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2007年1月 7日 (日)

れぎおん遅刊と前田先生のこと

歌仙「やわらか戦車」  

  起首平成18年8月29日(火)  満尾〃年10月14日(土)

初折オモテ
発句 生きたまま脳に届いて殖えて菊    冬樹 蛉
脇   赤とんばうを放ちやる空        姫野 恭子
第三 三日月に「子とろ子とろ」の響くらん  鍬塚 聰子
四    シナモン味のパンをください     倉本 朝世
五  スカートがはらり自転車から下りて   杉浦 清志
六    早き朝には冴ゆる橋げた       沢 都

ウラ  
一  脊振山ちぎれちぎれに雪降り初む   澄 たから
二    よく似た痣を見せ合つてをり     朝世
三  短髪のうなじはほそき指睦び     bud
四    発泡酒までおまけで釣るか    蛉
五  親王誕生こんなところに祝ひ旗    恭子
六    一挺二挺五つ玉十露盤     聰子
七  満月のうしろへ急ぐ馬の群れ    朝世
八    刈田狼藉許すまじいぞ      清志
九  啄みてひと声啼きしかちがらす   都
十    言へないことば少年にあり   たから
十一 黄昏におさげひっぱる花篝     bud       
十二   ひらきひもとく春潮の渦     恭子

ナオ
一  亀鳴くや重く張りたる右乳房       山本伽具耶
二    どろどろどろつとぐちやぐちやぐちやと   蛉
三  ああ僕の弔電四時に着くはずの     聰子
四    吹雪の中をサラ金に行く       清志
五  餅を切る手に包丁の食ひ込みて    たから
六    きさらぎになり書く初日記      bud
七  紫の魚棲む昇仙峡の瀞         恭子
八    水の匂ひの消えぬ古寺       都  
九  学歴とか家柄とか太腿とか       蛉 
十    信夫(しのぶ)もぢ摺ねぢれをとけば 聰子
十一 朝の月あなたが置いた月見草     bud
十二   ベランダへ出るドア半開き      清志

ナウ
一 黒人霊歌(ソウル)流れ祈りは海の底に積む  都
二    「やわらか戦車」退却します        蛉
三 酔客はただの茶漬けをご所望に      聰子
四    ぶつきらぼうに目刺のる卓       bud
五 初めてのやうにいくたび花待つや     たから
六    卒業生を昨日見送り            清志

歌仙「やわらか戦車」 連衆のみなさまへ

去年は運命の一巻にお付き合いいただき、とってもすごい付け句を出してくださったみなさまがた、ありがとうございました。ひさびさにとりだして、こうして読み返しておりますと、またあらたな感慨がわきます。ふだんはその日暮らしが精一杯で、深くはものを思わずにいますが、きのう、ようやく本歌仙の留め書きをれぎおん連載の拙稿「連句的」のなかに書くことができました。えっ、じゃ今まで何してたの、と冬樹蛉さんあたりから詰問されそうです。笑。というのも、冬樹さんからはもうずっと前に依頼していた留め書き原稿を戴いてたからです。人には早く頼んでおきながら、自分はなにのほほんと・・というお怒りごもっとも。これからその説明をいたしますから。

前田圭衛子先生が右手首骨折に遭われたのです。ちょうど山口国文祭連句大会が終わったばかりのころでした。先生はそれまで住んでおられた甲子園から神戸へ転出されたのですが、片づけ物をするときに踏み台から落ちて手でかばった結果、手首を骨折なさったのです。利き腕ですし、時間がかかります。れぎおんという連句界屈指の俳諧専門誌は、知る人ぞ知る、前田圭衛子一人の編集力でもっている同人誌です。B5判の毎号100ページ近いあの体裁の本を、きちんと著者校正をいれて遅配なく、これまで十四年も発行してこられたのは、ひとえに前田圭衛子先生の血のにじむような精進の結果です。膨大で旧仮名旧漢字も混じる難しい原稿の山を全部前田先生が一人でワープロ入力し、印刷屋へ持ち込む方式の本作りでこれまでやってこられたからです。わたしたち同人は、じっさいにかかっている経費や先生の労働量について、ときに思いを馳せることはあっても、正確には知りません。きっとすごい赤字だろうとは想像できますが・・。

人の上に立つということは自己犠牲の量に比例するという事実を、前田先生からはこのように折にふれ教えていただきます。(似た原理に、さいきん高橋甲四郎先生から聞いた、たらいの水の法則や、こんど入社した会社の社長がよくいわれる、責任ある者のつとめというのがあります。)

歌仙に参加してくださったみなさまには掲載のれぎおん冬号をお送りいたしますと約束しておりましたが、こういう理由でありますから、どうかしばらくお待ちくださいませね。

倉本朝世さんから年賀状をいただきました。元気で二本のブログを新規再開したとのこと、ほっとしました。ではみなさま、ことしもがんばっていきまっしょい。また、ほとぼりがさめたころ、不意打ちで、歌仙を始めないとも限りません。ああ、たのしかったなあ!まるでなぐりあいのような!!

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