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2010年9月24日 (金)

『千里同風』  日中対訳句文集          松本杏花著 叶宗敏中国語訳

千里同風

句文集『千里同風』  松本杏花 著
              叶 宗敏 中国語訳
 人民文学出版社刊 定价;20.00元
 ISBN 978-7-02-008181-3
 (2010年9月吉日刊行)*

千里同風夏の海峡潮満つる    松本杏花

海峡西和来
千里同風両相栄*
夏日潮満平

*栄の文字は、草冠のしたにワ冠の宋の字で、どう読むのか不明、それで勝手に似ている文字をあてはめてみました。まあさほど違うとは思えないので。
発刊日が吉日となっているのをご覧になられてもおわかりのように、中国の人たちはおおらかです。

この句集は、松本さんの日本語の俳句が一番上に載り、その下に叶さんの中国語訳の詩が載り、さらに漢文で解説がなされています。それを写すのは不可能ですので、前書に書かれたこの巻頭句の意味をご紹介いたします。

「淡々と書かれたこの一句から、身内である台湾海峡「両岸の住民が一日も早く団欒されるよう」望む俳人の心の叫びが聞こえてくるようだ。中国人民に示された日本の俳人の温かい友好のお気持のなんと貴いことか!」

女貞(ねずみもち)咲けり厠の小さき窓    杏花
カラフルなサリー並んで稲を刈る 
其処此処に牛の散歩や残るはへ
凋落の美しきを願ふ紅葉かな
秋桜ひそひそひそと風過ぐる
席入りの銅鑼の響きや年惜しむ
雪垂り(ゆきしずり)日の膨らみを玉として
菜花の香ああこの香よと風に佇つ
爺婆のおちょぼ口してサクランボ
山法師風折り返す森の奥
四阿(あずまや)へ菖蒲の色を運ぶ風
涼風や中山広場の太極拳
短夜や学園宿に猫の声
夏日矢を呑みて滔滔松花江
晩涼の河辺に並ぶ露店かな
売り声とものの匂いや夏の月
突走る大草原の夏暁かな
一面の馬鈴薯の花赤い屋根
月の友大興安嶺越ゆる夏
月見草オロチョン村へ続く道
肉塊に蠅の止まるも三尺寝
天涯に滝ひとすじのありにけり
満天の遠ち近ち(おちこち)妖し稲光
冷麺やはじめて食す狗(いぬ)の肉
急勾配白靴の底ばかり見ゆ
深淵を覗く階汗拭ふ
身の丈の雑草茂る国境
夏の陽よ雲のあはひに仄赤き
夜桜の戦(おのの)くほどに蠢けり

かささぎの独り言
きょうかさん、(と気安く呼んでしまひけり。)
松本さん、句文集、幽玄な感じの表紙も、内容もとっても立派です。

ついつい、きりなく引いてしまいそうになりました。
(実際、途中からほどんど引用してます。著作権大丈夫?)

もう十年ほど前になりますでしょうか、松本さんとご一緒に前田師との連句の座を囲みましたよね。久留米のスパリゾートでの連句会には、客人としておいでいただきもしました。つい昨日のことのようでございます。
きょうかさんの俳句には、漢詩好きな人らしい音読み漢字の固い熟語がたまに入っていて、それが私の目にはとても新鮮でした。たとえば、春興、という季語がそうです、また、おひんづるさんのことも教えてくださいました。
漢詩がお好きで、それが高じて中国へ渡り、中国人のかたと交流が広がり、日中対訳つきの句集を出されるという快挙も、これで三冊目。
あのですね。かささぎ、とっても失礼なことを申し上げるかもしれないのですが、正直なことを申し上げますと、これまでの二冊は、あまり心動かされませんでした。へえ、珍しい試みだな。ってくらいの、捨て目を使う式の印象しか持ちませんでした。
ところが、この「千里同風」になりますと、ぜんぜん違います。
まず、作品が、立派です。
気負っていないし、古典に通じている人の、連句に通じている人の、自在さがある。
中でもかなづかいに頓着していないことには、瞠目させられた。
なんでもあり。すごいです。
しかも、毅然として膝を崩さぬ姿勢が最後まで持続する。

これはまるで。まるで石橋秀野へと古俳諧へとまっすぐ続く意思の階のようです。
最大級の賛辞を惜しみません。
ありがとうございました。
また、中国語訳の叶さんの季語に対するお考えなども、引用させていただくつもりです。

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