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2007年1月31日 (水)

遠しゃぎり  『拓』16号評の四

遠しゃぎりガス灯潤む月今宵  松尾すみ子
                                            長崎市

茶が咲いて日々遠くなる縁者よ  〃

独居よきかな青い微醺の後の月  〃

初雪や竜巻の地をおもいおり   〃

松尾すみ子さんは九州俳句誌上でも存じ上げている。もう一昨年になるが、夏、長崎の原爆忌平和祈念俳句大会というものに参加した。(軽の車で一人で行った。高速を走れば二時間はかからなかった。路面電車と並んで走るのが怖し懐かしであった。)そのとき、市内を歩いた。かなり歩いた。ばかだから、まず福砂屋のかすてらを何本も買い込んで確保、それが重いのなんの、両手に提げて、坂の多い道を「くそうなんの因果で」といいながら、汗をかきかきちゃんぽんを食べに行ったのでした。はい、すまんこって。食い意地の人です。福砂屋とちゃんぽんやさんの間には、大きな浦上川が流れていて、それにはきれいな歩道橋がかかっていました。そこから写した写真があります。いつかアップしましょう。川の手前の道には緑ゆたかな街路樹が続いていました。青い実がなっていて、それを採って、句会の会場にいた人に「これは?」と尋ねましたら教えてくださったのが、ほかならぬ松尾すみ子さんであったわけです。ナンキンハゼが長崎の街路樹であり、秋には紅葉するとも教えてくださいました。もっとも、紅葉なのか、、黄葉なのか、秋に訪ねたことがなく、確認してはおりません。そういえばナンキンハゼ、東京の千駄ヶ谷駅から国際競技場へ抜ける道にも植えられていました。けっこう街路樹として人気が高いのでしょうか。

手鏡の中はは黄落ふいに私  松尾すみ子
                       句集  『紫木蓮』(平成16年)所収

「黄落」は「こうらく」と読み、読んで字のごとく、黄色の葉が散ることをいいます。晩秋の季語です。この句は、手鏡の中を見て、あまりにも自分の顔が母ににてきたことに驚きを禁じえないという感慨をよんだものです。最近、これと同じような思いを私もよく味わいます。

さて、拓の引用句です。とおしゃぎりの句、音も景色もヴェール越しの世界、月今宵と合っていて叙情的です。しゃぎりとは、おくんちのおはやしだそうです。http://www.d1.dion.ne.jp/~sira1998/kunti_nazo_syagiri.html

独居よきかな、というつぶやきに、戸畑の主人の母をおもいます。母は独居ですがちっともそれを悔やみません。まことに出来たひとです。先日、私にセーターを三枚も送ってくれました。あんた、自分のを買わんから。って言って。ありがたいことです。いつも自分のことより、人のことばかり考えている人です。その息子のわが夫はとびきりわがままな男ですが、この母があるかぎり、私はしあわせだとおもいます。青い微醺の後の月という措辞に、坂本繁二郎晩年の月の絵をおもいました。まさにそんなかんじの絵でしたから。目を悪くしていても、心眼でとらえて月がみえたんですね。茶の花の句には、松尾すみ子さんのこの無常の句のほかに、

茶の花のごとしお寺の合唱隊 福島幸子
                                          長崎市

という句もありました。

最後になりましたが、野田信章という俳人の句を今回は取り上げねばならないとおもいました。しかし、もう眠いので、また明日かきます。

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コメント

セイコさんといい、budさんといい、ここは大変な文学者の集まりだわ!
とってもそんなリズムのいい、言いたい放題のコメントは書けないけど、ついていきます。

千駄ヶ谷では巨大フリーマーケット会場があるのでちょいちょい行きますが、ナンキンハゼが街路樹なんて気がつきませんでした。
いえね、東京はナンキンハゼの街路樹は多いのです。秋には真っ赤です。

甲四郎先生がhimenoさん、本を貰いにまだこない・・と言っておられました。
私は貰いました。

さくらさん。ありがとう、千駄ヶ谷のナンキンハゼの葉がまっかになるって教えてくれて。ひょっとしたら黄色になるのではと思っていたので、わかってよかった。いつか写真お願いいたします。ペコり。それと、明治通りの古い立派な街路樹のほうは何かも教えてもらえればうれしいです。

甲四郎先生のところへいけば、つい長居をします。話し込んでしまうから。だから時間が今、きれぎれにしかないので、まだ行けないのです。先生ご紹介のお仲間の八女人のブログも覗きましたが、コメントするのは場違いな気がして控えました。格調たかくて。

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