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2006年12月 9日 (土)

三余捌歌仙『海甦る』

いまは亡き鈴木助次郎こと三余さばきのローズ連句会の歌仙を紹介します。昭和48年のものです。連衆の女学生やOLだった若い女の子たちも、いまはすでによき家庭の母でありましょう。三余先生の教え子だった昭和女子大の生徒さんたちが主体となって作られた連句会がローズ連句会だと伺ったことがあります。これも俳縁、引用させていただきます。石雀先生の発句がある薔薇館にしようかと迷いましたが、これを。初々しくて座が見えるようです。野村牛耳翁の恋句「目交ひの刹那に彫りしおもざしと」、すばらしい恋句とおもいました。匂いの花、ふしぎな花です。どうか、教えてくださいませんか。(私が連想したのは、牢獄に繋がれている絶世の美女です。たとえば、石橋秀野とか北原白秋との姦通罪で投獄されたひととか。)「り」が柏木ゆかりさん。陰陽イ、の掛け声でやぶさめってするのですか。知りませんでした。勉強になります。「ゆ」がちゆさんこと日高玲さんでしょう。もう一人玲子さんがいらっしゃる。挙句、すばらしいですね。それと、「唐もろこしで作る人形」、かわいらしくてさりげなくて、こんな句、いまなら出ないでしょう。

    『海甦る』 
                  
                鈴木 三余・捌

秋立ちて甦るあり海の青       三余
 野菊彩る風紋の丘          露
相寄るは黙思の月と酌めるらん   牛耳
 郷人困る猿のいたづら        紀子
ままごとの通貨にせんか蝉の殻   タマ
 お花畑にたどり着きけり       ゆかり

快適に肌焼きこがしゆくや夏     玲子
 鑵ジュース売る鈍行の窓       ちゆ
目交ひの刹那に彫りしおもざしと   耳
 尼僧のたより浮世恋ふらし      紀
地価騰り騒音の巷となりはつる    露
 謎の事件は手がかりもなく      余
残業をやうやくすます凍てし月     マ
 脚ある台に煮ゆる湯豆腐       マ
涸れそめし運河にぎはふ家鴨舟    耳
 バス待つ群のカラフルにして      余
柩出づ花と校歌に見送られ       耳
 昼をきららに淡雪の舞ふ        ゆ

名残の折
 
四月馬鹿今日だけ信じゐたき嘘    露
 秘仏のとびら開くをののき       紀
緊張の過剰と知れど若ければ     耳
 長靴りりしく乗馬する女(ひと)    マ
雲の峯ドームは白く陽に炎えて     露
 水争ひの話あれこれ          紀
賢者愚者政治不信とそっぽ向き    露
 老いしライオンいさぎよく餓死     耳
「陰陽(いんやう)イ」 流鏑馬の歌ひびく聞き  り
 お手のものかよヒョットコの芸     耳
ひとり居の部屋訪るる蒼き月      玲
 唐もろこしで作る人形          マ

地下鉄の地上に出でて秋の虹     り
 テニスのボール直線に飛ぶ      耳
筆墨に幽玄を逐ふひたむきに     紀
 ブラウン神父なごやかな髯      ゆ
牢獄の庭に妍あり花ふぶく       り
 大気ふるはす金色の虻        ゆ

      昭和48年8月24日首尾 於仰亭 

野村牛耳連句集『摩天樓』、昭和50年
  東京義仲寺連句会発行

     連衆  野村牛耳、鈴木三余
        ローズ連句会   大橋紀子、小倉ちゆ、柏木ゆかり
                              福島タマ、藤崎玲子、和田露

※ 流鏑馬神事の掛け声:http://blogs.yahoo.co.jp/kyotobrand/33538324.html

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コメント

姫野様、早速お返事頂き有難うございます。その上、本当に懐かしい歌仙まで取り上げて頂きうれしいです。

歌仙「海甦る」は、私がまだ連句を始めたばかりの頃のものです。そのため、校合であらためられ、後からでは私の名があるので自分のだとわかる(笑い)・・・という今だから言えるのですが、お恥ずかしいしだいでした。「牢獄の庭」の花の句は、三余先生が仰っていましたが、姫野様の解釈で全くピッタリです!!さすがですね。大変な美女が、主人公です。これは、まさに三余先生の世界なのです。「地下鉄」の
句だけは、直されずにそのままでした。
因みに連衆の中で、私とちゆさんだけが学生であとは先生、卒業生という構成だったと思います。少し経つと、作った句はそのまま取り上げてくれるようになっていましたが・・・。
私は当時、短歌と詩の勉強をしていて鈴木先生から連句に誘われたのでした。そう、ちゆさんはお酒、強かったですよー。かく言う私も「まるで、ビールをお水のように飲む。」と三余先生から、からかわれていました。

奇しくも昨日は、鈴木先生のご命日でしたね。思いがけず懐かしい歌仙に出会えて、先生もお喜びになっていると思います。

ここは私の好きな九州のことも書かれていますし、またお邪魔すると思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

おはようございます。
おどろきました。
命日だったんですか。
亡くなられた日付を私は存じ上げませんでした。こういうことは、大事にしなきゃいけませんね。
ありがとうございました。どうかまたおいでください。

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