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2008年9月28日 (日)

俳諧での花

歌仙 『コンビニで』

コンビニで本買はさるる梅雨の底   恭子
  賞味期限の長き紫陽花     兼坊
レンズ越しリボンとりどり巻かれゐて さくら
  明治生まれの祖母を寿ぐ   千晴
良宵の雲流れつき山の里      都 
  循環バスを降りるこほろぎ   宙虫

裏  

ハロウィンの仮装のままに整体師  かぐや
   バカボンママを理想の女と   恭
言の葉のつなぎかたさへまだ知らず ぼん
   仕舞ひ忘れしむらたまの樞(くる) 
 
東京を北京に重ね齢かさね    乙四郎
   汚染されたる雪が降りしく   坊
温室は破裂した月光(かげ)でいつぱい  朝世
   急ぐ余りに靴を片方     ぼん
妻子なきおじさんの買ふメロンパン  晴
      誰にもらひし匂袋よ        さくら
いたづらに移らせまいぞ花の色     乙  しおりの花
   烏が鳴いて帰る出替り       晴

名残表    

春耕の島は真水の音がする  虫
   よかったですね、ところでなにが 整

熱弁の講演終はりぐったりと   兼
     参拝客のつづく杉並  さくら
外宮(とつみや)に
大宜都比売の祀られて  恭
  蜂の巣退治屋根裏を焼く   呆
潮風の波間に浮かぶハンモック   乙
  スプモーニから泡は生まれる  整
緋縅の裏までみせてのぼりつめ  虫
  戦場の空見送りし恋   さくら

月光のやはらかくして望の夜   千晴
  ネコが会議をひらくうそ寒    らん

名残裏

つゆ草に涙があるとうたふ友   ぼん
 空に掛かれる梯子は消えた  せいこ
少年の夢に降り込む午後の雨  そらん
 we are living on this earth  おつしろう 
  花          さくら         においの花
  揚句              坊

花は歌仙で二つの定座がありますがイメージは桜、春の花です。
秋の花や夏の花、冬の花がこの位置に来ることはない。
私には現代俳句をかじってた期間が三年ありましたが、当時はまるきり季語をわかっていなかった。連句に出合ってはじめて季語とは何か、一から教えられた。同時に俳諧での「花」は普通の花ではない特別のものだということも。ふつうに俳句をしているだけでは、きっと何にもわからなかっただろう。俳諧を学ぶとものが時空軸のなかで垂直にみえてくるし、全体を視野に入れつつ細部へと接近できる。

所で。さくらさんは秋の花をだされました。
彼岸花。コスモス!!

まるで石橋秀野からよびかけられたような気がした。
忘れようとしたけど胸の奥で気になっていた。
九月二十六日が秀野忌で、例年ワンカップの月(安価な酒。名前と、ぶらないところが秀野に合っている)とコスモスやくじゃく草を抱いて墓参りをしていた。参道口には白のまんじゅしゃげが咲いた。ことしは文化講演会のあった15日にふと思いついて東妙寺らんと参拝した。早かったですね、彼岸花。ずうっと蒸し暑くて。

金曜くらいからようやく涼しい風が吹き始めました。

昭和16年
濹堤

櫻濃くジンタかするヽ夜空あり   石橋秀野

『櫻濃く』 この句集名。
福島町の堺屋の前にあった石橋秀野櫻濃く資料館で館長(平井朋吉氏)の娘さんから大事な原本コピーをお借りして、スーパーサニーのコピー機で複写を取らせてもらった日のことが、懐かしく思い出される。複写しながら、なぜかなみだがぽろぽろこぼれた。あのころはまだ42歳、下の子が五歳だった。もう十一年もたつのか・・と感慨深い。四年間も必死で書いたので、まちがいごとそっくり自分にはとても大事なもので、だから書き直すことができないのかもしれない。

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