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2006年9月10日 (日)

恋賦物歌仙「死ぬなと泣きし」

  恋賦物(こいのふしもの)  

  脇起歌仙(わきおこりかせん)

       「死ぬなと泣きし」

    起首平成十一年六月十八日 満尾同年八月十日  文音

                  捌 ・  前田 圭衛子

 初夢は死ぬなと泣きしところまで    眞鍋 天魚(呉夫)

   しぼり柱に揺るヽ餅花        前田  圭衛子

 わだつみの凪あでやかにたゆたひて    姫野 恭子

   原石そつとほどかれてをり      倉本 朝世

 月光を踏みつつ逢へば春寒し      椿  紀子

   蚕飼(こがひ)の村に入る長持    高木 咲耶(一惠)

ウラ

 忘れないカルチェ・ラタンの労働歌    貞永 まこと

   柔らかな壁大好きなのね        鍬塚 聰子

 ミシンからずり落ちてゆく昼の姉         朝世

   黄泉戸喫(よもつへぐひ)の蜜を舐めあふ   恭子

 姥神(うばがみ)の腿の太きを焚きつけに     咲耶

   馬をなだめる草の穂の先            紀子

 待宵は海明るくて隠せない             聰子

   酒とうるかで間夫(まぶ)の醍醐味       まこと

 一節切(ひとよぎり)・尺八・銅簫(どうせう)みな通じ   恭子

   絶対音感わしづかみされ            朝世

 早房の瀬の山ざくら淋しいよ            咲耶   

   姫虻となり誰を追ひゆく             紀子

ナオ

 前髪をあげし乙女の弥生尽           聰子

   閨の丸みは雲の借りもの          まこと

 汚されたゲルマニウムの夜であり       朝世

   十三文の下駄がはみ出す         恭子

 もて余す割目のありて寒卵           紀子

   巳之吉さまへ雪のことづて         咲耶

 締め込みはもう紅色の擦過傷         まこと

   代々木公園猫に招かれ          聰子

 息つめてやがて切ない水の婚        朝世

   歌の終りは泡か真珠か          紀子

 別宅へ満月の塀のり越えて          まこと

   卍くづしの胸に溢れ蚊           咲耶

ナウ

 嘘つかね嫁こがほしいよ秋の暮       恭子

   自転車の鍵抜けなくなれば        聰子

 甘いもの酸つぱいものに苦いもの      紀子

   のどかに傾ぐからつぽの墓        まこと

 花明りかき鳴らすたび熟れる琵琶      朝世

   霜のなごりの小野炭をつぐ        咲耶 

註 

 カルチェ・ラタン http://www2s.biglobe.ne.jp/~cama/

 うるか http://www.town.misato.shimane.jp/nanzokanzo/waza/uruka_w.htm

 一節切 http://www.n-brabra.com/bura/info/sky/2004_04.html

 銅簫  http://www.rekihaku.ac.jp/kikaku/index95/index.html

 早房の瀬 http://www.ic-net.or.jp/home/rinet/yymphybsns.html

 黄泉戸喫 「へ」は竈の意 黄泉の国の竈で煮炊きした物を食べること これを食べると現世には戻れぬと信じられていた

 姥神  http://www.h2.dion.ne.jp/~esashi/08jinjya/ubagami.htm 

 姫虻  http://ponta.at.webry.info/200607/article_10.html 

 巳之吉  L・ハーン著『雪女』の主人公

    http://teru.twincle.net/kokunai_4%202006/koizumi_yakimo/1.htm

 卍くづし http://www.kanwa.jp/xxbungaku/Miscellany/Taii/Taii.htm  

 小野   大原小野 〈小野炭や手習ふ人の灰せせり〉 芭蕉

   http://www.geocities.jp/hieisankei/stage02_03.html

   http://www.musubu.jp/jijimondai30.htm#sumi

連衆  前田圭衛子  貞永まこと

     高木咲耶(一惠) 椿紀子 倉本朝世 

     鍬塚聰子  姫野恭子

『馬の仔に』 高木一恵句集(ふらんす堂刊)     

『現代連句集Ⅱ』 (連句協会編)         所収      

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コメント

姫野さん、この歌仙、私のブログにも貼り付けていいでしょうか。まことさん、今でも一緒に連句巻いてるみたいな気がしますよ。
一度、お会いしたかったです。

あさよさん。ぜひ、そうしてあげてください。
あのね。わきおこしって連句辞典には書いてあるけど、私は「脇おこり」が正しいとおもう。おこすんじゃなくて、起こるのです。前田先生にはありありと貞永さんの来るべき死が見えていたんです。あの歌仙を巻き始めたときのことを振り返ると、夢を見たんだ・・となんども言っておられました。黒いコートを着た貞永さんが、当時亡くなられたばかりだった式田和子先生といっしょに出てこられたそうです。なにもいわないで・・木の下に。リアルな夢です。私まで見たかのような。

あれ。そうじゃない。式田和子さんは前の年になくなってますね貞永さんの。何回か同じ夢を見ると聞いたので、ごっちゃになっていますが、同じ場所に立たれるんだって。こういう霊的なはなしはじかん感覚とかとっぱずれる。ふしぎともおもわないからおかしいね。

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