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2007年6月10日 (日)

九州俳句賞

第三十九回九州俳句賞作品集が送られてきました。何度目の応募でしょう。選者20人による選考結果が記名の点数表で返されるので、ショックがおおきい反面公平です。おととし零点をいただいた私は、きょねんは心がめげてしまって応募しませんでした。(子どもを点数では叱るまいと固くこころに誓いました。)

ことしも出さないつもりだったのですが、応募がとても少ないと協力を頼まれ、しぶしぶ歴史ある賞に応募しました。が、たった14人の応募者でした!!記憶にある最低応募者数より10人も少ない。

また落選です。でも、うれしかった。かつておなじ同人誌で句を出し合った大分の吉賀三徳さんが受賞されていたから。

三徳さん。おめでとう。

むかし原しょう子さん宅であった新年句会。名古屋の町で酔いつぶれた故貞永まこと氏を抱えるようにして大分行きの高速バスで帰っていかれた三徳さんをなつかしく思い出しています。若かったなあ。あの日、私も熊本行き高速バスで帰りました。大雪で渋滞し、丸一日乗っていました。乾パンを運転手さんが配られ毛布もわたされて、まるで遭難者。あんなに長時間バスに乗ったことは、後にも先にもありません。思い返せば、あの日名古屋で初めて句会を経験しました。10年前です。

かつての仲間であり兄貴分だった貞永さんのかわりに、祝辞として、全作品を引用します。結果が載った九州俳句誌はまだできていないから、初公開です。だれの許しも得ていませんが、貞永さんがいいよって言ってます。弟分の受賞をとても喜ばれているような気がします。

  落葉踏む

           吉賀 三徳

腑に落ちぬ暖冬の樹にふれてみる

岬に佇てば芯から冷えてくる祖国

落ち葉踏む父を越えたといえようか

片耳は寒念仏を聞いている

手袋をぬぐとき人間くさくなる

焚火の輪抜けてまわりが見えてくる

蛇穴を出るわたくしも変わらねば

父の忌にははが立ち寄る種物屋

おぼろの夜妻のメールを見てしまう

梅雨に来る手紙は狂気おびており

船酔いの男が先に夕焼ける

水底にいま育ちおり祭笛

夕蝉のまだ鳴きやまぬ原爆忌

手の内をあかせばみんな秋が好き

バイクごと刈田に落ちて悟空に会う

麦笛の一揆われらの声やわし

生きているものの向こうに干大根

どこからが冬のはじめか海鳴りか

海鼠食うもう後もどりできぬ年

松手入なんとこの世の去りがたき

※ 三徳さんの句の特徴として、余韻をたたえた叙情があります。句歴が長い。生活に即した詩情深い世界を描いています。驚いたのが妻のメール句。夫が妻のメールを見ている図は、その逆とちがって哀感がある。そんな自分を遠いところから見下している作者がいる。妙なものです。こういうことがあると、夫婦は一心同体ではなく、九鬼周造が韻の構造で述べたように、異体字みたいな関係なんだなあと気づかされます。でも三徳さんは自分で句にしてしまう。これは思ったよりすごいことではないでしょうか。やってくれます。さりげなく現代的な機微を描いて見事です。ほかには、干し大根の句。悟空の句。松手入れの句。三徳さんも着実に年を重ねてこられたんだと感慨深い。あのころはまだ独身でいらした。いま、五十歳くらいか。これからの人です。心からおめでとう。

私の作も残しておきます。

  来るべきもの 

            姫野 恭子

影ふみあそびの影にふまるるそぞろ寒

淋しさも仕事の一つ鳥巣立つ

ゐの年の夜空の星が鳴り始む

紺屋町遠いむかしの雪降れり

むらさきの魚棲む昇仙峡の瀞

君が代を国歌としたり太郎乙 (旧幕臣 乙骨太郎乙)

身の喞ち焚きつけにして北の旅

町に「22才の別れ」流れ波郷の忌

滴りや懐ふかき深大寺

垂直に攀ぢ下りる蟻波郷句碑

薬袋に仕舞ふ真冬の星一顆

宇宙風即興の風花の種子

横たはる身のいづくより麦埃

ありがたし師の渾身の焚き落し

スキップの鵲のあと行くスキップで

穀雨の虚空蔵の黒暗暗たる暮色

底冷の川を挟みて妹背山

狛犬に君がマフラー巻き置かれ

足萎えの魚匿ふ蚊帳吊草

来るべきもの疾く来れ雪は魔性

今日、大分は別府のつるみ荘で授賞式を兼ねた九州俳句大会が開催されていて、「張方としての俳句」を連載させていただいている者としては、参加すべき義理があるのですが、行けませんでした。かわりに文章を書かせていただきました。記念講演は無着成恭氏です。

連句的参照) 映画「22才の別れ」
http://www.22saino-wakare.com/cast.html

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コメント

言葉をいっぱい知ってなきゃhimenoさんのような句、口から出てこないよ。
カメラ散歩してるとメモ紙もってじーっと考え込んでるおばさんとよく会います。
俳句ひねり出しているんだな・・・と思いながらすれ違います。
そんなに悩みたくないよ、これ以上。
それでなくても悩みいっぱい抱えてんのによ。

仲良しの鳥栖の叔母(74歳)が、古くから俳句やっています。
その叔母と昔交わした会話。
私「私は一人で道を歩くのが大好きで、歩いている間ずーっと何か考えながら、目の前に現れるものや風景からいろんなこと想像したりしながら歩いてるよ」
叔母「それそれ、それを言葉にすりゃよかとよ」

私「その言葉にする事ができんもん」

やまなみ結社が毎年募集する「芥火賞」連作20首。わたしもこれに何度挑戦したことでしょう。
一昨年はゼロ点、かすりもしなかった。昨年はかろうじて一人の選者から1位にとっていただいたけど、結局落選。今年はどうしようかなあと正直へこんでるとこ。連作20首のための作業はけっこうしんどいものがあって。

でも、みんな、けっこう似たような経験してんだね。ちょっと安心した。

そうですか、三徳さんが受賞ですか、嬉しいですね。まことさんが喜んでいるでしょう。
天籟通信新年会が終わったからと呼び出され、八幡でまことさんと三徳さんと三人で飲みました。やっぱり酔いつぶれて・・・・そうだ太先生の碑の除幕式の後も・・・・三徳さんが大汗かいて連れて帰っていたなあ。

鍬塚さん。そうでしたか。私は飲めないので、それに人の集う場所にでるのが苦痛で、理由を見つけてはさぼるくせがありまして、義理もへったくれもない薄情者なんだけど、貞永まことさんは忘れません。なつかしくてなみだがでそうになる。なにもしてあげられないのが、申し訳ないんです。あんなに連句につきあって下さったというのに。今日、竹内まりやのアルバム聞きながら帰っていたら、なきそうになった。恋じゃないけど、忘れられない人です。都さん、かぐやさんもおなじ想いだったよ。こういう想いを遺して逝くひとは運命を負ってきたひとなんだろうね。
まことさんの命日近くの七月末の土曜か日曜に連句を巻こうと思ってます。堺屋で。来れたら鍬塚さんもぜひ参加してください。また連絡します。

せいこちゃん。
へ。同じ年に零点とってたの。わらうねえ。
いくらなんでも零点はね。よほどきらわれているんだなあってかなしかった。でも、すぐたちなおるからね。鈍感力おおきい。べつにどってことない。世界中を敵にまわしても、私は私の味方だって開き直る。
べつにさ、点数をいれてほしくて俳句やってんじゃないからね。卑屈にだけはなるまい。がんばることもないけど、地道にいこうじぇ。

さくら先生。こんばんは。
連句は俳句じゃないです。あれをひとことでいうなら、興行師の見せる、ひとときのユメまぼろし。
なんでもありでして、構える必要もなければ、知識もいらない。むしろ、なんにもないほうが楽しめる。ひとを観察もできる。こまったとき、ひとはどうしんぎんするか。ほめられたら、どうまいあがるか。それをじっと観察する。人間集団うおっちんぐ。意識のながれが目にみえてくる。
さくらさんは理数系の人でしょう。そういう人がむしろ向いているかもしれません。おいでになるとき、目に付いたことばたち、気になることばたちをメモ帳にかたはしからメモってきてください。それがヒントになるから。座で五感が六感にかわる瞬間を目撃できます。

こんばんは。
そうですよ、さくらさん。理系の人の短歌って、一味も二味も違います。
わたしが所属している短歌結社にも理系出身の方がおられるんですが、目の付け所が非凡です。批評も並みではないなあ。決して言葉の多い方ではないんですが、ときどきねたましくなるくらい核心に触れた発言をなさって。

強固はんとグルになって煽ってるわけではありませんよ。笑

はじめまして。
九州俳句大会に参加してました。
ちょっと結社はちがうけれど、三徳さんとは大分県で一緒に俳句を続けてます。
ほんとうに好青年ですね。
晴れ姿を見てあげて欲しかったなと思います。
立派にスピーチしてましたよ。
(大会の世話役でばたばたしてたので、きちんと聞いてないんですが・・・。)
検索をかけたらここにたどり着きました。
またゆっくりとのぞきにきます。

え。
宙虫。
ソランさんですか。
おはようございます。
ソランソランソラン
宇宙少年ソラン。
コメントありがとうございました。
そらんさんは大分県だったのですか。
おわわわ。
こりゃまずい。笑
えーと。
空がきれいですね。って雨ふってる。
梅雨になって、よかったですね。
よかたよかた。
田植えできんのじゃないかと、案じてました。
では、さいなら。
また、どうぞおいでください。
あ。御世話、おつかれさまでございました。ぺこり。

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