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2007年1月27日 (土)

空蝉の爪ー『拓』16号評の三

空蝉の爪棚田たがやす力ひめ    畑中 イツ子
                                                  (  松浦市 )

目が覚める一句である。
自分で詠んだ事はないが、これまで色々な空蝉句を読んできた。どれもが叙情的な追憶を詠み、かつてあり今はない恋への追慕、寂寥、あるいは無常感や虚無感の句であった。それらがきっと空蝉本来の持っている本情(人がそう受け取るだけだが)なのかもしれない。

空蝉の爪。たしかにあのかそけきむくろは、爪だけが異様に目立つ。それはまだ、生きる意志を持つ別の存在であるかのように。その爪が棚田をたがやす力を秘めているとかかれると納得する。そして、空蝉すらが死んでしまう日がくることがあるのだと思い至り、放置され消滅する美しい棚田を想う。声高な糾弾をしているふうでもない。だから余計に空蝉の爪がこころにひっかかる。まるで一生を農に生きた日本の母たちのことばにならない言葉のように感じられる。

高橋昇博士の大著『朝鮮半島の農法と農民』(飯沼二郎・高橋甲四郎・宮嶋博史・編著) に、「カマカキ」 という農具の写真が載っている。カマガキともいうそうだ。場所は京畿道水原邑(けいきどうみずはらむら)水原高等農林学校川口教室にて、1940年11月15日撮影。写真を見て戴くのがいちばんだが、文章で説明すると、まさに「空蝉の爪」 ににている。直角に刃先が曲がり、木の持ち手がついている。

大著本文をひらき説明を読む。鎌かき・・・大分県では草取りカンナと云う。畑にはあまり使用せず、又作物の刈り取りにも使用することなく、田圃の除草用に使用すると。中島友輔氏の話によれば、此の除草機を北松浦では「カマカギ」と云うと。満州島の「除草ホミ」を「カマ」と称するが如し。

※ 空蝉の写真が見れるサイト:http://homepage2.nifty.com/saisho/utsusemi/nukegaraphoto.html

  草取り鎌のサイト:http://www.kase-hamono.com/cgi-bin/kase_hp3/sitemaker.cgi?mode=page&page=page2&category=3 (朝鮮のカマカキはこの草取り鎌を直角にまげて、もう少しお手ごろふうでした。これはすごくりっぱですね。)

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