無料ブログはココログ

« 働くくるま | トップページ | 国道3号線諏訪野町付近 »

2010年10月13日 (水)

歌仙『元山』 脇句、しまったしまった島倉千代子!

発句

元山(がんざん)の太根の間(あひ)に犬眠る    竹橋乙四郎

脇句案(太字は秋の季語)

1  澄みわたる空万国旗舞う
2  爽やかな風全身で受く

3  三本鍬を振りて秋空
4  小枝にゆれる蓑虫ひとつ

5  仰向けば俯けば星
6  風は何処から来るか既望
7  筧の水の灯す望月
8  の峠に人の名がある
9  すすきのわたが記憶をなぞる
10 炭鉱跡のコスモス
11 漬物の里もみじかつ散る

それぞれ立派な脇句をありがとうございました。
発句のどこにつけたのかを、みていきましょう。

は、発句の背景を、大学のもつイメージ
と重ねて応援の祝辞をのべている句です。
は秋風のなか、自転車をこいでいる姿がうかぶ。
いずれも大学祭連句ということを念頭におき、詠まれている。
さわやかで、前向き。世界が平和でありますように、との願い。
ただ、脇句は発句と同じところに立って同じこころで「発句が詠まなかった周辺を」詠みそえるものです。その目でみますと、脇としては少しばかり離れているといえるかもしれない。疎句の部類。が、それは発句のしんとした感じをカバーする役目をしています。
気になるのは、発句が用言止め(眠ると動詞でおわっている)のときは特に、脇は名詞でとめたい。

の三本鍬。これは日曜、川さらいに息子にもたせた。
こんな農具です。→http://www.geocities.jp/Kounit/mingu/sanbonguwa/sanbonguwa.html

「三本クワは、主に田起こしに使われた。」
ちなみにこのサイト、センバもオシギリも見ることができます。
名前さえ忘れていた、オシギリ、藁を切っていたなと懐かし。
は発句のがんざんの小枝にミノムシが垂れている景色。
これが最も発句と近い距離の句でありました。
俳句は説明が何もありません。
付手は自由にそのよみをさらすことになります。
発句の犬は生きていて、がんざんの黒い大きな根っこがその犬を守っている抽象画のような世界がうかびました。
だから、その絵につけました。
あおむけば、うつむけば。視線が動くのは犬になった作者の視点。
既に望月を過ぎた既望(いざよひ)の月。
かけいは筧利夫ではなく、これ↓
http://www.shirakami.or.jp/~niwaya/sozai-kakei.htm
霧は三秋(さんしゅう・初秋中秋晩秋を通して三秋とよぶ)の季語。
春の霞(かすみ)と区別される。おなじものでも季節で呼び名が違う。
すすきのわた。花すすき。漢字でかけば、薄(芒)の綿ですが、すすきの内臓、腸(わた)をイメージさせられる。やさしい語彙で複雑な世界を詠んでいる。記憶や思い出の語は、おもて六句にはタブー、述懐めくから。

10炭鉱跡のコスモス畑、かささぎはまず、「みやま市の炭鉱跡」を調べました。すると、まずこれがでました。市民による陳情書です。
http://www.omuta-arao.net/news/071202/ariake-shomei.pdf#search='みやま市の炭鉱跡'
かささぎの知識では炭鉱=大牟田三池鉱。
みやま市にも炭鉱跡があるなど知りませんでした。
三池炭鉱有明坑というのですね。高田町にあります。

http://all-a.net/archi/isan/coalmine/ariake/index.html
三井三池炭鉱の歴史http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BA%95%E4%B8%89%E6%B1%A0%E7%82%AD%E9%89%B1
有明坑とても美しい夕日の一枚http://homepage1.nifty.com/yamada/babakomeariake.htm
有明坑ちかくの民家の一枚(わらぶき・くどづくり)
http://blog.all-a.net/?eid=614107
(このあたりは江戸時代の干拓地だとありました。)
山下整子のこの脇は、発句のこころに、発句の主があけておいた、みやま市の近代遺産への限りない愛惜をくわえて、見事です。コスモス畑がじっさいにあるのだと思います。目にうかぶようです。有明坑跡、いつかみにいきたいですね。
ほろぶ文明、おこる文明、そういうものを全部かくして、コスモスが風にゆれている。
11漬物の里、みやま。これは高菜漬けの里としてとても有名です。
おにまる漬物店があるからだけど。高菜畑が矢部川沿いにたくさんあります。
だけどね、八女のもんからいわせりゃ、「いなかはどこもつけもんの里たい」。笑。

ということで、脇を選びます。
発句と脇がつくる一つの世界。
捌は、このみやま市の大学祭へ最大限の賛辞をおくっている、山下整子の「炭鉱跡のコスモス畑」を迷わず頂きます。せいこさん、ありがとう。いい脇をだしてくれて。さすが元広川町役場のベテラン職員です。目のつけどころが非凡、そして詠み方が実にさりげない。うまい。ただモノを提示するだけなら、述懐句にはなりません。発句脇ならべれば、「昭和の容」へのそこはかとない、だけれども濃い愛惜の念が漂いますね。これは俳句ではあるいは短歌単独では、できないことに違いない。一句と一句の断層のなかに、だいじなおもいがこめられている。連句の醍醐味です。

さて、つぎはダイサン。(第三句目をこういう。ほかはいわないのに、これだけは第をつける。なんででしょうね?慣習であり、特別という意味なんでしょうか。)
これは歌仙のなかで唯一カタチがきまっています。
575の最後の語尾を「て、にて、に、もなし、らん(らむ)」のいずれかで留めること。
詠む内容は、発句脇の世界からまったく切れます。
つづきを詠んではいけません。みやま市とか畑や植物、動物からすぱっと離れてください。
べつに気取らなくてもいいですが、格高くおねがいします。
詠んではいけないもの、死、病、宗教、愚痴、述懐、恋、地名人名、。
ただし、秋の季語である「」を詠んでください。
長句です。

(どなたでもどうぞ。みやま市のかた、どうぞ。)

と、ここまで書いてすぐアップしたのち、はっとしました。
しまったしまった島倉千代子。

毎度のことながら、そそっかしい。
やはり脇に月をだしておかねば、どこで月をだせるでしょう。

はたとかささぎは困りきってしまいました。
みやま市に不義理はできない。
かといって、脇で昼の景をだせば、三句目の月では、発句の眠る犬と微妙にさわってきます。
みなさんもどうか捌の心で句を出されてください。
月の句は五句目までに必ず出すのですけど、秋の発句で始まるときは、三句目までには出したがよく、ということは、発句が今回かなり特殊でした(内容)ので、よくよく考えて出さなければいけなかった。

かささぎはただ月の句をつけたくて月をだしたのですが、今やっと、それが必然だったと気づきました。
この歌仙は、脇でしか月はだせない!
というのは、発句が夜の世界をよんでいたから。
夜すなわち死、それから作者が埋めてきた懐かしい子どものころの自分。
地の歴史、地の記憶。
けっこう、この発句は負っているものが重たかったのですね。
そのことを俳人中山宙虫はべつのことばで翻訳してつけていました。
で、ねがわくは、セイコ句のように、みやま市にオマージュを贈りつつ、それをやる必要がありました。

炭鉱跡のコスモス畑

この一句は簡単なようですが、さほど簡単ではありません。

炭鉱跡ーマイナス
コスモス畑ープラス

という風に一句のなかで正負が均衡をとっています。
いわば、前句の乙四郎句をうけて同じ柿の木がある別の地、つまりみやま市へ移転しつつ、さりげなく負を正に転じている。
ですから、いじれない、完璧な句なのです。

さあ、どうする。
みやま市へ目配りしながら、脇で月をあげれるだろうか。
地名は出さないのです、発句以外、おもてでは、。
ほら。むずかしいでしょう、よむことが縛られるでしょう。
でもそのことは、逆の見方をすれば、詠みの焦点が絞られてくる。
ということでもある。

どうか、もう一度、じっくり考え直してみておくんなさい。

がんざん柿の木の太い根っこに抱かれて眠る犬。
その打越(うちこし、一句あけて向かいあう句、ここではダイサン)に月はムリです。なぜなら、どちらも夜の世界のものだから。

77というごく短い句のなかで、それ(月とみやま市への賛辞)を同時にやる。
さあ、できるか。

« 働くくるま | トップページ | 国道3号線諏訪野町付近 »

コメント

捌きの条件をすべて満足できるのは

炭鉱跡の月見コスモス

くらいしかなさそう。
ところで、炭鉱という穴掘り関連ですが、チリ鉱山の救出がまもなく開始です。地下625メートルから68日ぶりの地上へ。
チリには数度行きましたが、まず驚いたのが、訪問先の建物が地下7階まであったことと、地下鉄網が発達していたこと。
世界中見渡すと、地下利用が発達している国は、鉱山や炭鉱の歴史が長い国です。露天掘りの国では穴掘り技術は育ちません。
チリは数ある訪問国の中では何度でも行きたい国の一つです。ちょうど日本の真裏。
でも、大きな池の向こう岸の隣国同士でもあります。

助けたい1万キロ余の穴掘って (乙)

脇の月句。

1、立杭やぐらの切っ先に月

誉めまくられて悪い気はしませんが、いくらなんでも誉めすぎ。
しりのこそばいか。みやまの炭鉱やぐら保存の運動が記憶に残ってました、が、コスモス畑は想像の産物ですので、念のため。

乙さん。チリ鉱山救出活動。
いまいちばん見たいもののひとつ。
さっき、テレビ中継があってた。
開始直前映像。

これ、きっと映画になるね。
取り残された33名の統率された行動。
感動ものです。
リーダーシップをとった人物の顔が見たい。
こころから賛辞の拍手をおくりたい。
そんなきもちでいっぱいだ。

2、有明坑にのぼる夕月

こっちかな?

月の軌道が鉱脈なぞる

やっぱ地元民族じゃなきゃぴんとこない。

>>
☆ 月が出た出た炭鉱音頭
☆ 卑弥呼探すや天照らす月

えめさん
炭鉱節ですか
わらわかさんといて下さい
ウイスキーぼんさんとこんぺいと 有難いカボチャがばけた

>>
☆ 煤けた月も仲間の宴

お礼を。
こちらこそハロウィンのかぼちゃをありがとうございます。
夢でスペインまで探しにいったかいがありました♪

ういすきーぼんさん→ウイスキーボンボンのミスでした。
母が、これは昔、焼酎菓子っていってた。といいますが、・・・そういえば、中に焼酎が入っていた砂糖菓子を食べていた記憶、あります。お味は、ウイスキーが上品ですね。酒をのまないむすこに無理やりたべさせたら、びみょーといってた。
むすこ、五時おきでソフトボールの朝練に行った。明日はクラスマッチって。受験生とはおもえん。笑

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歌仙『元山』 脇句、しまったしまった島倉千代子!:

« 働くくるま | トップページ | 国道3号線諏訪野町付近 »

最近のトラックバック

2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29