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2009年1月19日 (月)

連歌張行のシチュエーション

以前紹介した連歌の本です。

2002年岩波書店『文学』9,10月号。

「連歌張行の建物・部屋」 

           廣木一人

連歌が座の文芸であるという時、その座の意味は多様である。
座という言葉は連衆の集まる場であると同時に、連衆の社会的結合をも意味する。後者の場合の座は公家・武家などの君臣の集まりでもあり、惣村・宮座などの地域的結合でもあり得る。さらには「花の下連歌師」などを想定する時、芸能者集団の座をも念頭にしなければならないかもしれない。このような座の存在を思い描いた時、それが中世社会の根底に関わるものであることに気づく。連歌はこの点でも正しく中世社会の申し子と言ってよいのであろう。(ざざっと略)

連歌が張行される場所、それは一般的には何かしらの建物の一室と考えてよいであろう。『吾妻鏡』寛喜二年1230、3月19日の条のように船中での会もあるし、「花の下連歌」や「笠置連歌」などというものが、連歌史上忘れてはならない形態であったということからすれば、野外という場も念頭にすべきであろうが、これらは特殊な例である。連歌はそのほとんどが部屋の中で行われてきたに違いないのである。
連歌会の行われた部屋を考える上で押さえておくべきことがある。それは、連歌が一般には七、八名から十数名程度の人々によって行われ、連衆のお互いのやり取りを基盤にした文芸であるということである。すぐれた連歌を目指すのであれば、連衆は平等な立場が確保できること、少なくとも部屋の形態に身分差を意識させるようなことがないことも必要であろう。また、心の寄り合えるような場所、あまり広くもなく狭くもない場所がよいはずである。
二条良基はその連歌論書『連理秘抄』の中で次のように述べている。

 稠人・広座・大飲・荒言の席、ゆめゆめ張行すべからず。
 すべて其の興なし。

「稠人・広座」は部屋の大きさと参加人数の関係で決まる。
部屋が広すぎることの欠点は、早く『明月記』においても、寛喜二年1230年8月3日の条に、

 尊卑父子各座遠而甚無興之間、

と記されている。連衆が離れすぎていてはお互い気持ちが通じ合わないというのであろう。また、部屋の規模はともかく、人数の多過ぎることについては、『筑波問答』に、お互いの心を掴み得ることが必要であることを前提としての言として、

 但、堪能に成りぬれば、人はいかに多けれども、句をよく配りて、すべて人を目にかけぬ事にてあれば、会衆の多少にもよるまじきにや。

と記されており、その不都合が暗示されている。これらを鑑みれば、連歌張行の部屋の理想的大きさは自ずと決定されてくるはずである。

さらに、連歌という文芸にとって連衆の気持ちの寄り合うことが大切であるならば、部屋の形態の適不適も定まってくる。当時の貴顕のための建物は身分差によって、座席の床の高さなどに相違があったからである。このことに関わっては、『満済准后日記』永享四年3月4日の条を引いての伊藤毅氏の次のような指摘がある。

 連歌が始まる以前は、身分差を反映した座が占められており、武家衆らは東落間(東庇)に祇候していたが、連歌が始まると、メンバーは全員六間に参入している。連歌はこのように貴賎同座が原則であって、少なくとも連歌が行われている間は平等性は保たれていた。

(ここに12行の漢文、省略。)

ただし、ここでも完全な平等が成就しているのではないらしいことは注意するべきである。

この論文は詳しく専門的なことを調べて書かれていますので、ぜひとも全文引用をしたく、また例によって数日かけて引いてゆきたいと思います。もちろん、戦国時代の座に関する言及もあります。今やらなければならないことは、当時、500年前、どういう部屋でどういう風にして座が営まれたか。ということの具体的なシチュエーションをあたまに描くヒントを沢山仕入れることです。

こういう時かささぎの光るものを見つける能力は侮れない。笑

なお、「八女戦国百首和歌」は、一般的には連歌ではないのですが、大雑把な括りかたをすれば、連歌の範疇に入れても何ら問題はないと思うものであります。

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ややや。
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かささぎに。笑

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