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2011年1月15日 (土)

短歌誌やまなみ1月号 山下整子芥火賞受賞歌

かげろふ生るる  山下整子

リビングを暗く閉ざしてちちははが雪のひと日をひたすら眠る
部屋から部屋へ赤き毛布を曳いてゆくははの居場所はちちの傍ら
無表情なこゑと貌とがわたくしの名を連呼する午前二時半
みしりみしり夜ごと廊下を軋ませて眠らぬははがわが名を呼べり
階下より姑のしはぶきははのこゑ 耳をまなこをこころを塞ぐ
わたくしの防衛線
(マジノライン)をやすやすと侵してのどか惚け増すははの
開け閉めはつよく激しくたからかに惚けゆくははの存在証明
しうとめのゆまり著けき部屋廊下ぬぐつても拭つても消えぬ痕跡
飯つぶも記憶も矜持もこぼしつつひとは惚けゆくひとが壊るる
家じゆうの床を拭きあげ今日を終ふ さくら大樹の切つ先に月
手に余る重たさでしたけふの日のははとわたしと冬のさむさと
ちちがキレ夫がキレるゆふべわたくしの堪忍袋からうじて保
(も)
舌打ちを隠さぬちちよ・・・ちっ、それはわたしの方が打ちたい
置き去りにしてきた。何を?勇気を。さつきまでゐた公園のベンチに
誰れも来ぬカササギのほかにはたれも曇りのち晴れのははの一日
脱衣所の隅に事切れてゐた蜘蛛よ本当に言ひたきことは言つたか
アスファルトに落ちるわが影そびらより翼のごときかげろふ生るる
みづ菜にもチンゲンサイにも春が来て野菜の花は清し黄の色
生温き朝のコーヒー飲み干して さあ、しうとめとがつぷり四つ
しうとめと連れ立ち歩くスカンポの葉ばかり茂る野辺のくさむら

  ・・・・・・・・・・・・やまなみ2011年1月号から

リンク;31文字倉庫「短歌なるもの」

http://tanka-souko.cocolog-nifty.com/blog/cat5860951/index.html

短歌誌やまなみ1月号

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コメント

おはようございます。 seikoさん、私もありがとうございます。
「やまなみ」の表紙絵がとてもステキです☆國武氏は八女の方ですか?

ご紹介、ありがとうございました。

エメさん、この表紙絵の作者、國武氏は八女市出身ですが、もう何十年と新潟県にお住まいです。コシヒカリの生産の草分け的存在。というより、コシヒカリが生まれるための研究にも携われたと聞いています。そういえば、新潟大地震にも遭れました。

>>そうでしたか。 手前の田畑の部分がとても印象的ですね☆ 春を待つ麦畑でしょうか・・ 
この冬の日本海側は大雪で大変ですね。 
新潟にも早く春が来ますように。。

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