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2009年10月27日 (火)

ありあけ連句興行課題句「放」ミニ句集 

八山呆夢
  満ちみちて匂い放てり金木犀
  降り立って芒の原に放つ声
  賑やかに放つ方言新酒酌む
  銀婚を迎えし夜長の放屁かな
古賀音彦
  柿熟れて放物線の空がある
竹橋乙四郎
  放擲の籾殻山の大噴火
  流星の刹那に放つ秘密夢
  放蕩の旅の宿にも吊し柿
青翠えめ
  放し飼い卵おちこち今朝の秋
  手放しの自転車少年稲田落つ
  孫帰りヨーヨーころがる放生会
調 うたまる
  秋晴れに着の身着のまま放浪記
東妙寺らん
  放射線治療を埋めて帽子草   (帽子草は露草の別名なりき)
澄たから
  開け放つ天窓に来し望の月
  放心はワインの酔いや夜長人
  バスハイク放って配る青蜜柑
山下整子
  放たるる焔(ほむら)が描く大文字
  漁港町野塘萵(あれちのぎく)は放胆に
  放鳥や十字架祭の鎮魂歌
  放免ののちの薮入りつつがなし
中山宙虫
  夕暮れて放送室の青檸檬
  村のまま放置している鉄道草
丸山消挙
  屁を放いて暖気感じるズボンかな 
  沈みゆく夕陽は秋のつるべかな  
 放るもん時は移ろいホルモンと
姫野恭子
  身に入むや何処(いづこ)のダムも放棄され
  もどかしき恋解き放つ二日月

選評:

同時開催の大会のテーマは「みやまの食と農」でした。

地域の農をどう考えてゆくか。という視点で展開された祭り。

竹橋乙四郎の「放擲の籾殻山の大噴火」は漢字だらけの硬い句ながら迫力があり諧謔があり、深層には現状の政治への怒りがあります。幾重にもよめる句です。

もみがらやまはどんな山、どこにある山。
それはいなかにいけばまだあります。ちいさなちいさなおやまです。
そのやまが、ある日ほっぽられて怒って大噴火しました。
まんなかのえんとつから煙が出ています。
火事になったのではありません。もえているのでもありません。
あれはいぶしているのです。
ドラム缶みたいながんがんに穴をたくさん開けたのを煙突かわりにして籾殻をいぶし、くんたんという肥やしをつくっているのです。
燻炭はいろんな作物をつくるときの有機肥料となりました。

これは過去形でかたるおはなしです。もうどこの米作り農家でもやってはいないからです。
テレビドラマ『仁』では最後にみなかた先生が崖にきて、帰れない過去(ほんとは未来である現在)を恋しがって涙をぼろぼろこぼすのでありますが、あれとおなじ思いであります、籾の殻をおもう心は。

俳人たちはとおに籾殻山を忘れ去ったというのに、竹橋乙四郎が思い出させてくれました。
目がさめるようなきぶんをあじわいました。乙四郎のヒットであります。

ほかに、どうぞごらんください、なんと多彩で奔放な放の句の数々。

調うたまるさんの

秋晴れに着の身着のまま放浪記

きまっていました。スカッとした青春性の一句、やはりこのおかたは只者ではありません。

熊本の九州俳句賞受賞俳人・中山宙虫さんの

夕暮れて放送室の青檸檬

これもまた青春性の叙情的な優れた一句であります。
なかやまそらんらしい句です。

みなさま、ありがとうございました。
当日は時間がなくて句会形式をとれませんでしたので、プリント配布とさせていただきました。ご了承くださいませ。

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