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2006年9月14日 (木)

歌仙「菊」 13

連句はじめのころ、自分が感じた法外さ、窮屈さを、はじめて連句にふれた人に思い出させてもらい、なつかしく思いました。

一生懸命、句を案じて出すと、さばきが「ここがさわってる」とバッサリ切り捨て、他のことばに変えられる。式目の前の人格の否定というか、そんな無念のきもちで一杯になります。その後いろんな人といろんな連句を巻いてきて、全く初めての人とも一座する機会が何度かありました。式目はともかく、自分が出した句をさばきの感性で変えられるのですから、そのつらさに耐えられず、「もういいわ」と連句から手を引かれる人もありました。ちゅうくらい名のある俳人ほどそうです。「・・俳句は俳諧とはまったく別なんだな」と感じるのは、そういう次元のことも含めてです。おもえば、ここが連句にはまるかどうかの一里塚かもしれません。私の場合は、そのわずらわしいルールがものめずらしくてたのしかった。時代があまりにもルーズだから、逆にしめつけの厳しい連句という型が美しく思えたのかもしれない。そんな感じです。

さて、菊歌仙、次の付け句を依頼した沢都=さわ・みやこ(俳号。宝塚みたいだったと本人の弁)は、はたしてどっちの流れにつけてきたでしょうか。私は指示をしなかった。彼女は仕事婦人だし、いそがしかろうと。ただ、ここのブログを読んでくれることを祈って。一つは、連句人である彼女の意見をそれとなく聞きたかったんで。

白露の流れにつけて、三句出してくれた。私が依頼したとき、その流れでしたから。

 白露のの十露盤の 
満月のうしろへ急ぐ馬の群れ
 刈田狼藉許すまじいぞ

案)  1 もの落ちて水の音を立てにけり
    2 風止めばベンチ左に傾きぬ
    3 啄みてひと声啼きしかちがらす (村がらす)

みやこさんは、学校の学童保育教師です。いま、いろいろとガッコは昔と違っていてたいへんそう。しょっちゅう話し合いとかあっているみたいです。で、この付け句はファクスで貰いました。二年前まで私たちは同じ連句会でファクス文音(ぶんいん)でしたので。(いちばん最初、窪田薫宗匠時代は郵便連句。)連句文音にも時代のながれがあるなあ。いつかはテレパシーでできる時代がくるだろうか。

下線部は都さんが気にして自分でひいていたとこです。朝の字、オモテで「早き朝」と出してた、と。そうだったか。でも離れているからぜんぜんかまわないよ。

この三句、どれもすごいいい句だねえ。都さんは私がころころ流れをかえたのに、ついていけてなくて(たぶんそうだとおもってた)、もとの句に付けてくれたんで雑の句なんですが、わけを言って、すこしぐらいものがですぎていても都さんが鎮めてくれれば・・と。で、三句目の村がらす(これが原句でした)を秋の季語のかちがらすに変えたら、使えるじゃないですか。このなかで一番味があるしね。よかった。これをいただきます。ごちゃごちゃしてたけど、このかささぎのおかげでサッと気が静まりました。ちなみにかささぎの啼き声きいたことありますか。グエとかガアとかガ行音じゃなく、カチカチのカ行音です。下品なくせに澄んでいるというかな。(笑) だけど、色がすんごくきれえ。醤油いろというのか瑠璃色というのか翠で碧で青で蒼で藍で黒で黝・・なんざますのよ。自然はすごいんだじぇえ。光のあたりかたで色がかわる。風切羽のとこだと思うのだけど。いつか父がいちごをあまりに食い尽くすので怒って、とらえてすてたことがある。(保護鳥です。だから絶対まねしないでくださいね。)とても頭がよくて性格がわるいから。一番大きいイチゴからちょっとづつ食べるやりかた。百姓としては最大にあったまにくるわけ。いつもみかける、ここらへんではもっとも身近な鳥です。カチガラス、カチ、かささぎ。秀吉が朝鮮出兵のときつれて帰ったという説がありますが、私は古代から日本の西日本にいたとおもう。勘です。

つぎはたからさんです。月から刈田狼藉(杉浦先生の補注で、古典にはよく出ることばだそうで、合戦のとき収穫時のたんぼをあらすことだそうです。さっきのイチゴどころじゃない狼藉ですな。これは補注をつけなきゃ)が出て、カチがなにかついばんでカチカチと啼いた。それは米粒かもしれないし、人の死体かもね。

季語のない雑の句でたからさんに短句をつけてもらい、花にいきます。花はだれかな。花は蜻蛉さんだ。発句をいただいてますが、練習問題として花をよんでもらいたいです。(花ということばを入れて、櫻のイメージで句をいくつか考えておいてください。五七五)

ん。一番若いのがこの人かな?においの花は若い人にということですから、発句はあそびだったけど、あとの花をまじめに詠んでもらいますか。ナゴリウラの花は、じゃ冬樹さんに回すことにして、最初の花はbudさんによんでもらおう。budさんは句を作るのお上手です。やはり川柳をなさってるからとおもいます。たからさんの次に花ですから、こころの準備をよろしく。

たからさん。花前句はかるく花をひきたてるきもちでつけてください。まちます。

歌仙「菊」(仮題)

初折オモテ
発句 生きたまま脳に届いて殖えて菊    冬樹 (秋)
脇   赤とんばうを放ちやる空        姫野 (秋)
第三 三日月に「子とろ子とろ」の響くらん  鍬塚 (秋・月)

四    シナモン味のパンをください     倉本 (雑)
五  スカートがはらり自転車から下りて 
  杉浦 (雑)
六    早き朝には冴ゆる橋げた       沢 (冬)

ウラ  
一  背振山ちぎれちぎれに雪降り初む    澄 (冬)
二    よく似た痣を見せ合つてをり      朝世(恋前)
三  短髪のうなじは白き指睦び    bud(恋)
四    発泡酒までおまけで釣るか    蛉(夏・恋離れ)
五  「親王誕生」こんなところに祝ひ旗 恭子(時事)
六    一挺二挺五つ玉十露盤     聰子(雑)
七  満月のうしろへ急ぐ馬の群れ    朝世(秋・月)
八    刈田狼藉許すまじいぞ      清志(秋)
九  啄みてひと声啼きしかちがらす   都(秋)
                        澄 たから(雑)
十一                       bud(春・花)
十二                       恭子(春)

こうしてながめますと、ものがですぎてると感じたぶぶんが、序破急のはにもきゅうにもなっていて、スピードあるジョブをくりだされてるかんじで、いいな。そんで都さんのかささぎのまぬけな声で、たしかに静かな時間が生じた。

馬、字面の狼、烏。三句つづけて生き物がでた。これは、気にしない。うちこしの馬とからすは異生類だし。

参照:そろばんの数え方=挺:http://www.bayaqua.com/benri/kazoekata.htm
刈田狼藉:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%88%E7%94%B0%E7%8B%BC%E8%97%89              
       

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