無料ブログはココログ

« かささぎ警備保障(有) | トップページ | 高橋昇ー朝鮮の農民に学んだ農学者 »

2006年12月 6日 (水)

三吟歌仙「治聾酒」

    三吟歌仙『治聾酒』
 
衆判 平成15年2月6日首、10月14日尾

 治聾酒や六腑に残る好き心     星野石雀
   大き梁より覗く恋猫        日高 玲
 渡り漁師浜の破船に身を寄せて   鈴木三余
   飛行機雲の溶くるたまゆら    石雀
 交差点かはたれ時の月細く      玲
   身にしみて聴く反戦の歌      三余

 ほつほつと落花生噛みスナイパー  石雀 
   エレベーターに挟むスカート    玲
 いまごろはセーヌ河畔を君一人    三余
   蠱物(まじもの)せしが何事もなく  石雀
 三輪山の蛇身を鳴らす四斗樽     玲
   蛍飛び交ふ方に弦月        三余
 長者の荷橋の半ばにとどこほり   石雀
   竹槍ありしふるさとの蔵       玲
 阪妻のポスターなども貼られゐて   三余
   骰子一擲どんと春雷        石雀
 居続けて縄手の小家花明かり    玲
   頬嬲りゆくあたたかき風      三余

名残の折
 忘れ雪踏む足音のかすかにて    三余
  青いインクは置いてゐないと     玲
 リヨン行き夜行列車にマゾ翁     石雀
  「好きな映画は何度も見ます」    三余
 丈長き髪にささりし藁をとり       玲
  稚児の呻きを消す糸車        石雀
 メルヘンの如き国母の愁ひ顔     三余
  ゴルフボールが池にぽちやりと   玲
 盆の月てらてら山の端にかかり    石雀
  秋袷着て友を見舞ひに        三余
 飾り文字もう書けへんと檸檬切る   玲
  役者を買つたことも昔に        石雀
 
 河なべて暗渠となりし明石町     三余
  遊行の足裏さりさりとする      玲
 山姫の綺羅幻に花のかげ      石雀
  春の雲みる何ごともなく       三余
 蓬餅三つ四つ腹に納まりぬ      玲
  田螺が鳴いてお開きになる     石雀 
    

※ 打ち込んで気づいたのですが(笑)、正花の座に花なく、その打越に石雀さんの花がありましたね。珍しい。山姫ということばは、和歌によく出てくることばです。八女の百首和歌にも出てきました。この歌仙の見所は、長く連句をやってきた俳諧人たちの丁々発止の、それでいて遊びの息のぴったり合ったところです。ことに石雀さんの恋句の悪趣味ともいえる強さを、三余先生と玲さんの二人が懸命に転じて立て直そうと図るところ、すばらしいです。私が深く感動したのは、その一例、名残おもての恋(どうしてじいさまたちは恋ばかりしているんだ)の玲から三余の三句の渡りでした。三余さんて本当にすごいんだとよくわかった転じでした。なお、玲さんは大学生時代から座で連句をなさっていたというクールビューティであります。お元気でいらっしゃるでしょうか。三余さんはこれを巻かれて亡くなられました。遺作です。

  丈長き髪にささりし藁をとり       玲
  稚児の呻きを消す糸車        石雀
 メルヘンの如き国母の愁ひ顔     三余
           

« かささぎ警備保障(有) | トップページ | 高橋昇ー朝鮮の農民に学んだ農学者 »

コメント

姫野恭子さん、初めまして。
三吟歌仙「治聾酒」を拝見し、あまりに懐かしかったので思わずレスしてしまいました。私は学生時代に三余先生、石雀さん、ちゆさんたちと連句をしていた者です。昨年、鈴木助次郎先生が既にお亡くなりになっていたことを知り、大変シヨックだったのですが、このサイトの存在を知り時々覗かせて頂いておりました。
姫野さんは、ちゆさんをご存知なのでしょうか?今は、日高玲さんとしてご活躍のご様子で、私もうれしく思っています。
大変、長いことご無沙汰してしまっていましたが、連絡を取ってみようと思います!!
突然で、大変失礼致しました。

柏木ゆかり様、コメントありがとうございました。待ってください、いま、『摩天樓』を開きますからね。おお、ありましたありました!柏木さま、むかしのなまえで出ています。いえ、そうじゃなく、今もそのお名前を連句につかわれていらっっしゃるのですね。
はい。玲さんと一度お会いしたことがあります。平成15年の十一月、連句人のための連歌興行という珍しい企画をれぎおんの前田圭衛子先生がなさったとき、一泊でしたが、ごいっしょしました。連句はマイナーですが、それよりもっとマイナーで、かつ、よりうたの根源的なものを残している連歌の会を、関西の一流の連歌の先生を招いて、連句人にやってもらうというもので、うなるような目に遭いました。
玲さんは、(書いていいかな?)ここだけのはなし、とってもきれいな人でしたが、さけのみでした。笑
黙々と一人で飲んでらしたです。それが印象に残りました。あと、夜に俳句会もあったのですが、それで玲さんはぶっちぎりの最高点でした。石橋秀野ばりの句を出された。ちなみに、このわたしめは、最下位でした。とほほ。
そうです、あとで、一番いいと思うのを、摩天樓から引用しましょうか。野村牛耳のゆかりさんやちゆさんが入った作品を。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 三吟歌仙「治聾酒」:

« かささぎ警備保障(有) | トップページ | 高橋昇ー朝鮮の農民に学んだ農学者 »

最近のトラックバック

2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31