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2010年1月31日 (日)

岡部六弥太師追悼

嵐過ぎ晴れし博多や鷹渡り  岡部六弥太

 

帆翔の指すはシナ海鷹渡り

 

日に舞うて凱歌のごとし鷹柱

 

天日に立ちては流れ鷹柱

 

渡り鷹戯(じゃ)れつく烏(からす)躱しつつ

 

見送りし眼にまた湧いて渡り鷹

 

滑翔の迅さ頭(ず)を越す鷹渡り

コスモスや妻にもありし十七歳

 

黄塵に太陽失せて鵲飛べり   

 

妣(はは)恋ふや粽巻く藺をほどきつつ

雀の子一抜け二抜けゐずなりぬ

 

梅雨鯰荃に揚がりて憮然たり(荃の字、なんとよむのでしょう?)

 

こぼしあふ雨滴にさゆれ蔦紅葉

 

月光に朴の最後の一葉落つ

 

冬の蝶戒壇院の垣出でず

黄鶲(きびたき)や谷の朴の木みな高し


黄鶲や洩れ日のあそぶ歯朶の谷

 

都府楼址の光陰とどめ返り花

 

寝ぬる灯を消せばわれなし年の夜

 

貧窮のときの雛(ひいな)を飾りけり

 

聞き耳をたてれば消ゆる雛の声

子に死なれ逃げし閑居や木の葉髪

 

憶良にも死にし子ありや土筆摘む

 

吉利支丹礼拝洞窟落椿

 

イメージ 7

(写真引用:http://blogs.yahoo.co.jp/mikey0505jp/63760419.html

光降るごとき落花に包まるる

 

朝桜頬白が来て声尽くす

 

春愁や倭軍馬喰ふ蔚山図(うるさんず)

雲中の海印聖地こぶし咲く  (海印寺)

八万大蔵経板殿花辛夷

 

振り向いて遠き桜と新羅かな

 

遠足の石窟庵を貫けり

 

屏風絵の河童の戦日の永き

 

行く春や博多の地震の震度一

 

夏雲や天降(あも)りし阿蘇の蝶大き

 

蛍火や子の髪にはや少女の香

 

竹の闇蛍の星座動き出す

 

梅雨幽(くら)し婦女子殺(あや)むる元寇図
         (日蓮銅像台座の銅版画)

 

コインランドリーに孤老や梅雨灯

山笠(やま)を舁く寸前の眼の宙見据ゑ

追山笠(おひやま)や腰の力の揃ひたる

 

追善山笠手一本粛と揃ひたる(従弟の追善山笠二句のうちの一)

 

指をもて追へば山蟻従ひぬ

 

甚平や男を売りしこともなし

 

風蘭に月蝕すすむ夜空あり

 

風蘭の微香を仰ぐ夕ごころ

 

いやに子が恋し晩夏の星を見つ

 

軍馬死ぬ嘶き耳に敗戦忌

 

山葡萄平家退路の谷深し

 

源流の谷の暗さやえびかづら

 

一飛瀑木の間隠れに秋澄めり

 

猟犬に嗅がれ別れて山の秋

 

落人のごとく猪食ふ峡の宿

 

谷渡る月はすぐ消え虫の闇

 

天頂を過ぎる迅さや鷹渡り  油山三句

 

帆翔のときに羽搏ちて鷹渡る

 

尾根を越すときを上昇鷹渡り

 

露草や貌のきれいな雀跳ね

 

大円の筑後の夕日櫨紅葉  久留米四句

 

夕日浴びかささぎ飛べり櫨紅葉

 

一水のきらめき流れ櫨紅葉

 

柿を捥ぐ脚立の上の柿日和

 

征きて妣泣かせしことも木の葉髪

 

梅雨烏忍者のごとく森を飛ぶ

 

皆の下駄悔やみ揃へて十夜婆    

 

お布施ちと気張りて悦に十夜婆

 

耳遠くして世話焼きや十夜婆

 

誰彼となく声かけて十夜婆

 

ひそひそと廊で携帯電話(ケータイ)十夜婆

 

極月や小言を言ひに子の墓へ

 

墓誌の名は息子ひとりや枯桜

 

幻日に朱鳥が立てる枯野かな

 

逝きし子の声がいづこに枯野星

 

六彌太とは豆腐にて候春夕べ

 

あと十年生きむ筍飯炊けよ

▼かささぎの送ることば

拝啓、岡部六弥太様。
いま、六弥太先生の句から好きな句を、六弥太先生からいただいていた『句集 鷹柱』から抽出しようとして、あまりにもその豊かな語彙力と描写力とに打たれ、選ぶ作業をやめたくなりました。全部一句残らず、書き写していたいような、そんな欲求に駆られます。
句を読めば、どの句も、自然観察の細やかな積み重ねがもたらした自然への愛情あふれる句ばかりです。
また家族愛、ことに亡き子どもさんへの愛情がせつせつと伝わる句が目につきます。
中に、十夜婆(じゅうやばば)の句が五つも。
たぶん奥様かと思うのですが、その滑稽なよみっぷりは生き生きと目にみえるようにばあさんの姿を伝えるとともに愛情を伝え、笑わせてくれます。
これぞ俳諧だとうなりました。ちなみにかささぎは「十夜の婆」というような読み方をしていましたが、十夜という仏教の行事自体が別名、十夜婆ともいうようです。であれば、きれますね。季語と前半の主体とは別によまねばならない。
それから、枯木星という季語ですが、先日お昼のテレビで黛まどかさんが出て見えて、枯木星を説明されました。裸木の間にみえる星のこと、とてもびかびかに光ります。

お十夜;十夜婆:http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/90306/m0u//

えびかづら:http://www2.dwc.doshisha.ac.jp/iwanohim/budou.htm
山葡萄:http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/yamabudou.html

風蘭:http://srrhnp.com/Neof.html

読めなかった漢字の荃、がここに。でもよめぬ!http://www.kangxizidian.com/kangxi/1030.gif

帆翔(はんしょう):羽ばたきをしないで羽をひろげたままで飛ぶ飛び方http://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/seibutsu/00000059/28.html

日蓮銅像台座の蒙古襲来図レリーフ:http://www.bekkoame.ne.jp/~gensei/ten/toukou.html

幻日:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BB%E6%97%A5

朱鳥;野見山:http://www.weblio.jp/content/%E9%87%8E%E8%A6%8B%E5%B1%B1%E6%9C%B1%E9%B3%A5

▼岡部六弥太(2009.11.24 83歳没)

大正十五年五月、福岡県朝倉郡夜須町に生まれる。
初心を河野静雲に学び、高浜虚子、野見山朱鳥、福山蓼汀に師事。
俳誌『円』主宰でありました。

かささぎは有難きご縁から、二冊の句集をいただいておりました。
(もう一冊は『金印』です。又ご紹介したいと思います)。

先生、どうぞ安らかにお眠りください。なんかなーかささぎはうらやましかったい。
最愛の逆縁のむすこさんのところにいかれらっしゃったっちゃろうねえ。
まっとらしゃったろうねえ。ごめいふくやらもうしあげませんよ。

もう十二分にご冥福ですとただに羨むばかりなり  恭子

           合掌

かささぎの旗で岡部六弥太と俳誌「円」:
http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_4576.html

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_141b.html

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_dc08.html

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コメント

先生、どうぞ安らかにお眠りください。なんかなーかささぎはうらやましかったい。http://www.thomassaboschmuckshop.com/

岡部六弥太  花の句

でこちらへお見えでした。一句だけございますね。
しかも、落花の句でした。

光降るごとき落花に包まるる  六弥太

写真を一枚、引用してきました。
洞窟礼拝堂、大分の竹田にあるようです。

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