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2010年8月17日 (火)

戦争の話(3) 橋爪一郎従軍記

保健医療経営大学学長

 橋爪 章

2010 年 8 月 17 日 戦争の話(3)

<橋爪一郎従軍記>
   毒ガスにはへこたれたの巻
 口先だけでは駄目、たとえ火の中、水の中、苦しくても実行、行きたくなくても前進、それが兵隊でした。大ていの事はがまんしてがんばっていた私も、毒ガスマスクの演習には完全にまいりました。メガネをかけたままでは面はかぶれません、といってメガネなしでは先の方が見えないのです。
 幾分寒さもうすらいだ三月、演習場にはさいるいガス(涙の出るガス)をたきつめた天幕が用意されて、二等兵をいじめようと待っています。「ガス」の号令一下、猛スピードで面をかぶって天幕の中へ這入って行くのですが、ぼやぼやしていると面をつけつけ天幕の中へ押し込まれてしまいます。
 メガネを片づけるひま、それに人一倍顔の長い私には面がなかなかぴったり合いません。目の玉がしばしばして、涙ぽろぽろ。約十分間幕の中にいて、やがて「前進」の命令、天幕から出て来てほっとするのも束の間、こんどはどれが自分の銃(鉄砲)か見えないのです。一番後から残った銃を持って、その上、敵の方向もわからず、「お前はほりょだ。」とさんざん油をしぼられます。だれもかれも、目は泣きはれたようにまっ赤で、困ったのは私だけではなかったようです。頭のひこくれたものは、みんなガスマスクは苦手だったようです。
 動物園の「ぞう」を見ると防毒面を思い出し、炭やき小屋の「けむり」を見ると、またガス演習を思い出します。思い出はかなしです。

ー八女郡辺春中学校1963年度学年通信連載ー

(保健医療経営大学『学長のひとりごと』)

▼かささぎの連句的周辺

1坊ちゃんナショナリズム
http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_d1ca.html#comment-74773110

2表も裏も見渡したいhttp://nishimuta62.blog114.fc2.com/

3西日本新聞8月15日読書欄終戦記念日特集から

僕の見た「大日本帝国」
   西牟田靖著
著者は1970年生まれのノンフィクション作家。
2000年から03年、旧「大日本帝国」領土を見て回った。
サハリンを始め、台湾、韓国、北朝鮮、中国東北部、ミクロネシア。
戦争を知らない世代による、自らの意志による「帝国」の占領地の実地踏査録。
2005年の単行本を文庫化した。
(角川文庫・940円、写真8=全部表紙の写真つきです。)
同時に紹介されていた本。

1原爆の記憶ヒロシマ/ナガサキの思想
  奥田博子著
2林芙美子とその時代
  高山京子著
3日本軍の治安戦 日中戦争の実相
  笠原十九司著
4泥の蝶 インパール戦線 死の断章
  津本 陽
5玉音放送をプロデュースした男 下村宏
  坂本慎一著
6ロボット兵士の戦争
  P・Wシンガー著
7手塚治虫の描いた戦争
   手塚治虫著
8本書

世界ははてしない。
物事も知識もどこまでも続く雲のようにはてしがない。
目の前にたちあらわれる、ほんのひとつまみの雲。
なにもみえない目でもじっとそれをみつめていたい。
ほんのかけらでも、そのとき目のまえにきたものを
わけもわからぬままに荒々しくうつしとっておきたい。

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