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2007年1月27日 (土)

解纜19号より

別所真紀子氏より俳諧研究誌「解纜」19号を戴いた。大き目の定型封筒にちょうど入るサイズの文化の薫り高き同人誌である。印象的な表紙絵カットは小原洋一氏。一巻を引く。

   ソネット恋尽し「肉叢」

             捌  滝田 遊耳

 紅を肉叢(ししむら)として曼珠沙華 遊耳
  弾んで月もうきあがる水       秋扇
 少年は団栗独楽をてのひらに    千晴
  もっとシュールにもっと激しく     耳

 旅人にわが妻を貸す包(パオ)のうち  扇
     猛る牡牛は制御不能と         晴
 稜線といふやはらかき線なぞり     耳
   閑もてあます短夜の爪         扇

 哭く女嗤ふ女を待つピカソ        晴
   われめにおちてもがくももんが    耳
 鸚鵡貝にメモリーの量(かさ)巻き戻す 扇
   
   君が吐息を如月の筥        晴
 この先はちんからころりんと花の酒  耳
   燦爛として古都の春逝く       扇     

  

     平成十八年十月十九日首尾
                於 セシオン杉並

なぜこの巻きを引いたかといえば、秋扇さんの「旅人にわが妻を貸す包のうち」。

橋本光寳(はしもと・こうほう)というチベット学研究者にしてラマ教研究者が戦時中の昭和十七、八年ころに書いた痛快な日記「モンゴル冬の旅」(ノンブル社刊)に出てきました。この時代は石橋秀野の「櫻濃く」執筆時代とも重なりますし、興味がありましたので、数年前に買いました。例によってかささぎ読みです。ほんとはこのぶぶんより、共同便所の記載が圧倒的に秀逸なれど、それは又の機会に譲ります。

 ウヂムチン地方にはラマ三千あり、このうち西蔵(ちべっと)文を解するもの百分の一に過ぎず。外蒙との関係は全然なし。ラマと一般旗民の妻との間には確かに関係あり。しかし此処には日本式道徳をもってしては得ざる蒙古式道徳律あり。すなわち蒙人一般はインテリであり、救世者であるラマとの親密なる交際を非常に要望しあるところ。したがって親密なる俗人とラマとの間に於いては妻を中心にして益々その親密の度を加え、俗人は妻に対してよくラマに奉仕すべきことを慫慂する。かくて一旦関係の出来たるラマと俗人との間は兄弟以上の親密さを増すと云う。不思議なる心理あり。(「モンゴル冬の旅」橋本光寳より)

閉鎖的な社会ではこうすることで血の混合をはかったという見方もできるのでしょう。

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