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2007年3月22日 (木)

収穫  1

『収穫』 より 

         前田 夕暮

魂よいづくへ行くや見のこしし
     うら若き日の夢に別れて

荒みゆく心をしずにおししづめ
          「吾」をみまもり涙ぐまれぬ

あはれみが二人をつなぐ悲しさを
     いかなる時に君は知りしや

別れ来て晩夏(おそなつ)の野に草を藉(し)き
         少女(をとめ)のごとくひとりかなしむ

われ等また馴るるに早き世の常の
            さびしき恋に終らむとする

襟垢のつきし袷(あはせ)と古帽子
            宿をいで行くさびしき男

秋の朝卓の上なる食器(うつは)らに
            うすら冷たき悲しみぞ這ふ

わすれ行きし女の貝の襟止の
             しろう光れる初秋の朝

すてなむと思ひきはめし男の眼
             しづかにすむを君いかにみる

白き額(ぬか)にのこし来にけるわが熱き
             唇おもひ夜の街ゆく

垢づける蒲団の上におほひなる
             虫の如くもまろびねにけり

秋の昼名しらぬ花をみてありぬ
              唇うすき子の恋ひしさに

君ねむるあはれ女の魂の
      なげいだされしうつくしさかな

いはれなく君を捨てなむ別れなむ
      旅役者にもまじりていなむ

マチすりて淋しき心なぐさめぬ
              慰めかねし秋のたそがれ

いづくにか捨てむとすれど甲斐ぞなき
       誇らひに似し我が悲しみを 

         (中公文庫「日本の詩歌 7」より引用)

           

  

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コメント

君ねむるあはれ女の魂の
      なげいだされしうつくしさかな

この歌で今日ここへおたちよりくださった方。
前田夕暮はすぐれた歌人ですよね。
わたしはこのなかでは、

いづくにか捨てむとすれど甲斐ぞなき
       誇らひに似し我が悲しみを 

これが一番すきです。
悲しみが誇りに似ている。とは。深いことばだ。

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