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2006年11月22日 (水)

高橋甲四郎先生との出会い

「この夏もひたすら生きて海軍橋」という佐世保の橋の検索で知り合った東京のさくらさん。その縁の重なりの中に、ぐうぜん高校時代の数学教師である高橋甲四郎先生がいらっしゃいました。さくらさんは鳥栖の高校時代に縁があられたそうです。甲四郎先生はすぐ近くに住んでおられることに気づき、雨の降る日でしたが、尋ねました。道がわからなくなり電話しますと、先生は雨の中をわざわざ車で迎えに来てくださいました。81歳になられるとのことでしたが、うちの父よりずっと若く見えました。

先生から、『父の遺稿』(高橋甲四郎・著)と『稲作の歴史的発展過程』(高橋昇・著)、それに、貴重な或る史料をいただいて帰りました。今日、やっと時間がとれて、『父の遺稿』を一冊読み上げました。感動します。いろんな意味で今、先生に出会えてよかった。

読んでいるうち出てくる登場人物に関する資料を持ってたことに気がつき、それを出してきては確かめたりしました。たとえば、落合直文という歌人が背景にちょっと出てきましたが、「ん。おちあいなおふみ。どっかでみた。そうだ、乙骨菊枝先生の近代短歌百年の歩みに出てた。正岡子規と並ぶ巨頭の一人だ。」と気づき、菊枝先生が送ってくださってた本を開いて確かめ、また、落合直文の弟子であった前田夕暮の名を見たときも、「あっ、この歌人の歌集持ってた!たしか、木下利玄などとのアンソロジーがあったっけ」という具合でした。もちろん、甲四郎先生の本に出てきたのは、そういう和歌の話題で出てきたのではありません。わたしは、そこがおもしろいのです。

甲四郎先生の父上である高橋昇博士は、戦前から朝鮮半島に渡り、かの地の農業事情や民俗を30年近くかけて足でくまなく調べ上げ、膨大な史料を残された、朝鮮にとっての柳田國男のような偉大な研究者でした。敗戦による引き揚げのときにも、朝鮮政府から頼まれて一年近く当地の農業指導者にさまざまな指導をしてから、引き揚げてこられたといいます。しかし、帰国後まもなく病に斃れられ、残された13000枚にも及ぶ膨大な研究結果は宙に浮きました。それを、何十年にもわたって根性と執念でこのせちがらい金万能の出版界に送り出された甲四郎先生の、亡きお父上への類まれなる尊敬の念と愛情は、ほんとうに胸を打ちます。登場人物のどの人も、その研究の偉大な価値に気がついて、協力なさいますが、やはり、ただ一人の子であった甲四郎先生の執念がなければ、あの大著は世に出ていないでしょう。すこしづつ、ご紹介していきたいと思っています。

 高橋 昇・著 『朝鮮半島の農法と農民』
     1998年2月発刊、未來社。

落合直文の「孝女白菊の歌」http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/koujoshiragiku.html

孝女白菊の歌の歌詞を読みますと、なぜか上田秋成の「菊花の契り」が下敷きにあるようにおもわれました。父は千尋の谷底で冷たくなっているのに、思いに応えて霊のかたちで兄妹の前にあらわれる。それは菊花のちぎりをした武士が死んでしまったにもかかわらず、血の約束に応えて、幽霊になって弟分のところに帰るおはなしとつながっています。
前田透(歌人・前田夕暮の子)著「落合直文ー近代短歌の黎明」

高橋甲四郎先生の随筆「バルビゾンの道」:http://www.wing8.com/dcity-yame/kurashinojiyoho/199911/con02.html
   〃「S君の答辞」http://www.wing8.com/dcity-yame/kurashinojiyoho/199906/con01.html

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コメント

「高橋甲四郎」

検索で9位に出るようです。
こちらへおいでくださった方、ありがとうございました。
こうしろう先生にご無沙汰づくめです。
メルアドもわからなくなってしまいました。
ときどき、先生のお顔を思い出しています。
お元気でしょうか。
久留米に移られてしまいましたが。


ここに書いていいのかどうかわかりませんが、縁のあった方のようなのでお知らせします。
私は同じマンションに住んでいる者です。
高橋甲四郎さんは2016年4月24日逝去されました。25日葬儀もすみました。

竹橋乙四郎の筆名の由来の方です。
ご冥福をお祈り申し上げます。

高橋忠夫様

おしらせいただき、まことにありがとうございました。

今月に入って、こうしろう先生のお顔がたびたび浮かびました。
お別れのご挨拶にみえていたのかもしれません。
いろんな思い出がよぎります。
立派な先生でした。
ご冥福をお祈り致します。
合掌

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