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2009年3月13日 (金)

大根の花   安西均

 大根の花

     安西 均

  ― 宗治郎(そうじろ)に
  おかねが泣きて口説(くど)き居(を)り
  大根の花白きゆふぐれ

啄木の『一握の砂』にある、
わたしの好きな一首だ。
おかねは、お国訛で口説いてゐる。
  ― おらぁ、おめはんどこ、好ぎで好ぎで、
  わがね、宗治郎さ、
  おらどこ捨てるつもりだすか?

大根の花なんか、どこにでも咲く。
宗治郎もおかねも、
全国いたる所で恋をしてゐる。
肥後熊本だったら、
おかねはかう言ふ。
  ― あたきゃ、あんたに惚れとるばい。
わたしの生国・筑前博多近くの、
色の浅黒いおかねなら、
  ― うちゃ、ああたば、好いとうとよ。

わが友・三井葉子は、
近畿河内の生れ育ちだが、
どんなお国ことばで恋をしたやら?
  ― わたくしたちは、いつも
  標準語で恋をし、
  標準語で詩を書いてきた。
さうあっさり言ってゐた。
とりわけ詩人にとっては、
ひどく切なく、むづかしいことを。

大根の花だけだ。
標準語みたいに全国に分布しながら、
しかも方言みたいに懐かしいものは。

 詩集『晩夏光』1991・11・10花神社刊より

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コメント

おらどこ捨てる この方言の意味 私を何処に捨てるのかという意味だと 思ってた
だけどそれだと意味がつうじません
私を捨てるのか と言ってるのでしたね
今頃わかった

標準語で恋をして
標準語で詩を書いてきた

ふ~~ん。
なかなかいいフレーズ。

わたしなんか、思考力そのものがネイチブやめりかんだからね。広川弁で育ち、広川弁で恋をして、広川弁にたたかれてここまでたくましゅうなった。
大根の花。むらさきの愛らしい花。花大根とも言うね。いま、わが家の庭先にも咲き乱れている。花の愛らしさに似つかわないぶっとい茎と葉を持って、そのたくましさが、田舎育ちのおぼこ娘みたいで、むしろいとおしい。

えーむらさき!なら、しょかっさいとちがう。諸葛菜。
八女弁で上の難詰のばめんを翻訳。
うちゃ○○のこつば、こ、すいとるとに。
宗治郎はんはうちば捨つっとね。
(すいとる?クリーナーかおまえはっ。
○○に最適な二人称を入れる。
あんた→ちかすぎ。
そっち→とおすぎ。・・どっちもいまいちじゃねえ。
そこへいくと東北弁の「おめはん」は最高です。

諸葛菜。

まさにそれだと思うけど?

この「大根の花」って、むらさきの花の咲く「花大根」のことじゃなかと?まさか、大根に花がさくすずしろのことじゃあるめーもん?えっ?どっちだろ。全国各地に方言のように広がってる大根の花。

わたしもしょかっさいのことだと思ったよ。
素朴で可憐なむらさきの花が咲く、しょかっさい。

ゴメンナスッテ!
ようく読んだら、冒頭に
「大根の花白きゆふぐれ」ってあるじゃん。
これは要するに大根にトウがたって花を咲かせた風景でございますね。つまり。白い大根の花。すずしろとも申します。すみませ~ん。早とちりで。

「わがね」だけがどうしてもわからない。
もしかして「わからない?」

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