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2006年11月22日 (水)

嫁くばり

 花葱の中晴れわたる嫁くばり   河野 輝暉
           第六句集『曼珠沙華』より

河野輝暉。もと英語教師にして神社の宮司さん。国東に住んでおられ、句歴は句をごらんになればわかるが、とても長い。その代表句がこれである。(わたくしの選句による)。

花葱を知らなかったので、まずそのことばに打たれる。新鮮だった。葱坊主を花葱というそうだ。15年も俳句をやってきたが、こんなきれいな別名を知ると、おおっという声がもれ、ムンクの叫びほどの形相にかわる。つぎに、おやっと首をかしげる。
嫁くばりとはなんだろうか。嫁を配るのか。見合いでも計るのか。仲人は今時はやらねど、そういったことを詠んだのか。・・と、がぜん興味がわく。

いま検索をかけると、ちょうど国東の方が書いておられるブログにこのことばが出てきた。タイミングがよかったみたい。二ヶ月前にかけたときには一つしかヒットしなかったから。たぶん、結婚後に嫁が万十かなんかを持って村中を挨拶まわりすることのようだと想っていたが、やはり御披露目だった。似たことをここ筑後でもする。葬儀の面でも、似たしくみのようで、なんだかほっとする。失礼とは存じますが引用お許し下さい。http://blog.yahoo.co.jp/tokuchiyuu/35855748.html#35910368
花葱:http://members.stvnet.home.ne.jp/kubookada-k/negi.html

きのう、「菊歌仙」後半を巻いているときに亡くなった従弟の母と妻(離婚していたので正確には元妻)が、そろって忌明けの挨拶にみえた。
生死のことはふしぎな暗合にみちている。この従弟が自裁した日は、私の弟の29回目の命日だった。アルコール依存症からくる鬱の治りかけで発作的な死だった。別れた妻とまたやり直すことになっていたという。従弟は博多で有名なあわび料理専門店の板前をやっていた。腕がよくテレビにも何度か出たことがある。伯母は相変わらず気丈に、優しかった息子の思い出をたくさん話して帰ったが、その間、運転手として付き添ってきたお嫁さんも、ときどきうつむいて涙をふいていた。

かつてははげしくたいりつしたよめとしゅうとめを、こんなにおだやかでやさしいこころでむきあえる関係にかえたのは、たがいに愛するひとりのひとの死だったなんて、むごい。私にはもうひとりアル中から生還した従兄がいるが、彼の場合は妻が苦労の末亡くなり、そのあと、ほんとうにきっぱり断酒して、立ち直った。

いのちのおもさをおもう。愛情と悲しみは同じものだとも。

河野輝暉句集『曼珠沙華』平成18年刊行より十句

見なれたる海なつかしや独活を掘る

生まれたる水より光り羽蜻蛉

右の手に少年果てし沈丁花

あめんぼう水よりおもくなりたがる

母殴りたい頃も食べ柏餅

海に来て養子のごとく高菜揉む

ねこじゃらし自分の夕日持っている

花葱の中晴れわたる嫁くばり

柏餅くれれば母よ母三人

秋立ちぬ梯子に妻のふくらはぎ

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