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2010年4月14日 (水)

『7月24日通りのクリスマス』を枕に健吉の詩論『座の文学』を

もう一回みた。なぜか気になって。『7月24日通りのクリスマス』。

何かが心配で。

大沢たつおの翳り。
「さえない日常をおくるださいヒロイン」からはきらびやかな都会の香りをもつ成功した建築家(だったか照明家だったかも)として憧憬を抱かれている人物。

ヒロインの上司の妻が彼の元カノで、まだ続いている。
その元カノは元彼である大沢に自分の口利きで仕事を回してあげる。
ドラマで大沢が自分の仕事をヒロインに語る場面があるが、ふるさとの者には成功した人物と思われているかもしれないが、自分は引き立ててくれる人がいたから大きな仕事ができたまで、決して自分の実力ではなかった。その証拠にいまは仕事がない。それを救ってくれそうなのが元カノ紹介のこんどの仕事である。・・・

とうぜん、ヒロインは上司の離婚調停中の妻に嫉妬する。
んで、ああなってこうなって。

と、はなしの流れはどうでもよい。

では、なにが気になったのかな?

大沢がホテルのロビーで元カノ紹介の依頼主を相手に話す過去の自分の作品についての話で、こういうワンフレーズがあった。

「あかりというのはまわりが暗いほど明るく感じるものなのです。」

ーああ、これだ!

山本健吉の『古典と現代文学』の一説。

「だが、詩が本当に純粋に結晶するのは、かえってそれが詩にとって不純な雰囲気のなかで創られるときにおいてではないか。」
このことばに、以下のことばがつづく。

シェークスピアにとって劇場が、人麻呂にとって鎮魂の儀式が、そのような雰囲気を意味したように、芭蕉の俳句にとっても、俳諧の座(連句の座です、姫野注)が同様の働きをしたのではないか。
『新古今』の短歌に現れた意味やイメージの重層性は、その必然性を作家たちの脳髄のなかの内部的な要因に負うている。つまり彼等の意識過剰が、メタファーの人為的な駆使となって現れるのだ。だが、芭蕉におけるメタファーは、外部的に詩の存立条件そのものに負うている。それは彼の発句についていえば、単独で完結しながら、同時に他に問いかけようとする性格を持つ、その二律背反的性格によるものである。メタファーとは言葉の置き換えであり、詩人の脳髄のなかでは、いくらでも恣意に置き換えることができるという意味で、無限にメタファーが可能なわけである。だが、そのメタファーが思いつきや謎解きでなく、深い必然性において成立しているか否かが問題なのだ。
芭蕉におけるメタファーは、作者の恣意によって成立するのではなく、詩の存立条件そのものが要請する詩の技法である。
「日常的な意識と高められた意識との仲介に立つもの」(深瀬基寛氏)がメタファーであるならば、日常的な場から遊離した脳髄詩の作者が詩的アクセサリーとしてではなく、真にメタファーを必要とする場に立っていると言えるだろうか。メタファーがほとんど詩そのものをいみするということは、あらゆるすぐれた詩が、その発想において、二つ以上の声を必要とする重層性の場所に立つということなのだ。
エリオットが言うように、詩に同時に二つ、あるいは三つの声がきこえるならば、それはそこに生きたメタファーが成立しているからである。芭蕉の発句には、大抵の場合、自分自身にささやきかける声が第一の声としてきこえ、次に特定の人に話しかけ、同時に座に居並ぶ人たちに聞かせるような第二の声がきこえる。呼びかける相手が、仲間の人でなく、故人か精霊の場合も存在する。さらには附句においては、不完全ながら第三者に仮託して表現しようとするような、第三の声すらもきこえるのだ。

(『古典と現代文学』の『座の文学』山本健吉より一部を引用。)

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コメント

きょう(きのうになりました、クリスマスイヴにです)ここにおいでくださった方方、ありがとうぞんじます。よんでくださって、ほんとうにありがとう。

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