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2006年3月 7日 (火)

乾杯

 黒い土から乾杯が盛り上がる    

             札幌市  中村 迷々亭(「点鐘」115号)

 一つ年下の従妹が葬祭の司会業をしていて、ときに「こういうときにはどういうふうにいえばいいかな」と事もあろうに私に聞いてくる。先日も、「まだ若い四十代の男性が亡くなったんだけど、地位のある人で、弔問客も多いし、どうしよう。癌だったそうで、葬儀には長渕剛の’乾杯’を流してほしいと遺族に頼まれているけど。ああどうしよう。うちのお父さんもおなじくらいで死んだから泣きそう。言葉が出なかったらどうしよう」という。

 あまり言葉を飾らず、そのまんまを紹介すればいいんじゃない。心をこめて言えば、ちゃんと思いは通じるよ、だいじょうぶだよと、たいした励ましにもならないことを言って電話を切った。そのときに教えてもらったのだが、長渕剛の「乾杯」という曲は人が亡くなったときの歌だという。てっきり結婚式の歌と思っていた。

 東京のどっかの駅のホームに咲いてた諸葛菜の碧い花を春は思い出す。土が黒かったことと共に。そしてすぐに東大弥生門前の立原道造記念館でみた、詩にはなりそこねた言葉の断片「ぼくにはカラスがいるんです」 っていうフレーズも一緒に出てくる。あのようなことばは、今わの際にいる人にしか吐けないものだから、ものすごく印象にのこる。 

 黒い土から乾杯が盛り上がる。死と再生が同時に噴出するような不思議な書きかただと思う。立派です。川柳なんだけど、一凝視、一行詩です。札幌の人だから書けた。雪解けが始まっています。

 同じ作者の他の作品に、

  暇なので空と一緒に流される

 大滝詠一の「スピーチ・バルーン」その他いろいろ目の前を流れていきます。

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コメント

「乾杯」いい曲です。確かに結婚式では参列者の誰かが歌いますね。
でも、葬儀では例えBGとしても聞いた事は無い。
でもそれが>人が亡くなったときの歌だという・・・とは知らなかった。

札幌の中村さんの川柳、とてもいいですね。
冒頭の句も、また「暇なので空と一緒に流される」にも和みます。

大滝詠一じゃないけど、私にも誰とは言えない贔屓の歌手がいますよ(笑)

ばどさん、
「乾杯」気になって調べました。どうもいとこの勘違いみたい。友人の結婚に際して出来た歌だそうです。(きっと亡くなった方が大好きな歌だったんじゃないかと思いました。故人の好きな曲で送るというのはよくあります。明るい歌でよかった。)
大滝詠一って顔知らないんですが歌(ロングバケーションってアルバムでした)は十年ぐらい聞いてても飽きません。でもテープがだめになりましたさすがに。


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