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2010年8月 7日 (土)

『新撰俳句の杜2』 2,000句の中の花句

連句連歌での花句について考えてみる。
連句で花という「思想」に出会うまで、私は花に出会わなかった。
それまでの自分にとって、花といえば、種類があり名前があるものであった。

蒲公英(たんぽぽ)や菖蒲や百合や百日紅など、、、花と思っていた。

たしかにそれらは花である。しかも美しい。

けれども連句での花はそれらの花ではないのである。
花は花であると同時に、世間一般の花でなく、賞玩の花をさす。

しょう‐がん〔シヤウグワン〕【賞×翫/賞×玩】

[名](スル)《近世までは「しょうかん」》

そのもののよさを楽しむこと。珍重すること。「書画を―する」

味のよさを楽しむこと。賞味すること。「旬の味覚を―する」

尊重すること。

「方式に拘らず時の宜しきに従うを―すべき事なり」〈子規・墨汁一滴〉

ではショウガンの花とはどんな花か。
(言葉、「賞玩」を検索しますと、でてきたのは、俳句や連句ではなく、華道池の坊の『賞玩の花』だった。華道は連句と通底する思想を隠し持っているのかもしれない、おなじ室町期に成立したものであれば)
初心のころ、先生や先輩が教えてくれた、イメージは桜の花で、その花のいのちをめでなさい。と。句によみとめるときは、言葉は「花」でなければなりませんからね。とも。ほかの、たとえば、桜とやっては、花の句とはみなされませんよ、芭蕉の連句に例外があるにはありますが、花句はあくまで「花」ということばで詠みます。と。

その視点をもって、いただいたばかりの俳人20人によるアンソロジーを分析してみる。
こんなことをやっている場合ではないのだが、興味があるのと、句集をいただいたお礼に、感想にかえて、この時間のかかる選別作業をしてみた。
もしやぬけているかもしれませんが、失礼の段はお許しください。

『新撰俳句の杜2』より、本阿弥書店刊。

▼俳人たちによる俳句2000句中の花句。

花は葉に一山の声鎮もりぬ   足達紀代子

夢二の絵伏目がちなる帰り花  井上敏江(冬の花)

藍甕の土間に乾いて花の冷   北村ひで

花海棠海女の守りたる潮仏   北村ひで
(花句ではありませんが、つい引用しました。立派です。)

花冷えやブーツの形のインク瓶  嶋村耕平

道に寝る商学部生花疲れ     嶋村耕平

隆々と千代の川音花は葉に    嶋村耕平

図書館に昼休あり花は葉に    嶋村耕平
(昭和60年生まれ。「天為」有馬朗人氏を師とする学生俳人。目立ちます。
焼芋を割つて学問てふ一人    嶋村耕平)

釈迦牟尼も菩薩も花に酔ひ給ふ  城市艶子

花の雨漢字の減りしははの文   城市艶子

有明の月に香を解く花柊     城市艶子(立派な月句)

花朧象は大きな糞落とす     田中隆

墨染めの僧の木戸番花の寺   田中隆

花筏分けて鯉来る亀も来る    田中隆

焼香の母に手を添へ帰り花    田中隆

らふそくの梵語とろけし花のころ   田中昭子

御手洗の屋根に宿かる花の雨    田中昭子

花冷や正座してみる稲荷の灯    田中昭子

華曇石工のくはへたばこかな     龍田珠美

花冷えや休むことなき集塵機     龍田珠美

花の上に命重ねて御苑晴       林 友次郎

引つ越しの荷物が通る花の下     針ヶ谷隆一

  聖天山 ご開帳
歓喜仏見てきて花の蕊降らす     針ヶ谷隆一 

  能 天鼓
花散るやいざ大鼓を打つ構へ     針ヶ谷隆一

泰然自若花の下にて物申す      針ヶ谷隆一

花三分咲かせ神威の門潜る      針ヶ谷隆一

三尊に花の御堂を開きけり       東 能江

花散って決めかねている眼の手術  文挟綾子

耳よりも花の冷たし余寒なお      文挟綾子

花時を待ちて声来る叔母卒寿     古木圭子

花屑の足裏のしめりひとを追ふ    古木圭子

花は葉に蝋涙垂るる夫の墓       三尾紅子

海を見る武将碑丘の花散りをり     三尾紅子

花冷えの村に一つの信号機       宮本千賀子

花吹雪子宮の中にいるごとし      宮本千賀子

静けさが花の千年語りだす       宮本千賀子

一枚は議論の好きな花筵        八木健

花冷をものともせずに人多し     山嵜ヤス子

落花舞ふ宴待つ間の青シート     山下タキ

飛花落花象舎突貫工事中       山下タキ

集まつて年忌詣や花吹雪       横田節子

花田植身重の牛もかり出され     横畑順美(夏の正花)
※花田植;
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AC%E7%94%9F%E3%81%AE%E8%8A%B1%E7%94%B0%E6%A4%8D

夏の正花である花火の句なども見受けましたが、割愛しました。
春の正花である桜の句をピックアップしました。
どのお方も一句は詠まれておりました。

樹(たちき)所属俳人の宮本千賀子さん、立派な句集をいただきまして、ありがとうございました。あらためてお礼申し上げます。

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コメント

「新撰俳句の杜」という字面から「杜撰」という言葉を想起してしまう。
「杜撰」の語源も、連句人には面白いかも。

あこぎな。という言葉は阿漕から来ていたのですね。世阿弥の謡曲だったのですね。しらなかった。

(ろくでもないコメント、どうもすみません)↑。

「俳句 花の句」検索三位。
これ、おもしろいです。

みなさま、ここに引用した花の句の数々、「花句」検索での一位です。

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