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2010年7月12日 (月)

現代川柳『点鐘』第141号より

久々に川柳をよみます。おなじみスミサクさんの点鐘です。
ところで、これまでに書いた点鐘の記事を振り返りたくて、何のカテゴリーに収納していたかを考えた。川柳のカテゴリーはとっていない。調べた。俳諧、短詩系のどっちかでやっているようだ。詩を川柳が追求したらいかんやろ。と、かささぎは思うのだが、そうとばかりもいっておられないんだろうか。

1スミサクさんの原風景2006.11.21
http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_6cf0.html

2   117号  2006.7.7

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/117_1498.html

3  139号  2010・3・11

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/139-17d2.html

4  134号  2010・5・12

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-663d.html

5 2008年点鐘雑唱  2008・2・26

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-3f86.html

6  116号  2008・5・2

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/116_c18a.html

(もっとあるかもしれませんが。拾える限りを列挙しました。)

今号は唐招提寺の金堂の十一面千手観音像の絵が表紙です。

冒頭、作品とスミサクさんの言葉を。

   和泉市  小池 正博

 鳳凰の尾は落日の右を指す
 脇腹を刺されて橋姫の笑い
 夢のかけらで帽子がひとつ出来上がる
 雨だれは裏切り者になるらしい
 替え歌の二番あたりに核兵器  (特選)
 座禅半ば夢想の鹿はピィと鳴く
 ポセイドンの槍盗み出し海開き

※宇治のあたりを歩いて昔を感じる。水量の豊かさの音がして救い難い人の情模様が思われた。平等院の鳳凰や弥陀仏の世界観。橋姫伝説や紫式部が希望したもの。何れもが夢幻に。(墨)

スミサクさんが特選とされた一句は、川柳らしい一句です。
何を詠んでいるのかは作者に聞かねば判りませんが、想像ではキタのお方の替え歌があって、その二番目に核兵器が出てきそう。そう思う私は、何よりも原爆がこわい日本の私であって、60年たった今でも意識の二番目くらいには核兵器が置かれているってことでもあるわけです。暇じゃないけど、探してきました。よくできています。これ→http://www.youtube.com/watch?v=Y-1xktupqME(二番目にたしかに「お山の上で核開発してる」とでます。)
さてと。かささぎは「雨だれ」句が感覚的でよいなあと思いました。
雨だれは窓ガラスにくっついて落ちる、あれです。いくつかが集まって、つつーっと落ちる。それかな。それ、イメージします。きっと作者は折笠美秋の句の向こうを張ったのかもしれない。と、こんな風に、現代川柳は詩的で抽象的な線を追求する方向へ向かっている。これはちょいとまずくないかえ。かささぎは、反対。
即物的で直截的で猥雑で力強く、現実破壊力がうんとつまっている。
そんなものを、かささぎは川柳に求める。

ということで、この小池さんが現代詩風現代川柳の一方の巨頭なら、もう一方の、かささぎが正統と思う昔ながらの川柳の書き手の巨頭の作品もあげておきます。

神奈川県  渡辺隆夫

 落雷注意 ギリシヤ・アテネの女神さま
 老木に非ず純朴 柿若葉
 虎が雨だ逃げろ腰パン一連隊
 追いつめて君はかげろう僕ふくろう  (特選)
 卯の花や今夜コンビニおからめし
 夜桜が終りお七も婚活期
 月落ちる低賃金に耐えかねて

※地球温暖化のせいで思わぬ災害が思わぬ地域を狂わせている様だ。川柳の僅かな詩形で、それらを感じるのも難かしい。どう変り様もない政治をどう思えばよいか。長生きしただけ。(墨)  

 いまいちの迫力、でも、さすがに俳諧。
虎が雨。陰暦5月28日に降る雨。曽我兄弟の兄が殺されたとき、愛人が悲しんで泣いた涙が雨になったとする歴史の悲話から来たすんばらしい情緒的な季語。http://www15.ocn.ne.jp/~naka8/haru-11.html

そのような言葉と、腰パンなる無造作な若者ファッション用語が一句のなかに同居しているふしぎ。腰パンがわからない人は、http://smcb.jp/ques/27266

そうか、ここしゃねるも、上着から襟をとってカーディガンみたいにして非難をあびた。とかかれていますな。ふうん。前衛は反逆から来るってことだよな。

と、ここまで調べてみて、はっとします。なるほどのう。いいかげんにできた句ではないのですね。深いんだね。それをさも無造作に。そこらへんがプロフェッショナルだちおもうとです。
虎が雨だ。逃げろ。蹴散らされるぞ。腰パン一連隊。国の母、ちらりと。

<>

虎御前 ビィ-ナスなれや みどり雨

横山桜一之

藻潮草 焼けば降るなり 虎が雨虚子虎が雨 玉屋鍵屋は もらひ泣き江戸川柳

からっぽを寄ってたかって掘っている  堺市 里上京子
憧れは始祖鳥の空始祖鳥の海   札幌市 中村迷々亭
薄味の薄味 解説ボランティア   東京都 杉戸金一
ここに来てしばらく鼻毛など抜けば 名張市 福田弘
メリケン粉で頬を叩かれたみたい 京都市岩田多佳子
(はたかれた,たたかれた、どっち)
樹は天を支えに鬼の語を宿す   岡崎市 飯田昭

キ印の基地ちぐはぐなボタン穴  静岡市 石川重尾
鉛呑み込みシーラカンスが泳ぐ  湖南市 平賀胤寿
ぶるぶるはゴリラのなまえ春の雨        〃
眉間よりわたしを打つか阿修羅像        〃
若冲を少しずらせて是真展            〃

※シーラカンスの只管な位置をどう感じて良いかである。深海での水平の保持を考えると落ち着かないこと。阿修羅三面の童顔のあから顔に戦いの匂いはない。それをどう思うか。(墨)
平賀さんの春の雨、これはきれいな俳句です。
若冲ですが。ここ数年の若冲ブーム、すごい。という私も、数年前まで知らなかった。http://f.hatena.ne.jp/jakuchu/20060607094502是真、この人もいい絵をかかれますね。日本画、再発見。すばらしいです。川柳誌を読んでおりますと、なにが話題か何がはやっているか、教えられます。(か)

名月記 アイスランドに灰が降る 西宮市 吉岡とみえ
冷泉家 おおきな路の向こう側       〃
羽つきの帽子で普天間まで行く気 名古屋市 中山恵子
金剛力士像 あちこちに枘(ほぞ)痛まぬか 福岡市 川上千寿枝
http://dic.search.yahoo.co.jp//search?ei=UTF-8&fr=slv1-ytpprn&p=%E3%83%9B%E3%82%BEほぞ。突起。
錫杖五鈷鈴 救世の声明響き合う       〃
海原を行く遣唐船の葡萄唐草          〃
いつも呼んでくれる山寺の鐘  大阪市 北川アキラ
極楽も地獄も同じような旅            〃
明日はどないする一人前のおから 京都市 森田律子
足摺岬まだ礼節の容して   堺市  南野勝彦
不意の逆縁おろし金のひと撫で  札幌市 進藤一車
水割りの底に三島の嗤う首       〃
おてんとさまと仲良し 雑草の系図  山形県 伊東マコ
卓袱台で伝い歩きはできません    橿原市 西澤知子
ロトくじを見ている  弟は寝ている  桜井市 福尾圭司
声変りして真っすぐに歩けない   四街道市 潮田春雄
森へ向くペットボトルの茶を下げて  福岡市 清野玲子
ボクだけの記念日がある撥ねつるべ 箕面市 今田和宏
かりにもお酒で憂さをまぎらすことはない 尼崎市 春城年代
迷走の果て沖縄は元のまま   川西市 一階八斗醁
これでいいはずはないのによく眠る    〃 
あのようになるのか僕の十年後      〃
自画像を重ね塗りする残照に  札幌市 加藤かずこ
朝もやを抜けると夕もやに当たる  吹田市 壷内半酔
九丁目九番地字座礁船         〃
自由人の名で雨の銀河鉄道      〃
暗雲にくたびれた胃を干してある    〃
縺れては水にほぐれる深みどり    松原市 本多洋子
黄菖蒲の黄に諭される風の尖     〃
指先に風の音階  生まれる蝉      〃
(これ、スミサク先生の特選です。いい句ですねえ。)
お地蔵さんの傍の蓬のうまそうな   松山市 武智絹子
一息ついてます「柳多留もなか」 高槻市 笠嶋恵美子
アスパラの伸びの優しさ 赤子抱く 大阪狭山市 八木侑子
ラワンブキを買う 背丈程を買う  江別市 田中しげ子
敬老パス背中押されてよろけてる   〃
遠景の親子ゲームを見るキリン  堺市 岩崎千佐子
嘴がまあるくなって生きにくい     〃
ここじゃないどこかを笑うモヤシの根  〃
あんたは長女やからと栴檀はつぶやく 草津市 畑山美幸
(特選)同感。すばらしい。栴檀がよく効いていますね。ついてる。
山椒の木 女系家族に根を張って      〃
斬新な配色 毛虫は毛を揺らす        〃
ブランコをいつまで漕ぐか自己嫌悪   西宮市 佐藤純一
自戒することがないから酒を呑む     〃
冷静に今を視つめる 青蛙         〃
霧晴れて切子硝子の碧い海      豊中市 大橋あけみ
銀行に預けたままの鬼の首     姫路市 前田芙巳代
老いは無力か樹を登る樹を降りる        〃
自分史の裏から入る百足かな   鈴鹿市 小河柳女
斜めから入る土砂降りの中へ     〃
すごい。土砂降りの中へ斜めから入るなんて。ほんとにそうやったこと、なんどもあります。ありますが、咄嗟に考えずにやることで。あらためて、行動をそう表現されてみると、意外と深いことなのかもですね。
幽玄へズブズブぬかる花筏   弘前市  北里深雪
穴のない笛と心とデスマスク          〃
少しばかりのプライバシーに蓋をする  札幌市 松田悦子
よろこんでいる文字はくすっと動く  東近江市 今井和子
牛丼並盛り種牛のこと知事のこと  奈良県 瀬尾照一
お向いに又夏が来て百日紅       〃
行き暮れてだんだん視野が狭くなる  名古屋市 平井玲子
杉戸絵の禍福に僅かなる期待      〃
いつの日もビストロ調の朝の景 半田市 浅利猪一郎
脱ぎ捨てた過去の肩書き 恋の景     〃
放蕩の乱れを正す朝の粥          〃
いのりとや荒ぶる波を鎮めつつ      〃
※脱ぎ捨てても未練が残るのでは困ってしまう。母はいつも茶粥に親しんで良い笑顔だった。波鎮めの祈りは今も風習として残っている。作品を書くには、いつも勇気が要るようだ。(墨)
恋句、あるようでないです。川柳誌です、もっと恋句読みたい。
老朽化したのでストーブ列車行き    京都市 小林満寿夫
骨削るそれにもあきて田に水を   大府市  若山衛
透明になるまで鏡拭いている 札幌市 熊谷美智子

戦災忌  墨作二郎

七月の死はかげろうに遊ぶべし
蝶いくつ翔ぶ日 ルオーの聖喜劇
逆流の運河 戦災孤児乾く
梅を干す日課もかくれキリシタン
父の死後 父透きとおる金だらい
蝉は鬼の顔 木の橋は焦げている
拾いあつめてどれも欠けてる野の仏
焼夷弾転がる 裂傷石榴の樹
錆びトタン釘穴 星座の本を読む
襤褸のまま倒れし 南瓜の花は黄に
電線はのたうち メドウサの錯乱
夾竹桃のびのび咲いて瓦礫あり
生きのびて夜店 蛍を光らせる
泣き虫は歩き続ける 絵曼荼羅

錆びトタン釘穴 星座の本を読む

いい句ですね。山口誓子と野尻抱影の「星恋」を思い出します。

散歩会予告 (集合場所に午前10時参集)
八月四日(水)四天王寺・JR天王寺駅中央口飛天前

以上、引用しました。朝から大変勉強になりました。ありがとうございました。





 






 

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コメント

Houses are expensive and not everybody can buy it. However, credit loans are created to support different people in such situations.

現代川柳

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最近ご紹介していませんが、毎号欠かさずご恵贈下さいます。私ごときに有難いことだ。
読むならきっちりと思うがゆえに、半端な時間ではいかんと身構えてしまいます。

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