無料ブログはココログ

« 第五十回 九州俳句大会のご案内 | トップページ | マイボスの作品 »

2009年5月18日 (月)

山元志津香句集 『極太モンブラン』

料峭やいまも極太モンブラン  山元志津香

作者は1934年盛岡市生まれ、川崎市在住。
俳諧師。季刊俳句・連句誌『八千草』主宰。
句集名にとられたこの一句は、世の中がどんなに電文化されても私は絶対に手書きですよという、自嘲ならぬ自恃の一句。
極太モンブランという物に全てを語らせ、取り合わせた季語の料峭=春浅きときの肌寒い風=が、毅然と誇らかにシュプレヒコールをあげる。

戦はぬ国でありたし野川澄む  志津香

前田師もそうであるが、この世代の人たちは戦中戦後の飢えを体で知っておられる最後の世代である。
まず真っ先に平和あってこそ、の思いがものすごく強い。
三無主義のわたしなどが時流に棹差して左見右見するのとはわけが違う。
そして、そこをきっちりと俳句にされたところに、とても深い感銘を覚えた。
これは格言ではないし標語の類でもない。
この国にいきる一個の女性の祈念の俳句である。

蜘蛛は囲を月にかようて架けてゐる   山元志津香

「かようて」は通うて。「通ふて」の音便変化。
蜘蛛が糸を張り巡らせるのを志津香さんは見ていた。
まんなかに大きな月が出ていて、その中心に丁度蜘蛛の囲は架かっていた。
夢中で糸をかけている蜘蛛は、どこかこの世のものとは違う存在に見える。
月から糸を仕入れてくるのだ、きっと。
でなければ、あんな小さな体から、あんな複雑で緻密な網目模様は生まれない。
虚空にきっちりと立体図形を立ち上げる力はどこから来るのだろう。
蜘蛛の吐く大量の糸!
なんと不思議な句!

  以上、かささぎ選三句。

山元志津香句集『極太モンブラン』2009・4・20

« 第五十回 九州俳句大会のご案内 | トップページ | マイボスの作品 »

コメント

蜘蛛は囲を月にかようて架けてゐる

3句の中で、わたしはこの句がいちばん好みですね。くもの巣の真ん中に月があって、行きつ戻りつしながら蜘蛛が巣をかけているさまが、まるで月に通うように見えた。
写実というのは、正確なデッサン力があって、その上に表現をかさねることなのだと思う。単なる写生ではなく。そういう視点から見て、この句は質が高い。

それともうひとつ。
かささぎどんの評の巧みさ。
君は褒められることに馴れてないっていうか、褒められることを良しとしないかも知れませんが、あんたの評はすごい。とても参考になる。きょう、やまなみの評を仕上げたけど、書き直したくなった。これを読んだせいでね。
もう!どーしてくれるのよ。笑

うん これ まったく形をきにしてなさげなとこもいいよね
朝も少し時間あれば業俳 小澤克己の批評の批評までしたのだが

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 山元志津香句集 『極太モンブラン』:

« 第五十回 九州俳句大会のご案内 | トップページ | マイボスの作品 »

最近のトラックバック

2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29