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2006年9月21日 (木)

歌仙「着ぶくれて」

四吟歌仙「着ぶくれて」
             
   平成11年1月10日首 
           3月1日尾 文音 衆判

着ぶくれて耶蘇の愁ひを思ふかな  佛淵 健吾
 摘みし毛玉に青き野うさぎ    高木 咲耶
長い坂チ、ヨ、コ、レ、イ、トと六つ跳んで 明坂 小箔
 グーしか出せぬ妹を連れ     姫野 恭子
待宵のとびらを固く漆むろ      咲
 颱風圏に入る半島        健
ウラ
出荷には糖度不足の林檎ゆゑ   恭
 交換日記めらめらと燃え     箔
母の血を受け継いでゐる別れ癖  健
 名代の牝馬引退させます    咲
山高帽山高帽また山高帽     箔
 歌詞忘れても北島三郎     恭
船降りてパチンコ店を振り出しに  咲
 涼しき月に蛇頭現れ       健
蘇州にはまだ燦爛と虫送り     恭
 遊行上人呟きけるは       健
あらもたいナの花の酒こぼるるよ  咲
 巣箱になったメイル・ボックス  健
ナオ
折りもせず蝶は恋文FAXで   箔
 にはたづみそっと掻き混ぜてみる 恭
水漬きしは王女かきみの良心か    咲
 黒曜石の斧の一閃          健
へーっくしょいてやんでばあろう洟啜る  恭
 仕掛人ども薬喰ひ喰ひ         箔
蓑笠を着せられアームストロング砲    健
 万国博に髪ゆひの婆          咲
風笛の音かしましく角過ぎて      箔
  又甘皮を剥いてゐるなり       健
はじっこのベッドの僕に繊の月     恭
 興信所から鶲(ヒタキ)尾行し    箔
ナウ
澄みすぎる秋はその瞳を信じたく   咲
   引けば輪っかにもどる組紐     恭
縁側に旅芸人の知恵袋         健
   吉野十津川租税はいらぬ      咲
花ふぶき若鮎の影消すほどに     箔
   園児の傘に撥ねる春泥       恭

 注記 

漆むろ  http://homepage3.nifty.com/aiuken/page090.html

蛇頭  http://www5a.biglobe.ne.jp/~ailiao/japan/torisirabe/kakure_j.htm

虫送り http://www1.neweb.ne.jp/wb/shonanjcfa/guanguang.html

遊行上人 http://www.ecf.or.jp/bunkaehime/tokusyuu/tokusyu49/tokusyu1.html

ナオ一句目  
        蝶
二つ折りの恋文が、花の番地を探してゐる  
    (ジョルジュ・ルナール 『博物誌』岸田國士訳より引用)

「荒木田守武没後四百五十年記念連句大会作品集」
  受賞作品
俳祖・荒木田守武
http://www.kirari1000.com/base_data/base_data.php?kirari_cd=00552


 平成11年8月8日朝顔忌 伊勢市教育委員会    

高木さんの付け句には、どれも重みがあると感じます。
軽い遊びに流れてしまいがちな中にあって、それは貴重です。
ウラの恋離れの「名代の牝馬引退させます」、とてもうまい。(競馬がお好きだそうで、意外です。)

恋句で、ナオ三句目、水溜りにつけて下さった句も、行間に浮かび上がるのは、じっと水鏡の向うの映像を見つめているような、たとえればオフィーリアのなきがらを透視している魔女のような趣があります。なんでもみすかされそう。

おなじく、さいごの恋句の「すみすぎる秋はその瞳を信じたく」が、真正面をむいていて、印象的です。高木さんには西行のにおいがあって、この句をよむと、「ゆくへなく月に心のすみすみて果はいかにかならんとすらん 」西行のうたをおもいだします

高木さんに西行を詠んだ現代的な名句があるので、ご紹介いたします。

 西行や向井千秋やけふの月    高木一惠

(五年前くらい日本青年館で、前田先生が催された「みなづき座」の連句興行で、さばきは川野りょうそう先生、この句は没になったけれども、私の記憶から消えることなく残った、とても霊的な、陰陽五行の時と方角の一致がみえる根源俳句でした。)

2008・1・19追記

ひょっこり、この歌仙を思い出しました。といいますのは、ナウ2の「引けば輪っかにもどる組紐」は、現ファクタ編集長阿部重夫さんの文章から連想したものだったのです。連衆のみなさま、書いてもいいでしょうか。ふしぎですねえ。この歌仙を巻いてる最中に連衆の一人がなかなかつけ句を返されないのでどうしたんだろうと残る三人で心配してたところ、飛行機で移動中に喀血されて入院なさってることが判明しました。しかし、天の助けか大事は回避され、病院から無事つけ句をファクス送信され、一巻はめでたく満尾したのです。こういう展開のなかで出した句が、ファクタの阿部さんが日経記者だった頃に書かれた記事から発したものだったことが不思議なのです。なにしろ、私はその新聞記事をみなさんへもファクス送信してあげた記憶があるので、忘れません。それほどに大事なきおくだったから。

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コメント

あのころの自分へ。
そうだったんだね。
あんたはいつだって、身内の急場にだって、そんなよそ見ばかりしてたのだ。こまったおかたじゃ。
だけど記録してくれてたおかげで、みえたよ。
ファクタあべしげさん。
オリンパスの不正をどこより早くあばかれましたね。
まわりはずうっとすっとぼけたままで、何年も隠していた。世の中はそういうことばかりだけど、あらわれるべきときになっていたのでしょう。

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ごくうすいピンク色のシャツに紺色のスーツ。 昨日の夜のあべしげさんのいでたち。派 [続きを読む]

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