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2007年3月 5日 (月)

歌仙 青野の巻

宗祇水奉納連句歌仙

    青野の巻

          水野 隆 

水溢れあふれ青野の人語かな   鈴木 漠
  光ほの透く雲のゆきかひ     水野 隆
梁高き旧家のあるじ頑なに     福井 直子
  土蔵の闇に息すものの怪    斎藤 佳城
皓々の月下に銀の斧を研ぐ     古田 了
  サックス聴ゆ肌寒の砂嘴(さし) 川野蓼艸

かまつかの顫動郷に届くころ     田中 雅子
  鶸いろドレス翻す女(ひと)     鵜飼佐知子
今日の朝ジュレの口溶け蘇り     谷崎 信治
  かくれて治すラメのマニキュア   清水 遥見
橋過ぎてべんがら格子君待たな    古田 憲治
  御園の雪を踏みて顔見世      渡辺 茂子
凍鶴の数日光に包まれぬ            蓼艸
  イーハトーブに汽笛響くか      松波 幹治
謎を呼ぶダヴィンチ・コード何を問ふ  渡辺 多美子
  濁世(ぢょくせ)を撃てと石礫降る      了
盞に花びら浮かせいざ戦         坂井 昭
  イラクは遠き逃水の方             蓼艸

名残の折

新草(にひくさ)を銜(くは)へて鳩も帰り来よ   漠
  窓は隈なく拭き上げる暁(あけ)       雅子
隠国(こもりく)の和歌の十首に城は成り    憲治
  古今伝授の邑(むら)いや栄え        多美子
言の葉を紡いでめぐる囲炉裏端        遥見
  家霊たちにも寝酒進上            蓼艸
独り居は気儘淋しさ相半ば           直子
  未だに見ぬは婚礼の夢          水野 五月
短夜を縮めて恋のメール打つ          遥見
  虚(うろ)を育てて大き綿菓子        蓼艸
長芋をわが臑(すね)の毛と撫でくらべ     治
  崩れ田毎の月円かなり            
多美子

慟哭を終生負うて渡り鳥           蓑洞 美幸
  数珠玉と齢(とし)母はか           尾山 祥子
サーカスの万国旗垂るかは          蓼艸
  双曲線を描くぶらんこ            漠 
大瑠璃に風さらさらと花過ぐる         隆
  クレー放てば海市揺れたり         蓼艸

   平成17年7月30日首尾
   宗祇水連句フェスタ
   於郡上八幡向山大乗寺

留書  
          鈴木 漠

 2005年夏、郡上八幡宗祇水連句フェスタに招かれて、水野隆氏捌きの座に連なり奥美濃連衆の歓待のもとに歌仙を満尾。打ち上げは日本一の名水宗祇水で冷やしたビールでの乾杯。歌仙は柾目の板に墨書され宗祇水の傍らに一年間掲げられた。後日たまたま観光で立ち寄った知人が写真を撮って贈って下さった機会に『OTAKUSA』 誌上に掲げ、記憶と記録にとどめる次第。

※ おたくさの会主催の鈴木漠 様、「OTAKUSA」 Ⅷ号 をかささぎにご恵贈くださいまして、まことにありがとうございます。発句の持つ格、詩性、丁々発止のベテラン連衆の力ある付け合い、ただただ見事で、うなります。ことに川野蓼艸氏の砂嘴の句、田中雅子氏の初裏かまつか句、そこからの鵜飼佐知子氏のひわいろドレスのひるがえり。絵かドラマを眺めているようで驚きを禁じえませんでした。また、漠先生の発句のみごとさは、『ぜぴゅろす抄』 収録の百韻歌仙でも強くこころに刻まれています。水野隆。この捌きのお名前は別所真紀子先生の解纜誌上でも目をひくものでありましたが、今回はことにすばらしいです。一巻を通して蓑洞美幸氏の無常句 「慟哭を終生負うて渡り鳥」 とそれを受けた尾山祥子氏の 「数珠玉と歳母はかぞふる」 が余情深くひびく巻でありました。 ーまずはお礼まで。 まだ冬にもどる日もございますが、つつがなくお過ごしくださいませ。 

参考: http://www.rd.mmtr.or.jp/~asashi/newpage1453.htm 

   : かまつか 植物と魚とあるが、ここでは植物。http://www11.plala.or.jp/hanasite/flower/0310/htmls/yamak.html    

  

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コメント

このさばきをなさった、郡上八幡の水野隆氏は故人となられた由。解纜23号を拝読していたら、そう書かれていました。ご冥福をお祈り申し上げます。合掌。
作品はのこります。永久に地の影となってのこる。

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