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2006年2月26日 (日)

農耕と園藝 3月号

 京都在住のルポライター菊池昌治氏から「農耕と園藝」三月号をいただいた。菊池氏の紀行文が好きな私は、あんな上等の俳句みたいな文章が書けたらなあといつも思っている。自分の感情をいっさい交えず、淡々と風物に語らせる手法。やってみれば、これがとにかく至難のわざであることに気づく。まず、細かなことまで物事を知っていなければならない。足で調べなければならない。どんなにもっともらしく文面をつくろっても、地理的なことや風土がうむ空気は取り繕えないのである。嘘の通用しない世界で体を張って文章を書いてこられた今時めずらしい「文士」という言葉が似合う物書きである。いわば発散を拒み、辛抱に辛抱を重ねた禁欲がもたらした恩寵のような文章。何度か電話でお話をしたことがある。東北訛りの残るやさしい声だった。山形出身で京都の大学へすすみ、それからはずっと京都在住でいらっしゃるという。いつかこの句について聞いてみなきゃとずっと思っている句がある。

 下京や雪積む上の夜の雨  凡兆

 知られているように芭蕉が上五を一直した句だが、この句は果たしてどんな心情を詠んだものなのか、私はどうもいまいちわからないのです。ある本には「下京という下町の風情と、雪に降る雨が暖かく呼応し、こころなごむ句になっている」みたいなことが書いてあり、またある本には「京都とは差別感情の烈しい土地で、なかでも上京と下京ではその様相は一変する。歴史的とさえいえる差別だ。であるから、この雪に降る雨は、わびしい冷たい情け容赦のない雨であり、下京で生きる人々の真情と合致するものだ」とあるんです。こうもいってることが違うと、読むほうとしてはどっちを信じればいいのか迷います。よそものとして京都に入り京都に住み、なりわいとして京都の風物を人を丹念に取材しては文を紡がれている菊池氏に、じっくりと一度尋ねてみたいです。

 「農耕と園藝」3月号に、八女の苺あまおうの出荷風景が載っていました。二年前まで毎日のように軽トラで出荷していた稲富集荷場の写真も鬼のような厳しい検査をする美しい検査員たちもちゃんと掲載されてました。なつかしかった。

 菊池昌治氏はこの雑誌に「京野菜の周辺」という連載記事を書いておられます。(吉野慈治の名前です)。私の所属俳句誌「樹」の足立雅泉氏が「農耕と園藝」を読まれていて、本当に植物が好きな人たちには知られている本みたいです。よく読んでいた「家の光」をちょっと高級にしたような月刊誌です。950円。誠文堂新光社刊行。

※ ほっと一息写真  http://ikoku.cool.ne.jp/china/sisen1/huukei.htm

※ 「農耕と園藝」カマタスエコのブログ

このなかの、セリ料理が圧巻です!

http://bistro.exblog.jp/

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コメント

ひめのさん、今日もコメントありがとう。
日曜日の日記はこの文章を読んで書く気に
なりました。
何故なら、私は風物と自然が好きだからです。
悩んだ時はいつも大きな風景を見に行きます。

絶対的に守らなければならない物があります。
作り物じゃない素晴らしい世界は、人々を
感動させる魅力を持っていますね。
環境破壊が一段と進む世の中に一抹の不安
と共に心の崩壊を憂います。

PS:中国の雄大な自然の風景を見て心を休めて下さい(笑)
最後の菜の花畑には圧倒されます。
http://ikoku.cool.ne.jp/china/sisen1/huukei.htm

ばどさん写真ありがとうございました。
菜の花畑を見てわたしが真っ先におもったことは、こんなに広くちゃ消毒がたいへんだろうなあ・・ってことでして(笑)ロマンもへったくれもありゃしません。(「山の郵便配達」にもあったですね。娘さんがちっぽけな消毒機しょって広大な青田にいてるとこ)でも上段の真ん中の写真、いいすね。なだらかな山の向うにあるぎざぎざでまったいらな稜線がはげしくいいです。

とつぜん、一人暮らしのバリバリと仕事をやっていた有能な女性が倒れる。雲真っ赤出血で。
なんのことかとおもわれるでしょうね。
かささぎが四年前ここでご紹介している農耕と園芸のライター、カマタスエコさんがなくなられたそうです。まだまだお若いかたでした。一期一会とはこのことでした。
ご冥福をお祈りもうしあげます。合掌

こういう葬儀もあるのだな。
たとえネット上で有名な方であられても。
ひっそりと、わかるひとにだけはわかるようにして。

亡くなられたのは3年前ですね。
ネット上にコメントがある限り、他人からは「生きて」いるのと同じであり続けるというのもまた。

なんだか、やけにかなしいです。
200近いアクセスが残されていて、かささぎもそこへ花をたむけてきました。
こういう暮らしをするようになって、こういうネット葬シーンにであったの、これで二度目です。

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