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2006年10月 9日 (月)

歌仙「菊」 32

ばどさんの花前句です。

朝寝する手に編み針ふたつ  (雑・他)1

絵がお辞儀して春風抜ける   (春・場) 2

野遊びする子寝顔愛しき     (春・半)3

海女になりたい次女が言った  (春・他)4

ぶっきらぼうに目刺しのる卓    (春・場)5

    bud

生きのよい句をたくさん作ってくださり、ありがとうございました。嬉しかったです。
前句が酒を飲んでぐにゅぐにゅになった人で、だれかにお茶漬けを所望していらっしゃる。わがままがいえる相手にです。ということで、五句のうち、常識的にもっともよく付きますのは、5、1だとおもいます。5はその人周辺の写生。1は酔客が朝帰りすると、待ちつかれた母か妻が編み物しながら寝ている図が浮びます。つぎに4。その場にいた次女が、ポツリという、わたし海女になりたい。これはおもしろい珍しい付け句ですね。2は親句疎句でいえば、疎句になる句で、すこし離れて詠んであります。絵がお辞儀して。

ばどさんは絵がお好きですね。いつだったか、ご自分のブログに香月泰男美術館に行かれたことを書かれていました。私はそれをごらんになった感想が知りたいです。宮崎の俳人、故・山下淳氏の香月泰男評を読んでから、ほんものをみたくてたまりません。ことに「ホロンバイル」という地名の絵、なにを意味した絵なのか、わからない。私が見たのはネットでだけ、それと本物を一枚、黒い四角の柿が画面中央の獄にある絵を久留米井筒屋で見ました。二百万近い値がついていたっけ。山下淳が非難したのは、売れるために不幸を売り物にしたようにみえることをいうのだろうか。最近、ある有名俳人が言ってた山本健吉批判を見て、その批判は正しいかもしれないけど、健吉の立場に立つと、家族を食べさせていかねばならず、生きるということはきれいごとではないという覚悟がみえて、健吉をかばいたくてしかたなかった。それと香月泰男のことも同じなんじゃなかろうかな、と思いました。でも、わかりません。シベリア抑留の体験もないし、絵も一枚しか本物はみたことがないからです。まったく軽くなく、重い波動の絵ではありました。でも温かみがあった。どうかいつか、書かれてくださいませんか。と、関係ないことまで書いて失礼しました。丸山豊が書いているように、戦争では書けぬこと、書かぬことがある。であれば、絵もまた、遠まわしに描くしかなかろう。でも、それが何の絵か、同じ体験をした人なら、わかったろう。

そんなことより、句の選句。花前は軽く付ける。これが原則でした。花の句をひきたてるためです。という視点でみれば、いちばんいいのは、5の「ぶっきらぼうに目刺のる卓」です。この句は俳諧そのものです。簡潔ですっきりしていて、生活臭がある。確かな人の息遣いがあります。まさにベテランの句ですね。きまった。ありがとうございました。

では、花の句を、澄(すみ)たからさんにおねがいします。
たからさんは愛媛出身の俳人で、最近とてもうまくなられました。句がどれも生き生きとしている。俳句はもう六~七年くらい経つのかな。連句も過去に二回、座で巻いた経験があると記憶します、八女の堺屋で。でも式目とかをまだよく伝えていなくて、手探りだろうと思いますが、花という語を入れて、(花の雨、とか、花筏とか、花の雲、とか、花万朶とか、花がつく季語は山ほどあるし)景色を詠み、こころをこめてください。この手法がいちばんむずかしいのですが、ご自由にどうぞ。たからさんはこの世界では珍しく、理数系の女性なんです。大学も経営学部をでてらっしゃるし、全体が見渡せる人だとおもう。期待してお待ちします。あ、そうそう。私は身長が167ありますが、たからさんはさらに二センチ高いです。

名残おもて

一  亀鳴くや張りて重たき右の乳  山本伽具耶(春、恋離れ、自)
二    どろどろどろっとぐちゃぐちゃぐちゃと   蛉(雑、場)
三  ああ僕の弔電四時に着くはずの     聰子(雑、無常、自)
四    吹雪の中をサラ金に行く           清志(冬、自)
五  餅を切る手に包丁の食ひ込みて      たから(新年、自)
六    二月になつて書く初日記           bud(新年、自)
七  むらさきの魚棲む昇仙峡の瀞         恭子(雑・場)
八    水の匂ひの消えぬ古寺       都  (雑・場・釈教)
九  学歴とか家柄とか太腿とか       蛉  (恋・半)
十    文字摺草のねぢれをとけば     聰子(恋・夏・場的自)
十一 有明にあなたが置いた月見草     bud (夏月、恋・他)
十二   ベランダへ出るドア半開き      清志(場) 

ナウ
一 黒人霊歌(ソウル)流れ祈りは海の底に積む (神祇・音楽)
二    やはらか戦車退却します        蛉(場かな?)
三 酔客はただの茶漬けをご所望に      聰子(雑・他)
四    ぶっきらぼうに目刺のる卓       bud(春・場)
五                              たから
六                              清志

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