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2006年12月 6日 (水)

かささぎ警備保障(有)

    かささぎ警備保障(有)

            西野いりひ

くるめの町の北の端を
東から西へ流れる筑後川
そのほとりの広い道を
すこし入ったところにある
かささぎ警備保障(有)

狭い敷地に建つ雑居ビルの
いちばんてっぺんの階上
そこへ今朝も五人の警備員が
あつまってはとびたってゆく
それぞれの場所を護るために

いちばん年かさのげんじいは71歳
スヌーピーにどこか似ていて
宮崎の五ヶ瀬からの出稼ぎで
いつも決まってにこにこと
よく出来る孫の自慢話をする

いちばん若いけんちゃんは17歳
はずかしそうに帽子を目深に被り
顔を隠すようにして敬礼するから
隊長に尻を叩かれて送り出される
オラオラもっとしっかり元気出さんか!

いちばん無口な村上さんは45くらい
昔ケイシチョウに勤めていたって
いったい何があったんだろうね
みんなから離れて いつも
山本周五郎の本を読んでいる

いちばんベテランの浜中隊長はたぶん55
かわいい女子の部下を引きつれて
近くのミスドでココアを奢るのが趣味
といってもかわいい女子の部下は
一人しかいないのだけど

いちばんさいごに残ったのは
そのかわいい女子の美和さん20歳
彼女はいつもみんなの話に笑ってうなづき
大きな元気のよい声をかけてくれる
ハーイきょうもがんばっていきましょう!

景気は中くらいのかささぎ警備保障(有)
筑後川に牡丹色の夕映えが近づくころ
五人の隊員たちが疲れてもどってくる
細長いウナギの寝床みたいな部室に
タイムカードのかささぎの旗が五つはためく



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