を与える。
関係当局は、日本の原子力発電所の地震対策は完璧であり、すべての発電所と核施設はいかなる種類の地震に対しても安全だと主張する。しかし、日本の原子力発電所の建設は1960 年代初期に始められ、それは、現代地震科学の二つの基礎理論(地震の断層模型論とプレートテクトニクス)の誕生・普及の前夜であった。したがって、核施設の耐震設計の公式基準は、現代地震科学からみると古めかしくて不十分である。浜岡だけではなくて、日本の他の大部分の原発が、大地震によって事故を生じやすいと思われる。なぜならば、多くが地震空白域に立地し、そこには明白な活断層があったり、スラブ内大地震が起こりうる沈潜海洋プレートの真上だったりするからである。これらの科学的知見は、原発の計画と建設の過程で考慮されていない。原発震災を回避するためには、我々はまずこの問題に真っ正面から取り組み、そのリスクを出来るだけ客観的に評価しなければならない。私は、現代社会のこの深刻な弱点は、日本に限られるものではなく、全世界的な関心事であるべきだと考える。
【原文は英語/講演者自身による和訳(硬い直訳)】

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コメント

「浜岡」を「福島」におきかえるだけで文意がいきることがおそろしいのだ。

学長ブログの記載をここで読まれている方へ。
次の記事もあります。
ご参考まで。

プルトニウムの軍事利用と医学利用(3/30)
http://www.healthcare-m.ac.jp/app/gm/archives/4003
原発事故放出放射能の医療への影響(3/31)
http://www.healthcare-m.ac.jp/app/gm/archives/4006

>想定を誤った時の対処の仕方に国の命運がかかる

ところで、このタイトルは学長の文意とずれていますね。

想定して心構えていたか否かに国の命運がかかる、という主張です。

5、6号機も廃炉に=枝野官房長官
(時事通信)
 枝野幸男官房長官は30日午後の記者会見で、福島第1原発5、6号機の存続の是非について「客観的状況は明らかだ。社会的な見方ははっきりしている」と述べ、1~4号機に加えて5、6号機も廃炉にすべきだとの見解を示した。

   ↑
国民感情が廃炉を望んでいるというのはその通りですが、少なくとも、国家運営の責任者たるものは、よく各方面の意見を聞いてから見解を述べていただきたいものです。
昨日の、首相の原発計画すべて白紙化発言も、国民感情そのまま。
国民感情を判断の柱とする哲学はわからないでもありませんが、原発問題というのはそんなに簡単に割り切れるものではない、必要悪の部分もあります。
我々国民は、どちらかといえば生活者の視野で自由に意見を述べていますが、政治家たるものは、大局的な国家運営の視点で判断し、場合によっては国民感情を逆撫でする判断をしなければなりません。
CO2削減の国際約束はどうするのですか?
電気料金は3倍に値上げするのですか?
脱ダムマニフェストは撤回して水力発電を推進するのですか?

放射線の脅威について、最もわかりやすいページ。
(文化系アタマでもよくわかる)
   ↓

可視化って大切ね。
文化系のぼんくらアタマでも、よくわかる。

ほんとだね。

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