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2006年11月 8日 (水)

Ingrid キスリングの憂愁

キスリングの憂愁
  
                      本馬 梨枝子
           「アンブロシア」同人 熊本県植木町

        
「エコール・ド・パリ」展の最終日は
たくさんの人で混んでいた
キスリングの「イングリッドの肖像」
の前にやっと立ったとき
ずっと探し求めていた人に会えたような
不思議な想いにつつまれた

哀愁をおびた青いひとみ
優美にデフォルメされたからだの線
黒い衣装と白い襟のコントラスト

パリのラボワール(洗濯船)に暮らし
ピカソとも親交があった
ポーランド出身ユダヤ人画家の傑作だ

館内にある椅子に腰をおろして
キスリングの絵のうしろに
私は描かれていない窓を想像する
その窓から歴史の迷宮に入り込む

美術館を出ると
よく晴れた空に雲が浮んでいる
その彼方にイングリッドの眼をとおして
翳りゆくパリの風景が見えてきた

人はなぜ愛を求めるのか
そのこたえは一枚の絵のなかにある

   西日本新聞平成18年11月6日付「詩2006」より

月曜日に西日本新聞の同人誌の詩紹介コーナーで、「キスリングの憂愁」と題する本馬梨枝子という人の詩を読んだとき、たいそう驚いた。こういうことって、あるんだ。やはり、優れた絵は生きている。人を摑んで放さない。

去年、「マリオットの盲点」で紹介された映画『サイダー・ハウス・ルール』で、助演女優シャーリーズ・セロンをみたとき、おやっと思った。彼女は、モンパルナスの画家・キスリングの描いた女性の肖像にどこか似ていた。三つの図書館を捜し佐賀の図書館に唯一あった「KISLING」画集。十年ほど前に日本でキスリング展をやったときの図譜です。それを読んで(観て)いましたら、パイロットになった息子さんが父キスリングの画業と優しかった母について書いた文章がありました。「父の絵は一見易しいように見えるが、実はとても深いところから出ていることを知っているし、勉強を怠らず苦労して描いていたことも自分は父の身近にいたから知っている。母は常に父が仕事をしやすいようにと気を配っていた。だから自分は苦労の多い画家などにはならなかったのだ」、と語っていました。なるほどとおもいました。ほんとにどの絵も、あっさりと描かれているように見えて、その実、繊細な繊細な絵です。その繊細さは、余分なものを全てそぎ落として心眼が捉えたたましいのかたちをうつしているところからきている。色彩は華やかでも独特の翳りがあり、それが心を捉えて放さぬ魔力になっています。

最初に実物を見たのは、独身のころです。三十年近く前、天神のニューオータニの画廊で、黒い服を着た女性の小さな肖像画をみた。こころに食い込んで離れなくなった。それからキスリングが気になってしようがない。でも、資料がなにもなかった。

ぐうぜん佐賀市民図書館に一冊あった画集。それを借りては眺め借りては眺めしていた。そこへシャーリーズ・セロンを映画で観た。また借りて、確かめると、絵は「イングリッド」と題されたもので、去年携帯で写真を撮っていたのを思い出した。(後でアップします。)

※ シャーリーズ・セロンhttp://www.asmik-ace.com/Cider/Cast02.html
  http://blog.ketainovel.com/?eid=180510(これはまだみておりません。)

   モイーズ・キスリングhttp://www.artschool.jp/columu/kissling/index.htm
  

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