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2006年9月29日 (金)

歌仙「菊」 26-2

鍬塚さんの恋句は、もじずり草をいただきたいと思います。ことばの響きと内容と一句のもつ余情が、いちばんでした。やさしい心の恋の句だとおもいました。それに蛉さんの句ともよくついています。もじずり、ねじばなは夏でした。

ついでに、今月の「樹」あとがきで主宰の瀧春樹先生が書かれた文章を引きます。

〈陸奥(みちのく)の忍ぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに〉という源融(みなもとのとおる・通称・河原左大臣)の心の乱れと捩じ花の有様がマッチしているという主旨のエッセーがあった。これに対して夏田風子は、このもぢずりは陸奥の国の織物の名前ではないかと便りを寄せた。鍬塚聰子からも同様のメモが寄せられた。
 文献を見るとこのしのぶは①信夫郡から産出したものだから、②しのぶ草を摺りつけたものだから、③乱れた模様が忍ぶ草に似ているからなどの説があるが、どれも定説ではないらしい。
 しかし、しのぶ文字摺りの石というのが信夫郡(福島市)の文知摺観音の境内にある。この石は小高い丘の上にあって、麦の青葉を摺りつけると意中の人の姿が現れるというので、物好きな人たちが試みた、という事が伝わっている。加えて実しやかに、麦を荒らされて困った百姓たちがこの石を下の谷へ突き落とした、ということになっていて、これには芭蕉も疑問を呈している。従って今は石は裏返しになっていて、模様のある方は土に埋まってみえないらしい。そんなロマンのある石を一度訪ねてみたいものである。(瀧春樹主宰)
参照:
http://www.jtw.zaq.ne.jp/tanakun/watch2/nejiba.htm
    http://www2.ttcn.ne.jp/~tabi/axmojizuri.htm
    http://www.bashouan.com/pnShinobu.htm

歌仙「菊」(仮題)

初折オモテ
発句 生きたまま脳に届いて殖えて菊    冬樹 (秋・自)
脇   赤とんばうを放ちやる空        姫野 (秋・自)
第三 三日月に「子とろ子とろ」の響くらん  鍬塚 (秋月・場か半)
四    シナモン味のパンをください     倉本 (雑・半)
五  スカートがはらり自転車から下りて   杉浦 (雑・他)
六    早き朝には冴ゆる橋げた       沢 (冬・場)

ウラ  
一  背振山ちぎれちぎれに雪降り初む    澄 (冬・場)
二    よく似た痣を見せ合つてをり      朝世(恋前・半)
三  短髪のうなじは白き指睦び    bud(恋・半)
四    発泡酒までおまけで釣るか    蛉(夏・恋離れ・自)
五  「親王誕生」こんなところに祝ひ旗 恭子(時事・他)
六    一挺二挺五つ玉十露盤     聰子(雑・場)
七  満月のうしろへ急ぐ馬の群れ    朝世(秋・月・場)
八    刈田狼藉許すまじいぞ      清志(秋・半)
九  啄みてひと声啼きしかちがらす   都(秋・場)
十    言へないことば少年にあり     たから(雑、恋前・他)
十一 黄昏におさげひつぱる花篝     bud (花・春・恋・半)        
十二   ひらきひもとく春潮の渦  恭子(春、恋・場的半)

名残おもて

一  亀鳴くや張りて重たき右の乳  山本伽具耶(春、恋離れ、自)
二    どろどろどろっとぐちゃぐちゃぐちゃと   蛉(雑、場)
三  ああ僕の弔電四時に着くはずの     聰子(雑、無常、自)
四    吹雪の中をサラ金に行く           清志(冬、自)
五  餅を切る手に包丁の食ひ込みて      たから(新年、自)
六    二月になつて書く初日記           bud(新年、自)
七  むらさきの魚棲む昇仙峡の瀞         恭子(雑・場)
八    水の匂ひの消えぬ古寺       都  (雑・場・釈教)
九  学歴とか家柄とか太腿とか       蛉  (恋・半)
十    文字摺草のねぢれをとけば     聰子(恋・夏・場的自)
十一                        清志(恋・夏月)
十二                        bud (恋離れの雑) 

付け順ではこうなります。とても大事なさいごの恋とおぼしめして、心情のせつせつとつたわってくるような句をお願いいたします。 じつは、まよいました。経験豊かなばどさんへふるべきか、それとも、えらい学者さんだけれども、たぶんおそらくきっと恋愛経験はこころもとない杉浦先生にふるべきか。(すみません想像です)。八月の末に始めまして、まだひとつきとちょっとしか経っていないのかと、時間感覚がへんなかんじです。付け句をお願いするときは、それぞれの方の家頁に参じておりますが、この杉浦先生がおられるおかげで、どれだけ助かっているかしれません。うるさいことはおっしゃらない。質問には短く的確に答えてくださる。知らんことはあっさり知らんていわれる。年が自分と一つしか違わないから、あまり気を遣わず聞きやすいのもありがたいです。

ここ、けっこうむずかしいところだとおもう。身体用語はウチコシにもう出ている。そして、前句が由緒にちなむような歴史のあつみを負った恋句です。時間かけてくださってけっこうですので、どうかひとつよろしくおねがいいたします。ウチコシの蛉さんと杉浦先生とは、しごとで扱うコトバの種類こそ違え、主知派に属するカタイカタイ星人ということで、すでにさわってるのかもしれないなあとおもいつつ。

 

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